L.C番外編
HSM ハイスクールメモリー

いい加減にネタにもつきたし現行本編と乖離が激しいので一から作り直すことにしました。
形式はSSSですね

1年目1学期 4〜5月

正歴2565万2016年 青歴元年 4月5日
蒼藍王国藍蒼市北西部
青玉大門中央高等学校普通科大講堂
「なげえ。」
入学式が執り行われていた。
「いつになったら終わるんだよあの禿の長話。もう20分はくっちゃべってるぞ。」
そう校長の話をなじるのは、この蒼藍王国の王の3女。名を遥夢という。
「まあ、良いんじゃない?このときだけと我慢すれば。」
「そうはいうけどなあ。」
「てか、ねむい。」
遥夢の前後にいるのは遥夢の従兄弟の混神とその彼女の涼子。
「やっと終わった。」

翌日
1年B組
「はあ?転校生。オリエンテーション明日からだってのに。前の学校がそんなにあれてたのかよ。」
「そうでもないらしいよ。なんか家の都合っていうかさ、あんた関連らしいよ。遥夢。」
同級生にそう言われ朝のHRに参加していなかったが故に事情を飲み込めない遥夢。その後、校長室に呼ばれ遥夢が、教室に戻ってきたのは昼休みになってからだった。
「あ。」「あ。」
転入生と、遥夢が顔を合わせ同時に声を上げる。
「何だ正規か。」
「なんだはねーだろ。なんだは。俺はおまえの親父に呼ばれて強制的にこっちに来させられたんだから。それから明日会見開くってさ。」
「は?なんの。」
「俺が知るかよ。でも俺もおまえも出ろってさ。」
幼馴染みの正規と会いどこかじゃれた感のある会話。
「婚約会見だってよ。」
「「はー?」つうかなんで涼子がそんなこと知ってるんだよ。」
「混神に教えてもらった。」
脱力する遥夢と、固まる正規。
「たく。きちんと告白しようと思ってたら、それすらすっ飛ばされたよ。」
「え。おまえ思い人いたのかよ。」
「ああ。居たよ。居るよ。目の前にな。」
その言葉に凍り付くクラス内。
「…おまえそっち系か。」
「あぁ?」
「レ、レズビアンだったのか。」
正規が驚いた風に言う。
「ば…馬鹿野郎。私は。私はな。」
「と、とりあえず落ち着こう。」
「あいっかわらず鈍珍だなあ、正規は。この人が好きなのはおまえだって、もうクラス中が知ってるよ。」
再び凍り付くクラス内。
「え?こいつが、おれを?いつから?」
「たぶん内定時前後。」
内定時とはこの話の5年前に行われた遥夢の次期国王内定式典のこと。
「そうだよ。そりゃ。私はがさつだしこんな話し方だから国王には向いてないかもしれないけどさ。でも私だって一人の女なんだよ。男の一人や二人好きになったって良いじゃないか。」
その場にいた全員が何も泣かなくてもと思った。一人を除いて。
「とりあえずおまえが18になったら、結婚式だって、おじさんが大騒ぎしてたよ。」
「あんのくそ親父ー。」

さて今更だが、これは遥夢たちの高校時代の物語だ。リンはまだ生まれていない時代。真朱彌と彌蘭陀が遥夢たちと知り合うのはほんの少し先の話。
この頃、遥夢は父親を見下し毛嫌いしていた。彼女はまだ、典型的な女子高生だった。
話し方も今とはだいぶ違っていた。
「来週は即位式だからなあ。空元気でいないと押しつぶされそうな感じなんだろうなあ。」
遥夢を幼い頃から従兄弟としてみてきた混神はいう。
「それよかさあ。この人の絵、すごくね?藍蒼大の1年らしいんだけど。」
「へえ。」
「つれねえなあ。」
この会話が、後々、一人の女性の進路を決定するきっかけとなるとは誰も思ってもみなかった。
「まあ、いいや。リンク申請しとく。」
まさか、申請された側も終日彼らと共に居ることになるとはこのときは予想もしていなかっただろう。
「あ、婚約会見来週だって。」

同日
青大央普通科2年G組
「直系王族?」
「そう。今年7人入ってきたんだって。」
「何だって7人も」
「それがさ、6人は1卵生の六つ子だからだってさ。」
この会話をしている2人の片割れも傍系王族である。国母トゥーラルの妹サラーニア・ラーニャラムージャを祖とする、巨大財閥の綾小路財閥の現在の当主である。名は、綾女。
「そう。」
『アハハハハハハハ。』
どこからか馬鹿笑いが聞こえる。
「この馬鹿笑い今年の直系王族の一人だってさ。」

1週間後
「バトル?誰と?二年?やっても良いけどさ、私図書館行きたいからさ、図書館で計算勝負で良いかな?あ。放課後に武道場でね。」
この武道場現在は普通科第二講堂となっている。
多少正規もなじんだところに綾女が勝負を申し込んできた。
「放課後で良いんなら良いんだけどなあ。」
ぼやく遥夢。
「うけたの?よし。」
放課後
「あんたが直系王族?」
「何それ。私は私。」
軽い言葉の投げ合いの後綾女が、家でさんざん稽古をつけられた長刀を構える。対する遥夢はというと素手である。
「自分で言うのも何だけどさあ。強いよ。私。」
その言葉を実証するのに時間はかからなかった。仮設リング上で綾女が遥夢に斬りかかるも、当の遥夢は綾女の肩と背中に手をかけながら飛び越えてしまったのだ。そしてその直後崩れ落ちるようにして倒れ、ぴくぴくとけいれんする綾女。
「今なした?」
混神が問う。
「蜂雷球浴びせた。」
現代
「いや。今はさすがに出せません。蜂雷球がメインだったときとは能力系統が大幅に違ってしまっていますから。」
遥夢が、誰かの問いに答えている。
「そもそも人の恥ずかしい部分をほじくり返しちゃいけんべさ正規君。」
どうやら、正規が蜂雷球に絡めて遥夢の恥ずかしい過去をつついたようだ。
「そう言えば、神子は神子でよくぼやきますよね高校時代を神子体で過ごしたかったなあって。」
「うん。もうかなわないことだからこそ、ぼやきたいのよ。あのとき勉強しておけば今頃は的な感じかなあ。」
これは誰もが経験していることだろう。あのとき勉強しておけば今よりも…と。
「いってー。」
「あ。出せた。力球系はもう出せないと思っていましたからねー。」
「蜂雷球は基礎中の基礎だから能力系統に依存しないんだねえ。」