ALC-2

「ひゃっほーい」
あ!こんにちは、これを見つけたって事は、私の視点から見た蒼藍王族の生活に興味があるって事ですか?もしそうならとてもうれしいです。
でも、これから、お話しするのは、私が経験した初めての学校調査です。

以下の話は、L.C-S15章とリンクしています。

第461次無年時第5326億4328万3360期3月某日
蒼天宮
「晶君、学校調査を依頼しても構わんかね?」
その日、私が家である、蒼天宮の廊下を歩いていると、祖父がそう聞いてきた。
私はそのときに、母に概要を聞いてから答えを出すと言って一度は断った。
それから2ヶ月後
5月中旬
「晶ちゃん。」
「なに?」
「今日、晶ちゃんのおうちに遊びに行っても良い?」
私は、連邦のとある小学校の第4学年に籍を置いていた。
というものの、まだ、なれていないために、母に教えを請おうとしても、母も私と同時期に紅蒼国の高校における学校調査に入ってしまっていたため、どうしよ うもなかった。
「あきちゃんのおかあさんてどんなひとだろう。」
家にいないとは言えなかった。
そのことを言えないまま、その友人である実喜を家に連れてきた。
何気なく、いつもの感覚でドアを引くとあっけなく開いた。そして、
「お帰りなさい。」
母が、逆さで出迎えた。
「…あなたは見抜いていますか?」
「はい?」
「気づいてませんでしたか。あの子、もうすぐ死にますよ。」
母にそう言われて私は塊かけたが、
「そ、そういえば、母さんはいつ帰って…じゃなかった、なにやってたの?」
「いや、天井裏の配線が気になって、上ってたんですよ。どうにも反応が遅くて。混神風に言ったら、もっ…何だっけ?」
「もっさりかね。」
この、何とも言いようがない話し方の人が、混神さん。
「いたんですか。」
『晶ちゃーん、お邪魔できないよ~?』
彼女は本当にもうすぐ死んでしまうのか、彼女、実喜をじっと見つめる。
「どうしたの?」
実喜が問いかけてくるが私は無言で、見つめ続けた。
「実喜ちゃん、今日から、親と寝ないと危ないよ。」
そう言って、私はしまったと思った。
「どうして?」
「えっと。その。」
「君たちみたいな小さな女の子が好きなバカな大人が最近多いからな。お父さんやお母さんと一緒に寝ないと、危ない目に会うって言うわけ。それから、なるべ く、学校以外では一人で行動しないようにね。」
結構混神さんは、無理をしていたと思う。混神さんは、小さい子どもが大嫌いだ。いや、総じて、蒼藍王族は小さい子どもが嫌いだ。しかし、混神さんの嫌い方 は群を抜く。どれくらいかはいずれ語るとして、こんなに優しげに小学生に話しかける混神さんを見たことがなかった。
「ん?子ども嫌いじゃないのかってか?もちろん嫌いさね。でも、小4あたりからは許せるねぇ。」
何を許すことが出来るのかは分からない。でも小学4年生ぐらいになると、知識と、思考が、ある程度付いているため、知ったかぶりをすることが少なくなる。 知ったかぶりをことごとく嫌うのが、混神さんだとあとで母に聞かされた。
たまに変なことを言い出すが、それが混神さんの良いところでもあると母は語る。

夏休みそれは、私が、母と過ごすことが出来、さらに元の大きさに戻ることが出来る時期である。
「晶~、いい加減起きなさい。」
「ん~。今何時~?」
「7時ですが?」
「それじゃあ8時までには起きるから、もう少し寝かせて~。」
私は、夏休みで、母がいる北浜市にいる。
「…あと3分以内に起きないとおいていきますから。」
あれ?今日は何かあったっけ?ああ。そうだ、混神さんの実家にお邪魔するって言ってたっけ。
「まって~。」
「…はぁ。晶らしいと言えば晶らしいですね。」
「おまえなぁ。出発は9時なんだから、もう少し寝かせてやったらどうなんだよ。」
そう言って、母に意見したのが父。
「ですが、混神が迎えに来る時間と、混神の実家までの所要時間を考えるともう限界なんです。」
八時に、混神さん達が迎えに来た。HM-HWを使用して、長京第一都心へ向かう。これで一時間半。そこから、車で、20分。ついたのは、10時頃だっ た。
「おじゃましまむし。」
混神さんの声に反応したかのように、子ども達が集まってくる。
「お前なぁ、いい加減その挨拶どうにか…。」
「勝手知ったる人のうちならぬ勝手知ったる久方の実家ってな~。」
父の小言をスルーして、まるで自分の家のように廊下を歩いて行ってしまった混神さん。
「お久しぶりです。御山家弘美が長男神助、暑中のご挨拶に参りました。」
「あの、涼子?」
「ん?」
「混神が言ったコウスケって何ですか?」
「混神の連邦上の戸籍名は御山神助っていうの。連邦上の戸籍では、混神っていうのが受理されなかったの。だから、神助で登録したらしいよ。」
驚いた。でもぴったりの名前だと思う。だって、神を助けると書いて神助だもの。
『みんな、あがりな。』
男の人の声が聞こえた。
母や、涼子さんは毎度のことのかのように、靴を脱いで、声が聞こえた部屋に入っていく。気づけば、玄関に立っていたのは私だけになってしまった。
「何してはるの晶さん。」
優しげな声で問いかけてきたのは天医の真朱彌さんだ。
「はよあがり。後から来る人の邪魔になってまうよ。」
私はその言葉でようやく混神さんの実家に上がった。
「まあ、躊躇するのはわかるよ。私も最初は、混神さんに見下ろされるまであがれんかったからなぁ。」
「広い家ですね。」
「今じゃ、布施市随一の名士ってもっぱらの噂や。まあその金は3C社から流れてるらしいんやけどね。」
『真朱彌さーん余計なこと言ってないで窓開けて下さい。」
混神さんの声に従って、真朱彌さんが窓を開ける。そこへ、ふわふわと浮かびながらリンさんが、左腕を光らせながら庭に出て行った
「でもさ、何で無砲身なの?」
涼子さんの声である
「暑苦しく見えてしゃあないから。」
「あっそ。」
自分の返した応えにあっけなく納得した涼子さんに少々戸惑いつつも混神さんは、位置を微調整するリンさんに対し発射のタイミングを伝えた。
発射のタイミングとなり発射された巨大な白い光が消えた後、耳を押さえずにはいられないほどの轟音が響いた。私を含めて慣れない者はさぞ肝をつぶしたこと だろう。
どれくらい経ったのだろうか?私が窓の外を見ると、まだリンさんは仁王立ちのまま空を見上げていた。
よくもまあ、あの帽子は落ちないものだ。そう感心しながら、視線を何気なく下に向けた私は腰を抜かしそうになった。
なぜならリンさんの足下の地面がへこんでいるのが確認できたからだ。後で聞いた話だが、あのへこみは、リンさんの整流砲の反動によるものらしい。
「そういえば、なんで二本鎖なんだろ。」
ぼそりと混神さんがつぶやいた。
「え?」
思わず私は聞き返してしまった
「うちの姉ちゃんたちのDNAさ。うちの親もうちやシスターズも四本鎖なのにあの二人だけ二本鎖なんだよな。」
私の問い返しを涼子さんからの問い返しと思ったのだろう。混神さんはさらにつぶやいた。そのときだった。
『『おじゃましまーす。』』
玄関の引き戸が開いた音の後に二人の女性の声がした。
「うわさをすればなんとかだね。」
混神さんのお姉さんたちが来たらしい。
「あれ?神助来てたの?」
背の低い方のお姉さんが混神さんに問いかける。
「来てたもなにも、勅命で運転手だよ。」
勅命で運転手というのは私の母が国王だからだ。つまり私はお姫様と言うことになるのだろう。
そのあと、混神さんは、お姉さんたちを無視して、話を進めていたが、
「しゃーない調べるか。」
と涼子さんに言って立ち上がろうとした。
「相も変わらず魚はだめなのか。」
この父の言葉に立ち上がりかけた混神さんは盛大にこけてしまった。
「しゃあないだろうが。魚の中には「ウオノエ」つって口の中とか体色に同化して体液を吸ってる節足動物の寄生虫がくっついてる場合があるんじゃ。」
「タコイカはいいのか?」
「そこはご心配なく主上が召し上がるものは完全に寄生虫などの不純物を顕微鏡検査を通して取り除いたものだから。」

宴会が始まって、大騒ぎとなった。
「じゃあ、とりあえず、もらうよ。」
そう言って、混神さんがお姉さんたちの髪を一本引き抜きリンさんに渡す。
「それだけでわかるのか?」
「だから何がわかるのかを説明してよ。」
「ん?ああ。姉ちゃんたちがなんで二本鎖なのか。」
ここで、涼子さんが手にしていたお盆で混神さんの頭を殴る。
よくそこまでできるなあと2人を見ていると感心する
「あほ。そんなんでわかるのは遥夢か真朱彌さんぐらいでしょ。」
「さりげなく、ひどいこと言われた気がするのは気のせいやろか?」
真朱彌さん、気のせいじゃないはずです。
「…まあ、それは気にしないで下さい。わかるというのはお姉さんたちの持っているDNAがなぜ二本鎖。つまり二重らせんなのかと言うことです。」
「え?二重螺旋なのは人間なんだから当たり前でしょ?」
お姉さんたちの言葉に混神さんと俊之おじさまが苦笑いする。
「残念だけど、この席にいる人の半分が人間じゃないよ。4本鎖DNAだからね。」
え?と言いたげな表情で混神さんを見るお姉さんたち。
「姉ちゃんたち2人を除けばうちらも、父さんも母さんも皆四重螺旋DNAを持つ蒼藍族なのよ。」
「でな。原因なんやけど、一応二人ともDNAはちゃんと4本あるんよ。」
真朱彌さんの言葉に場は静まり返る。
「は?」
まあ、そういうのが一番妥当な反応なのだろう
「いや。『は?』やのうて、二人ともDNAはちゃんと4重らせん構造なんよ。
でもな、とある遺伝子の関係でなDNA染色薬にも電子顕微鏡による走査にも透 過にもおよそ今現在存在しうる、
DNAの確認方法には一切反応が出んようになってしもたんよ。」
「不活性化するには?」
「薬は無理やねぇ。その遺伝子が作り出すタンパク質はな、その個体に投与される対遺伝子異常用の薬を一切無効化してまうんよ。」
そう言って、考え込んでしまう真朱彌さん。
「可能性があると言えば、蒼天の剣やな。」
「医学都市伝説の?」「あの斬られた者は病気やけがが一瞬で治るという?」
じっさいには、父と涼子さんの言葉が重なり何言ってるのか全くわからなかった。
「せや。だけど、どこにあるかはわかっとらんのや。」
よく聞き分けられたなと思う。そして母が口を開く。
「蒼天の剣はアリアカントにありますよ。」
「「アリアカント?」…あ~。」
一人納得した声を上げる涼子さん。
「混神、アルリアー・ザンカントだよ遥夢が言いたいのは。」
「…涼子、それを言うなら、アルハ・ザナルカントだがな。」
「「アルハザナルカント?」」
「時空と時空の間に浮かぶ都市さな。魔法が発達した町で、その礎であり守りとなってるのが。」
「アルハ・ザナルカントというわけ。」
2人の説明に納得の空気が流れる。
「確かライターナから行けると聞いたことがあります。ライターナの礎である石緋紅を、真の持主たるものが抜くとライターナとアリアカントがつながるという 昔話をおばあ様が。」
つまりは私の曾祖母に当たる方だ
「はぁ。姉ちゃんめ。余計なこと吹き込みやがったな。」
ため息をついたのは俊之さん。
「でも、取り出すことができるのはその剣をさした者の子孫。末裔だけ。」
「いってらしゃーい。」
混神さんが間延びした調子で言う。
「は?」
母の動きが止まる。
「今から狸天まで行くのやだもん。」
「…そうですか。…て、狸天?」
「そうだよな。リン。」
混神さんの問いかけにうなずくリンさん。
「どういう意味ですか?」
「ライターナは狸天湖の湖底に沈む都市のことですかんね。」
なにやらぼそぼそと混神さんにリンさんが何かささやきかけている。
「何を?」
そこは大声で返さなくても。
「蒼天の剣です。」
そうリンさんが言うと、混神さんは、
「あっそ。じゃあ、真朱彌さんに渡しとけ。お前が持ってるとろくなことがないかんな。」
とだけ言い、そっぽを向いてしまった。
「ほな斬るで~。」
真朱彌さんのんきな声に母がGoサインを出す。
「蒼天の剣に斬られた者はあらゆるけがや病気が治る。」
そのあとの再検査の結果、特定遺伝子の発現は見られず、その遺伝子に由来するタンパク質も確認されず、正確に4本鎖DNAが確認された…らしい。

「遥夢くんたちの娘さんか。」
「はい。晶と申します。」
「…半々だな。」
俊之さんが私を見て、そうつぶやく。そして、混神さんの親戚が私の顔を見て顔をかしげる。
私は、ものの見事に両親の顔を半分ずつ受け継いでいる。髪の癖もそうだ。
右が父の顔、左が母の顔。だから、右目に比べて、左目は若干つり上がっている。髪の長さは母譲りで長めだ。
私が困ってるのを尻目に、両親と涼子さんは何か話している。庭はいつの間にか元に戻り、子供たちが走り回っている。
この家の庭には2つの池がある。一つは、母屋から見える池でたくさんの鯉が泳いでいる。もう一つは、そこから延びる水路の先にあり、母屋からは植木の陰に なって見えない池だ。皆これを「奥の池」と呼んでいる。
この家の庭に植えられた植木は、絶妙な配置でもって、植えられており、子供たちにとって、とてもすばらしい、遊び場のようだ。
突然、子供の泣き声が響く。確か、子守にリンさんが居たはずだがと辺りを見回すと、リンさんは、母と何かを話していて、とても出られる状態じゃない。
仕方なしに行こうとすると、真朱彌さんが、私の横を駆け抜けていった。
「奥の池は、沈殿式浄水池だからある一定の深さがあるんよ。そいでもって、その中程から、地下の浄水施設に、一時処理水を送り出してるからな、奥の池に落 ちた場合、かなり危険なんよ。
いま止めたけんさ、完全に機関が停止するまで、少なくとも1分はかかるし、機関を止めてられるのは長くて10分だから真朱彌さんには急いでもらわんと。」
「どうしてですか?」
「機関を止めると、酸素を含めた水が送られなくなるから、溶存酸素が少なくなる。一定値を下回ると自動的に機関が起動してしまうんよ。その限界値が停止か ら10分。」
「混神さん。みつからへん。」
「りん、上空からの探索。涼子は奥の池への流入水路を止めて。真朱彌さんはもう一度奥の池をお願いします。正規、宗介、殿下は、うちと一緒に地下の浄水施 設を探索して下さい。」
数分後、広大な地下空間に広がる、本物の水を使った鉄道のジオラマから、ご近所中に響くかと思われる怒号が響き渡った。

「どないしたんや?」
見つかった子供の談によると大人や、いとこたちを困らそうとして、おぼれたふりをして居たらしい。
池の中を探索し、流出口から地下にある浄水施設に入って、あのジオラマがあり、怪獣ごっこをしたくなり、遊んでいたそうだ。
「どうどう。混神、そんなに怒らないで。」
「そうだぞ。何でそんなに怒ってるんだ?」
「危険だからだよ搬水路を出れば、一応こういうことも予期して網を仕掛けてあるけどな、ああいう風にすぐに滝になってるし、その滝壺は、強酸性になってる 上に流れてる水は、全部有毒なんだぞ。
それにこのジオラマは王国の治世にとってめっさでかい意味をもってんだ。
それをただ怪獣ごっこがしたいという事で、ここまでめちゃくちゃにされたら、そりゃ怒るわ。この馬鹿坊主。」
いつもだったら、混神さんをいさめるはずの涼子さんや、真朱彌さん、それに母も今はとても険しい表情で、少年を見つめている。
「それで、混神、被害は?」
「被害?子供のいたずらに被害も何も。」
「このジオラマは現実空間とリンクしてんだ。この路線配置どっかで見たこと無いか?」
混神さんの言葉に私たちが居る高台から、ジオラマを見下ろすと、なるほど、長京市のそれも、第一、第二都心の路線網にそっくりだ。
「まだ、LTR保有路線に影響はありませんが、JRの篠ノ井線や、大糸線、信越北線は、おそらく軌道断裂による、運休もしくは、列車転落、破損などで、少 なくとも死傷者は5300人。153万人に影響が出ますし復旧までに1963兆5384億円の損害が出るでしょうね。」
ぼそりと言う混神さんの言葉に、場は静まりどうと音を立てて流れ落ちる水の音が響き渡った。
『…死者2452人を数え、4200名が、骨折などの重傷320人が意識不明の重体となっています。また、JRと中都交通局によりますと今回の事故により 243万6千人に影響が出るという事です。』
「ということで。」
混神さんが残酷な笑みを浮かべる。
「こんな事故の原因がこの子にあるとは。償っても償いきれない。どうすれば許してもらえるのだ?」
少年の父親が頭を抱えている間、混神さんは少年を手招きする。おびえる少年を母親が押し出す。
混神さんとリンさんが万歳の姿勢で拘束し、涼子さんが脇腹をくすぐる。
笑い声に父親が頭を上げたとき、宗介くんが、少年の頭をぐりぐりと…どう表現しよう。簡単に言うと、クレヨンし○ちゃんで○んちゃんが、いたずらしたりし てされているぐりぐりという擬音の入るお仕置きだ。
少年はなきさけぶが、助けようがない。数分後、大泣きする少年は、両親の元に帰ったが、混神さんからハリセンを手渡された母親に一発ばしっとはたかれても う一度大泣きした。
そして、数分後。
「よし。ここにいる子供たちに質問。もう二度と、あの池に勝手に近づかないとこの銀色の髪のお姉さんにしっかりと約束すること。
もし約束を破って、そこの少年見たく頭ぐりぐりのお兄ちゃんが来ても文句は言わないと約束できるもんは、元気よく手を上げなさい。」
少年も含めた子供たちが元気に手を上げると混神さんは、一人一人に何かの入った箱を渡していく。
「本当はいけないことだけど、みんな良い子だからな。明日発売の新しいゲーム機だ。でも、時間を守らないと、またこのぐりぐりのお兄ちゃんが行くから な。」
まあ、あの光景がよほど応えたのだろう。頷くしかないようだった。

この辺でお開き。

次はいったいどんな話かな。