L.C第35章 神々の裁き

「総員、第9種戦闘態勢。メインリアクター始動」
「メインリアクター始動」
艦長席には遥夢の代わりにリンが、そして副長席には混神が座っている。
「状況確認。発進シークエンス、省略内容確認。」
「全4000の発進シークエンス中45番から169番、236番から457番、1239番から1367番の省略とそれ以外の内容の確認を完了。」
「了解。メイン、サブ、両エンジン始動。」
「エンジン始動。メインエンジン回転率、40%…100%…300,400,500%で一時安定。」
「了解。本隊合流地点への到達予定時間確認」
「0320時。重力加速レンズ展開開始。」
「メインコンピュータ起動。A.I起動。」
リールシェルの主艦橋内では着々と発進準備が整っていた。
『L.O.LANリンクエンスコンプリート。オールシステム、オールグリーン。エンジンターンオーバー1000%…発進シークエンスコンプリー ト。』
「了解。重力加速レンズ連15、初速950。発射まで残り75秒」
藍蒼上空に浮かぶ全長およそ50kmの巨大艦が戦地に向かい走り出す。世界地図を書き換える。それは世界の気候の安定のためにはどうしてもやらなければな らない。
本隊と合流する。正義を表す白一色に塗られた、艦がいっぱいに広がっている。数え切れないほどである。
『元帥代理としてここに命ずる。総員…作戦開始。』
リンがそう言うと見える範囲いっぱいに広がっていた、戦艦が一斉にワープした。
そして彼らも戦地に赴く。
「涼子、リンの手握っててやってくれ。」
「へ?なんだ?」
「今まで、遥夢は何で艦長業務に集中できていた?この世界のみならず全ての世界の気候維持に力を回さずに。」
「…リンがいたから?」
「ああ。その時はリンが肩代わりしていたんだ。」
「今はそれを一人でやってるから?」
「力を貸してやれ。」
「わかった。」

『混 じりたる神々の、その御山の、頂に立ちたる混じり神。それ支うるは、巫の剣持ちたる涼しき子。世界を判ずる混じり神。
そばに控うる者の凛としたる瞳に宿る は遥かなる夢。その夢正しきものとなすは、正の規なり。
世界を創りし、五人の神々これ表す言葉、それそのまま禊の則となり世界を守る。』
『何だよそれ。』
『僕が帰るときに必要な言葉です。リンと混神に習っていってください。』
「遥夢?遥夢~」
いきなりそういって飛び起きる正規
「うるさぁぁぁぁ~~~い。まったくいきなり何さ。廊下に倒れてしかも三日間ずっと寝てたんだから。」
「…すまない。遥夢は?」
「………世界地図を書き換える。姉さん楽しそうにそういってたよね。」
「そうだな。」

「最後の一発行くぞ。」
開戦から早59年ほとんどの艦隊がそこに集結していた。
「全艦、全装備発射用意。」
混神の言葉に、すべての戦艦が従う。
「全力投球~~~!!」
その言葉を皮切りにその国の国家機能は完全に沈黙した。もうすべての国が王国に抗議できない。しようにもないものが抗議しても意味がないのだから。
「終わったな。」
「お疲れ様みんな。」
「全軍帰還開始!」
三者三様で3人とも別のことを言う。
そして蒼天宮に戻ってきた。
「…ということがあったわけだ。」
「…行くぞ。」
正規の話を聞いていた混神が立ち上がり、リンと、涼子も立ち上がる。
「遥夢が死んだ場所だ。」
「やはり死んでいたか。」
あの時と同じようにエレベーターに乗り、地下95階のあの部屋にはいった。
「「混じりたる神々の、その御山の、頂に立ちたる混じり神。
それ支うるは、巫の剣持ちたる涼しき子。世界を判ずる混じり神。
そばに控うる者の凛としたる瞳 に宿るは遥かなる夢。その夢正しきものとなすは、正の規なり。」」
その言葉に反応するように6つある水槽の水がざわめき立ち、なぜか風が起こる。そして4人の前に人影が現れる。
『59年・・・ですか。』
「ただいま戻りました。」
遥夢である。
「母様~~。」
「晶?」
「よかった~~。」
「…なんなんだろ~な~。ほな、家族団欒でも楽しんでくだされな。」
遥夢に飛びつく晶を見て混神がため息をつき去っていく。
「素材はいいから、もちっと長くすればもっときれいになると思うんだがな。」
そうつぶやき、部屋を出た、混神たち。
「こうして見ると、子供ほしくなるかもね。」
「うちはまだいい。またあの苦労を繰り返すのはいやだし、その気になればいつでもできる。時間はいくらでもあるのだから。」
「そういうものなのかな?」
涼子が首をひねっていると、いつの間にか、真っ白なコートに身を包んだ混神が歩き出していた。
追いかけようとする彼女をリンが引き止める。
そして薄い水色 のコートを差し出す。リンは、とても深い緑のマントを羽織っていた。
「何をしている。いくぞ。」

藍蒼国際空港
神宮山国際空港から改称したLSN-LTAの拠点。航宙機の発着に有利な高高度に位置している。
また3500m級滑走路を5本装備する巨大空港でもある。
第1ターミナル。LTA,JAT,BAの3社がフラッグシップを務める世界最大の航空連合である、ワールドスカイの拠点となっている。
なおLTAは運航機 体の数が多いため、第2、第3ターミナルも占有している。(この空港には15のターミナルがある。)
『ラン・ベルタニカ航空65便とサン・アルバスタル航空235便の接触事故のため、12:47分発のLTA1269便の発射が遅れています。
お客様に はご迷惑をおかけいたしますが、ご了承いただきますようお願いいたします。』
「なあ、リン、確かサン・ベルタニカはブリタニカ・エアライナーの系列会社だよな。」
「はい。ですがHAPSは搭載されていません。Concorde-Vではないので。」
「…エーテルラインプロジェクター起動。」
『サン・ベルタニカ65便第4スラスター近辺にエーテル集中。霊体透過。』
リアが映し出した情景を見て混神たちは言葉を失った。
何やらよくわからない言葉にし難い形状のものが、うようよと蠢いているのだ。
「…どうする?涼子、あれ使うか?」
「あれ…CDなら使えば?」
「うし。コイルスドメイン発動。」
『ドメイン自動入力完了。cns://cnw./co.sr認証。ドメイン実体化。転送開始。』
リアの声がターミナル全体に響き渡る。
コイルスドメインは未だその性質が解明されていない未知のドメインである。
「お~さすがだわ。」
『エーテルライン正常化中。コイルスドメイン発現まであと7秒。5,4,3,2,1発現を確認。』
「何?うそ。壊れたところが治ってく。修復結界の中に入ってないのに。」
「あれはコイルスドメインのほんの一部分にすぎんさ。もうすぐおもしろいことが起きる。」
混神がそういうとリンの髪が逆立ち、風が起きる。それとどこからか光が走り滑走路を破壊していく。
「リンの力が今すべて発現した。王国をすべて書き換える。」
「どういうこと?」
「まあ見てりゃあわかる。」
そう混神が言ったあと世界が青一色になった。
すぐに元に戻る。
「コイルスドメイン終息確認っと。」
「行きましょう。」
まったくもってよくわからない展開である。