L.C-S 第13章 二人の王様、二人の宰相、一組の夫婦漫才

「リオナ、本当に良いのかい?僕も一緒に行って。」
「何言ってるんだ。これからはどんなときも一緒だと言ったのはおまえだぞアレル。」
「そうか。でも、日本の鉄道に乗ったのは初めてだ。」

同期8月夏休み
「うかつだった。時差を調べるのを忘れていた。」
『まあ、王国本星との時差に比べたら、まだ気楽ですよ。たかだか5日なんですから。』
『まーた広がったんだっけ?本星との時差。』
「は〜い〜。一気に2倍ですよ。まあ、前回測定から考えれば、むしろよくもまあ、この程度で済んでるなあって言う感じでしょうか。王国の藍蒼標準時は、ま だ7月ですから。」
リオナとアレルが、駅に着いたときに聞こえてきたのは、聞き覚えのある男女の声だった。
「でもよぅ。何で俺だけ、水泳補習なんだ?混神だって。俺と同じ成績じゃねぇか。」
「混神は、一応、50mは息継ぎ付きで游げますし、息継ぎ無しの素潜り状態だったら通界記録を保持してますからね。男子の。一応は游げるんですよ。それ に、僕もつきあうんですから。」
「おはよう御座います陛下。」
「ん?ああ。リオナ。到着したんですね。」
遥夢と正規が、リオナの挨拶に振り向く。
「それじゃあ行きましょうか。」
「行くって何所に?」
さも当然と言うかのごとく遥夢が、正規とリオナの手を取り歩き出そうとする。
「何所って決まってるじゃないですか。学園ですよ。」
北浜学園は東は仙台、東都。北は中都。西は西都から総勢10万人近い生徒が集まり、共同生活を送っている。そして、その98%が寮生活を送っている。
もちろん地元民も受け入れているので、自宅から通う者も少なくないが、それでも寮生活を行う者のために北浜町の60%をしめる広大な敷地を有している。
現 在これを超える学校施設は、日本連邦内には存在しない。
「広い。」
「そうですかぁ?」
蒼藍王国には、藍蒼市の学術区を2区画占有し、幼稚園から、大学院までを内包する、国立の藍蒼学院と
、藍蒼市の学術区を1区画占有する、王族系財閥の傘下 にある綾小路学園、
藍蒼学院の高等研究所を発祥とし、現在そのすべてが藍蒼学院付属藍蒼大学の所有物である、学術都市惑星オーウェンという、超巨大学園組織が3カ所もある。
特に藍蒼学院は藍蒼にイランよりほんの少し小さいだけの領域を有するだけでなく、惑星まで有している。
そのため、そこの卒業生である、遥夢にとって、北浜 学園はかなり狭く感じるのだ。
「十分広いですよう。」
「その割には、平気で、藍蒼大に通ってましたよね。」
「藍蒼大は、寮から、学科棟が近かったから迷わなかったんです。」
納得したという動作をする遥夢を慌てた様子で正規が引きずっていく。
「付いてくるなら付いてこい。」
そう言う正規達の後について、4人が付いたのは、プールだった。
「はい。お二人の水着ですよ。」
そう言って、ビニールに包まれた、純白の水着をリオナに、濃紺の水着をアレルに渡す遥夢。
渡された水着に着替えて、プールサイドに出ると、遥夢達も出てきた。
「さてと、アレルとリオナは游げるんですよね?」
「まあ、いざというときのためにある程度は。」
「涼子、混神は?」
そう訪ねられて、涼子は、プールの真ん中あたりを指さす。そこには、ぷかぷかと、浮かびながら眠る混神が居た。
「つれて…来られちゃいましたね。」
真朱彌が混神を連れてくる。でも起きない。
ところで、なんで、真朱彌は保健医なのにここにいるかといえば、それは、この時期一番生徒が集まりけがや事故が起こりやすくなっているからといえる。
だが、本当の理由はエアコンで冷やすより、泳いでいたほうがいいと思ったかららしい。現に彼女はプールサイドでは競泳水着にタオル地の白衣を着ている。
「さてと、やりますか。」
「マジかよ。遥夢って、結構スパルタでこえぇんだけどなぁ。」
それをあえてスルーして、遥夢は、正規に泳ぎを教えている。
「あ、おぼれた。」
涼子の言葉に混神が起きる。起き抜けに涼子が水着の肩紐に挟んでいたゴーグルを抜き取ると、ゴーグルを長い浮遊性の強い板に変え正規の顔の下に入れる。そ してまた寝る。
「寝ちゃった。」
「…そういうことですか。」
一人で納得する遥夢。
「このまま続けますよ。正規さん。」
「マジかよ。勘弁してくれよ。」
「だめです。」
もうどうにでもなれという感じで、泳ぎの練習をする正規だが、勢い余って遥夢にぶつかってしまう。
「まるで漫画やな。」
真朱彌が、その光景に呆れながらも突っ込みのような感想を告げる。あえても前回のこと元にして短編書くか。
「主上ならわざとやりそうだな。いっちょ脅かしてやっかな?」
そう言って、空中に開けた穴から、蜘蛛のおもちゃを取り出す混神。
「そんなんじゃ遥夢おどろ…くかなぁ。その前にいつ起きた。おい」
「節足動物恐怖症だからねぇ。まあ、海棲節足動物は大丈夫みたいね。大まかに言えば、カニや、エビのたぐいは。」
「私の問いはスルーかよ。」
突っ込む涼子に対して混神はというと、
「きにすんなって。正規が男としておいしい思いをしたときだよ。」
「なによそれ。」
「男としては、おっきな胸に泳いでいて、ぽよんとぶつかるなんておいしい思いをしてみたいのだよ、涼子君。ましてや、主上は93のJカップ。男としては、 こんな巨乳はなんとしてでも触ってみたいと思うのが筋なのだよ…と思うんだけんねぇ。いかんせん、触るに触れないんだよねぇ。近寄りがたくて。」
「混神はどうなの?」
「うちは、目の前にこんな立派なポニーテールがあるのだから、そっちに夢中。正規は、遥夢そのものに夢中で、自分が今、このプールにいるこの出来事に気づ いた男子諸君から羨望と憎悪の眼差しを受けていることに気づく以前に泳ぎの練習に必死で気付ないのよ。」
実に混神らしい意見の後で実に正規らしい状況を述べる混神である。
「なるほどねぇ。じゃあさ、話戻すけどそのさ、海棲節足動物は大丈夫みたいってんなら、その、カブトガニとか、カブトエビは?あり?どったの混神。」
呆れる混神に対して問う涼子。
「そりゃなぁここには水生昆虫いねぇから安心できるけんさ。うちも虫とかそう言うたぐい苦手だっての分かっていってるンか?そもそもカブトエビは淡水性だ と思うぞ。」
「分かってるよ?にしても混神は、ほんとに浮くの上手いね。」
『こんのクソ坊主〜!』
女子の怒号が聞こえる。
向けば、世間一般にはイケメンと言われる顔立ちにつるりと頭を剃り上げた少年が、果敢にも怒れる女子に食いかかっていた。しかしまあ、女子は強い。次第に 少年を追い詰めていった。
「うわ〜ねえねえ混神…あれ?混神〜。」
「あそこですね。」
「あ、リンもいる。」
女子たちと、坊主頭の少年が退治しているその間にうつぶせに浮かぶ混神が流れ着く。
「ばあ。」
そういって、顔を上げた、混神を見て、女子が後ずさり。
「どうも、生徒会一の馬鹿でございますが、何か?」
パーンッ
小気味よい音がして、混神が頭を抑える。音の原因は、プールの縁にしゃがんでいたリンが、スリッパで、混神の頭を引っぱたいたことだった。
「あ、私がいけないところで混神が馬鹿やったら、とりあえず突っ込んどいてって言っといたんだった。」
そういいつつ、遥夢たちが追いつく。
「まあ、おちつかぁさ。…て、坊さん悪くねえじゃん。単なる思い込みじゃん。やだやだ。多少顔いいからっていい気になって、冤罪作る性格ブスは。」
「まあ、所詮サルの延長でしかないのだから仕方ないよ。自分さえよければそれでいい。それが動物なのだから。」
じゃあ遥夢たちは何なのかといわれると、こう答えるしかなくなる。「遥夢たち神は、人の形をとる精神体であり、本来肉体を必要としない。しかし、効率のい い、エネルギー代謝のために肉体を有しているに過ぎず、肉体がなくとも生存は可能である。つまり、動物ではない故にこのような言動を行う。」と。
『警告、四-三式信号弾を確認。高加速型反陽子砲の射出が予想されます。』
「高加反陽砲?!何で……遥夢、ガトリングレールガンのスタンバイ!」
「珍しー。混神が遥夢を名前で呼んだよ。」
混神は、とある法律に異様に固執している。つまり、国王に関する、呼称に対して定めた法律である。
この、学校調査の前年に法律が改正され、王国設立以来記載され続けたその文言は一文字残らず削除された。しかし、そのことを混神は全く知らない。
「えっと、混神?」
「とっととせんかい。リア、到達まで後何秒だ?」
『40秒。』
「主上は、ガトリングレールガンの準備は後何秒だ?」
「えっと、1分と15秒。」
混神は少し考え込んでから、
「さみぃなぁ。」
といいながら、きょろきょろと周りを見回した。
「整流力場精製には何秒かかる?」
「「2秒!」」
「こいつを整流力場に載せて撃て。」
そういって、混神が、差し出した、スポンジを無視して、そのままリンが整流砲をうとうとしたが、
「「発動しな…。」」
そう言い終わらないうちにそれは起きた。
バキッ
プールの底がへこんだ。彼女の周りの水は一瞬にして、蒸発してしまった。
「無砲…身…整流…砲…。へ。へはは。」
「まさか、無砲身整流砲を撃てるようになってたなんて。真朱彌さん、何で黙ってたんですか?!」
「いや、そんなことゆうても、私が一番驚いてるんや。リンさんのまねして、腕に力集めて放つイメージしたら、そのままさっきのあれが撃ててもうて。」
混神が、考え込む。
「リンは水に対する、能力相性が悪すぎて、発動しなかった。主上は、水に対する能力相性が良すぎて、発動しなかった。でも真朱彌さんは、水に対する能力相 性が一切存在しないただ一人の存在な訳だから、発動した。さらに、彼女は、創造主二人に次ぐ能力値が有る。」
「能力値がある?」
「整流砲は能力記号S-w(Sダブル-)以上の量のエネルギー制御量がないと扱えない。最初真朱彌さんにあったときはテンションがあまりに高すぎて、能力 値を確認することは出来なかった。最初の計測では彼女はC+wだった。前回の測定ではA+t。そして、さっきの測定では、LSXsp+(スーパー+)。参 考までにいうと、リンはLSXSl+w(ラスト+ダブル)、主上はLSXS0。真朱彌さんの場合、後一度、有砲身整流砲を放つとLSXS-tつまり、新世 界の創造主となる。しかし、彼女はそれを望まないだろう。.じゃあ、それで良いじゃないの。その能力は、演算に回せば、それだけで、おそらく、真朱彌さ ん、あなたの行う研究が開始10分で完成するはずです。」
混神が長々と話す。
「なんやて?」
「でですねえ、さっきから気になってたんですけどねぇ、なんで、真朱彌さんの周りは綺麗に丸く水が蒸発したまんまなんだかねぇ。」
「長々と説明ご苦労様。でもねぇしまん無いんだよなぁ。水着着たまま、水の上に浮かんでしゃべってても。」
正規がつぶやくと、
「良いんじゃないんですか、あの残酷な混神が出なくて。」
残酷な混神とは、先の国境防衛戦の折、相手1万5千隻を一つとする1コ艦隊43個分を一度に薄ら笑いを浮かべながら一瞬にして消滅させ、さらに相手国の全 て の惑星を住民もろとも蒸発させたうえに、「つまらない。この程度の攻撃に耐えられないようなら、王国に攻め入ろうと考えるんじゃねーよ。くずが。」と言い 放った、王国戦闘史上最悪の生命体による攻撃である。
「さてさて、どうするよ、少年。このバカ…あーあ。もらしてるよ。まあ、間近で無砲身…あ、予想外に収束整流砲だったからね。余計怖く感じられたか。実際 には、拡散整流砲の方が怖いんだけどなぁ。」
真朱彌を見て怖じ気づく少女達。
「まだ、エネルギー制御がおぼつかへんなぁ。無砲身整流砲ってあんまり力つかわへんのな。まだ、体ん中にエネルギーのこっとるわ。」
「無理に解放しようとしないでくださいねぇ、コネクションイン。エネルギー移動用意。摂津真朱彌よりリンクリスへ残留エネルギーを転送。両者共に第3コネ クタに結線。転送開始。」
『現在空間相転位反動波が発生しています。時空間総影響波に変化するのを防ぐために回収作業を開始しますので、現在地点から動かないようにしてください。 繰り返します。現在空間相転位反動波が発生しています。時空間総影響波に変化するのを防ぐために回収作業を開始しますので、現在地点から動かないようにし てください。』
「なあ、空間相転位反動波って、なんや?」
「空間に対して、広範囲に干渉するタイプのエネルギー性攻撃があると、その干渉した分の空間構成要素が、その攻撃によって押しのけられる。
そして攻撃が終了したときに押しのけられた分の要素が、一気に元の位置に戻ろうとするときに膨大な量の運動エネルギーが発生して、様々な現象として、一定 の空間内に存在する物体に影響を及ぼす。
それが、空間相転位反動波で、空間相転位反動波が、一定空間内で何度も反射を続けると、それが濃縮され、増幅され、さらに危険度を増す。それが時空間総影 響波ですよ。」
真朱彌の疑問にチカラを使って、真朱彌の体を固定しながら答える混神。
「ちなみに空間相転位反動波を発見して定義して、名付けたのは何を隠そう混神です。そして、これ。」
そう言って涼子が取り出したのは、一丁の拳銃である。
「これは…空間相転位反動波転換エネルギー利用型拳銃やったっけ?」
「この拳銃はAS(オートマチックショット)方式だから、一回で一〇発連射できる。さらに一〇回連射で整流砲一発分の効果がある。
さらに、この拳銃には整流砲百発相当のエネルギーを蓄積できるエネルギーキャパシタ十枚と、整流砲十発相当のエネルギーを一度に変換できる、装置が付いて る。」
「ところでさ、この低い声は何だ?」
正規が訪ねる
「読経かな?読経だな。」
「あのこやね。ちょっと行ってくるわ。」
そう言って、目を閉じお経を唱えるあの少年に近づく真朱彌。
「おーい。もう終わったで。」
「終わった?」
少年は真朱彌を見つめる。
「おたくさんの名前は?」
「琴原雪丸。」
「そっかよろしくな光然さん。」
「なぜ、私の僧名を?」
雪丸が、驚く。
「オーラルバンクにアクセスしたかんな。」
『琴原雪丸。性別男性。 第461次無年時第5326億4328万3344期9月10日12時42分53秒生。父に仏教僧を、母にLWTC-Japan中間管理級社員を持つ。兄 弟、姉妹は無し。以下、個人情報に関連する情報を省略します。…僧名光然。能力属性……。以上、オーラルバンクを検索して、解放可能な情報を紹介させて頂 きました。』
「能力属性が、間だと?」
「完全な仏教系能力やねぇ。」
真朱彌が言う、仏教系の能力を説明するには少なくとも仏教大学を出ておかなければ、説明が出来ないので、説明を省く。
「空間と時間。つまり時空間に関係するありとあらゆる構成要素の一切を自由自在に制御することが出来る。簡単に言えば、概念を操る。現実を歪める能力も間 の属性の前には一切効力を発揮しない。」
「混神は能力属性定義学の第一人者にして最高権威だからね。能力の定義、能力属性の定義は、全て混神の言葉そのままになるの。」
「ところでさ、なんかメールが来てたような。」
「ああ。このメールか何々?今から3分前?リア読み上げろ。」
『対象、アントキリオン星系住人全員。件名、緊急警告。内容、第七惑星アルビナルのセイルボール燃料制発電所で発生した、プロセスエラーに起因する、緊急 メンテナンスのため惑星系内の全発電所を一時的に停止しこの通達の30分後に送電を停止すると、アントキリオンエルトノロスエノムテクノロジー社より通達 がありました。お気を付けください。』
「混神、病院から、メールが…。緊急?」
思い出したように遥夢が言う。
「リア!」
『アントキリオン星系管理局からの通達に伴い、非常電源の試験発動を行ったところ発動せず。整備後発動では間に合わず。発電能力を持つ者は至急協力された し。−藍蒼大付属藍蒼病院長−』
しばし、考える一同。
「あ、主上は即、蒼天江総合水力複合発電所内の初期変電所に向かってください。」
混神が言う。慌てて、水着のまま遥夢が飛ぶ。
「なんで、初期変電所何や?病院にむかわへんのか?」
確かに真朱彌の疑問は至極当然である。
しかし、混神と遥夢が行おうとしていたのは、非常電源で、賄われる、手術中や、ICU内の患者の生命だけではなく全 ての患者の生命を保つことだった。そのために藍蒼大病院へ向かわなかったのだ
「なら何故普通の変電所にむかわへんのや?」
「主上の最大発電電圧では通常の変電所のキャパシティをオーバーしてしまうんです。たとえば、ルネスティアラには藍蒼市内に『統括第一次変電所』というの があります。これはその名の通り第一次変電所です。
王国の発電所の発電電圧は超超高電圧です。それを先ず、第一次で発電所からの電圧を1兆Vに、第二次で五千億V、第三次1千億V、第四次で5百億V、第五 次で百億Vに減圧され、各大陸の変電所へ送られます。
そして、第六次で1億V、第七次100万V、第八次で1万V、第九次で、千Vに減圧されて、配給変電所へ、配給変電所では500Vに減圧されて各配電線を 通り、最後に配電減圧器で180Vになって、各家庭に送られるというわけです。
さて、主上の最大発電電圧はというと、4568兆2359億V。これを第一次変電所にそのまま送るとそれだけで爆発が起きます。この電圧を処理できる変電 所は、世界に一つしかありません。それが…。」
「蒼天江総合水力複合発電所初期変電所なのか。」
「ああ。蒼天江総合水力複合発電所初期変電所は発電機から送られてきた電力を、統括第一次変電所が処理可能な200兆Vにまで減圧すんの。
じゃね、その発電機から発生する電力の電圧は元々いくらなのか想像は…付くわけねか。
答えは5千兆V超よ。それだけの超超高電圧を一気に200兆Vにまで、減圧するかんな、故に主上は、自らの臨界電力を受け止められる蒼天江総合水力複合発 電所初 期変電所に向かったというわけだ。」
そこまで言って、混神は大きなメーター画面を空中に投影する。
「主上の現在の発電総量さね。それと、その下が、現在のカバー率…なんだけどフルで、これはあまりにも少なすぎるな。リア、現在の電力使用者を藍蒼市内に 限って検索。医療機関を除いて表示しろ。…なるほどな。リン頼むわ。」
混神の言葉にそのままの形で通達放送を開始するリン。
「さてと。総括参謀長として命ずる。本国内に籍を置く、電磁流動型整流磁場発生型反重力エンジン系列の機関を有する、ルナハ級、リールシェル級、リンクリ ス級の各艦は至急、アントキリオン星系の各惑星へ直行。
電磁流動型整流磁場発生型反重力エンジン系列の機関を臨界起動において推進に本来廻すべきエネルギーを、電力に変換、各医療機関に対し優先的に配電せよ。
なお、リールシェル級一番艦リールシェル、二番艦カルラ、リンクリス級一号艦リンクリスは至急、蒼天江総合水力複合発電所初期変電所上空に急行しミッドガ ルドシステムを介して、総帥の発電を補助せよ。ということで真朱彌さん、送電補助お願いします。」
「私で良ければ任せとき。」

「真朱彌さん、状況はどうですか?」
『な、なんで私にふるんや。大丈夫やないにきまっとるやろ。確かにこの重さはなんなんや。』
「言い忘れてました。電圧は、5五千兆ボルト以下に制限されてますけど電流量はどうにも制限してません。確か、最大電流量は2千億アンペアだったはずで す。」
『そ、そんな量、ヒューズが飛ぶんとちゃうんか?』
「王国内の各変電所のヒューズは全て対電圧用。電流でヒューズが落ちることは絶対にありません。だって、蒼天江総合水力複合発電所の発電送電流量は合計1 京6536兆アンペアですけんね。」
さらっと、工学的に可能なのか分からないが、まあ、パラダイムシフトが起きていると考えて欲しい。
『通達。ただいまより5分後蒼天江総合水力複合発電所全発電機を再稼働。送電を再開する。繰り返す。通達。ただいまより5分後蒼天江総合水力複合発電所全 発電機を再稼働。送電を再開する。』
この通達に様々な指示が飛び、遥夢達は戻ってきた。
「お疲れ様です。さてと、正規がもうへばってますし、時間もちょうどお昼と言っても良い時間になるので、これから9人で食事に行きましょう。もちろん今回 は、皆さんに重労働をさせてしまったお詫びもかねてうちのおごりで。」
「お、気が利いてるやないか。」
「単に貯まってる証明を消費したいだけなんだと思うんだけどね。まいっか。じゃ、いこっか。」
「「お〜。」」

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