L.C-S第17章 つかの間の4年
注意:この話は、2010年度現在作者が在籍している専門学校での日常をキャラクターに置き換えているものです。
登場人物の口調、言い回しなど、当事者にしかわからないものがあります。それをご理解いただいた上でお読み下さい。
大学生活
それは、遥夢たちにとっては、単なる情報整理の準備期間でしかない。進路も既に決まっている彼女たちが行うこと。それは適当に講義に出て単位を取り、遊ぶことだった。
「ねぇねぇしょうぶしようよぉ。」
「やだよ。深谷くんひきょうなんだもん。」
「えぇ〜。なんで〜?」
大学の巨大な講義室の一角、一人の男子学生の元に幾人かの男女が集まっていた。
「神に愛された深谷くんには俺の苦しみなんて解らないんだよ。」
そう言って、嘆く青年の名は内山裕也。黒と白の組み合わせからオシャレを追求する混神曰く正規と良いコンビらしいなかなか顔立ちの整った青年である。
「そんなに言うなら、雛さんにお願いしなよ。」
雛さんというのは秋子のこの仲間内でのあだ名である。
「私は無理だな。…そうだなヤミにいえよ。」
御山だからヤミというのはここでも定番らしい。
「うちすーさんとしかやってないから、弱いよ。」
そういいながら、ゲーム機を取り出し、準備を始める.
「スーさん」は仲間内におけるこの当時の真朱彌の呼び名である。
「あ、…主上後頼みます。」
そう言って、ゲーム機を遥夢に渡し部屋を飛び出す混神。
「なんなんだろ?」
遥夢が画面を見ると、メモリーカードがないという意味の表示が出ていた。」
「宗教学部院ですか。」
「え?」
「しかたない。深谷くん。僕のデータでよろしければお相手しますが?」
「なら私もやるよ。」
そう言って秋子が参戦する。
「私もやって良い?」
そう言って、一人の女子も参戦する。
彼女の名は、馬原夏帆。仲間内では、下の名前にさん付けで呼ばれている。
数分後
「深谷くんまだぁ?」
「長考過ぎだ。」
秋子に突っ込まれつつも、構想を練る深谷。
さらに数分がたち、やっとバトルが始まる。
「また積みやがった。遥夢…。」
「なにやってんの?」
遥夢は、どうやら、何かしらの解析を行っているようである。
混神は混神で、戻ってきてどこかに電話している。
そこに癒雨や、癒雨と同じコースの女子がやってくる。
「次はどう来る?」
「あ…あれ?やけに長い長考だな。」
「あ。電池切れた。」
さも当然かのようにそういった、深谷。ワンテンポ相手その場にいた全員から驚きの叫び声が上がる。
「そういえば、遥夢は何をしてたんだ?」
「プロセッサのオーバークロックと、VVVFインバータ電源への接続設定。V.C.Pによる、演算補助の設定です。」
さて、以前、真朱彌は西都大の前進の一つである京都総合仏教大学出身であるとかいたが、ではなぜ、彼女が藍蒼大学院にいるのか。
実は、彼女も、藍蒼学院の出身である。藍蒼学院の宗教学部在学中にこの京都総合仏教大学に留学しており、同大学卒業と、藍蒼大宗教学部卒業という資格を取得している。
彼女は、この後、大学院に進み、それとともに医学部薬事学科(現 医療支援学科薬事学集団)と、一次医療学科外科系統コースの学位を取得している。
彼女はこの後世界的に評価され彼女の名声を一気に高める要因となった、論文を発表し博士号と、名声を得、西都大に准教授として迎えられるが、それは後ほど。
話を遥夢たちに戻そう。電源切れた騒動の翌日、遥夢たちはレースゲームに興じていた。
参加者は、遥夢、正規、混神、涼子、秋子、辰也、深谷、内山、馬原、川林、癒雨、大沢の12人である。
「深谷くんずるいよー。」
遥夢、混神以外は、まあ、涼子も正規も知っているのだが、このゲームはマシンの性能を、プログラミング技術を用いて、自由にいじることができる。
ゲーム画
面上から、定められたパラメータをいじって遊ぶのに飽きたものたちのためにメーカーが用意したちょっとした茶目っ気である。もちろんメーカーのサポート対
象"内"の行為である。
遥夢と混神以外は、する気がない涼子と正規を除けばできることはおろか技術がない。というか、内山にもそこそこの技術はあるが、モノを根底から書き換えるだけのスキルを持つのは、涼子と遥夢程度である。
パラメータをいじったり、データそのものをいじっても深谷が持つ運にはかなわないようだ。
「あ、涼子、社文学群長が話があるって。それから主上はオーウェンキャンパス管区高等研究所所長と、理数学群管区の電脳学区長が、ともに相談があるそうです。」
「今はそんな事を言ってないで楽しもうじゃないか。」
レースが進むにつれて、癒雨、内山、深谷のトップ争いが表面化してきた。
「ライナーコートなら得意なんだけどぁ。」
ここでちょっとした補足。
今遥夢たちが居る教室があるのは、藍蒼大学藍蒼学術区キャンパス藍蒼第18区理数学群電脳学区商業電脳学部情報システム学科という学科。
遥夢たちはほかに
も社文学群社会学区政治学部国政学科や理数学群理工学区物理学部特殊能力開発学科などに籍を置いていたりする。
藍蒼大学は2学群49学区129学部
4368学科17325学集団を抱える名実ともに最高学府である。
「くそ。深谷くんにすら負けた。俺のアイデンティティが。」
「どうせ、運でしょ。」
内山が、嘆く。
「ちくしょー育成でまた睡眠時間削らなきゃ。」
「雛さん、雛さん―の下書き貸して〜。」
「え?ああ。はい。」
授業中なのにこんな事をしていて良いのか?それを感じた方はHSMを読んでほしい。混神がこんな事をしているのは何も今に始まったことではないのだから。
片手で高速タイピング。片手で、お絵かき。教授は何も気にしていない様子だ。それもそのはず。混神が両手で、行っていることはどちらも授業の板書やら、教授の話やらをメモするためのものだった。
かたや秋子は、授業そっちのけで絵を描いている。この人は、聴覚と視力、記憶力の関連が異常に発達しているため、だいたいの授業内容は、覚えてしまう。
まあ、それで済めば良いのだが、そうも行かないのが授業というモノだ。講義の最後に必ず、授業の要点を自分なりにまとめた簡易レポートの提出を義務づけている藍蒼大学。このままでは秋子は間違いなくアウトである。
「うし。あい。墨さん、あーしゃんに渡しといて。」
混神がやっていることを見抜いているのかどうかしらないが、いつもこの教授は授業時間の75%が経過した時点で、だいたいの講義を終わらせる。
「いつもすまん。」
こう言われて混神が言うのはいつも決まって、
「だって暇つぶしだもん。」
である。
もちろん代返なんてできやしない。レポートを提出してこそ出席扱いとなるのだから。
まあ、秋子の絵は学科のマスコットとなっているのだから、教授も大目に見ているのだろう。
ちなみに、宗教学部と医学部のマスコットは真朱彌大学自体のマスコットは原案混神の作成リンである。
「オワタさーん。」
オワタというのは、内山の仲間内でのあだ名である。いつも使っているゲーム機に登録してある名前がオワタだったと言うだけのごくごく単純至極な理由だが、あっさりと浸透した。
「学食行こう。」
この頃混神は、遥夢から弁当を渡されていたが、月一で学食週というものをもうけていた。まあ弁当自体も火、木だが。
これは、母親の判夢も、父親の弘美も、藍蒼大考古学群の教授であり、発掘作業で世界を転々としていることから、代わりに蒼天宮のメイドが、5人分の弁当を作っていた。
「揚げ玉増増わかめ無しね。」
受付の女性に食券を渡す混神。この日の授業は午前まで。この後皆でカラオケに行こうという話になり、いつものメンバー+癒雨と大森が、学食にいた。
大森は真朱彌の一つ下の二十二歳(当時)
「みやまくんって、お行儀良いよね。」
この大森の言葉は無視してうどんを食べ進める混神。
「…ねえ、涼子、すーさんとかさ、はるもと姉妹誘っちゃダメかな。」
「スーさん今王国にいないじゃん。」
「…あ。」
混神の表情が一瞬、悲しげになるもすぐに元に戻る。
「それから春本姉妹は。」
「あれは呼んでも来ないから良い。」
実際にはこれないからと言いたかったのだろう。こういう言い間違いで何度も混神は損をしている。
「深谷くん、ちゃんとうまい棒食べるんだよ。」
"フカヤ ユウタタロウ"
これは、カラオケの入場客管理伝票に記された名前だ。
「「ハハハハハハ」」
どうやら店員が入会手続きの際に慌てて「た」を一つ多く入力してしまったようだ。
『Over loaded…。』
混神が歌うのは俗に言うオーエンボーカルか霊知アレンジだけである。辰也は、幅広く歌う。
あまり遥夢は乗り気ではない様子だ。その証拠に歌は聴きはすれど歌いはしない。不知火として世に幅広く知られるようになるのは後の世のことなのだから仕方ないと言えばそれまでだ。
秋子と内山がデュエットして、その後、とある曲を混神が入れたら、デュエット曲だったので、慌てて涼子にマイクを持たせたりなどハプニングがあった。
「くっふふふふふふふふ。」
深谷が笑う。
「うっさい」
川林が、歌の途中で怒ると同時に涼子が、深谷の視線の先にいた混神の頭を部屋にあったメニューではたく。
歌っているものも含めて全員が絶句したものもある。深谷が、メロンソーダの上にその店にあるソフトクリームマシンからソフトクリームを入れクリームソーダをつくって持ってきたときだ。
今でこそ、遥夢と秋子は遥夢のその音域の広さを生かして、秋子の好きな暗い雰囲気の曲をふたりでうたうほどの仲だが、この頃はカラオケに関してだけ言えば、遥夢はドリンクバーだけでカラオケの元を取ってしまっていたようなものだ。
現在
それぞれの休みが見事に重なったある日、久しぶりにこのメンバー+真朱彌でカラオケに行こうという事になった。
遥夢の歌声をこの場で初めて聞いたのは内山、深谷、馬原、川林、大森の5人である。
混神が歌うのは、相変わらずの東方ボーカルとほんの少しのアニソン。
「遥夢、これ着て見てって、友達の妹がつくってくれたんだ。」
その服を着た姿はこちらを想定して描いております。 要pixivアカウント
「なあ、雛さん、おまさが着せられたって言う服ある?」
「え?…。」
「ほら、ミオ嬢が。」
秋子は固まった後、鞄の中身をあさる。
「あった。あった。これ。」
「…あっ。そっか。これサイズ。…。ねえ、紫様か、幽々子様内の?」
「それは、俺に対する嫌みか?』
「なんで、ラジオフォームになるんだよ。」
『どうせ、強制網膜投影を行うつもりだろ。』
混神があきれながら、
「しねぇ―よ。今リアの調子がわりいんだから。」
「「91?!」」
「深谷くん3回爆発ね。」
辰也が言う。これに混神と正規が便乗する。
とはいえ、混神と正規は本当の意味での爆発対象なのだが。そこを気にしたら負けである。
3回爆発というのは、リア充曲で90点以上とったら爆発しろと言うネタである。とはいえ実際にリア充なのは、混神と正規なので上記のこととなる。
辰也の言葉の意味は深谷が、今回のカラオケで歌ったリア充曲つまり、アニソンやゲームソング、東方ボーカルなどを除く、古今東西のメジャーアーティストの曲を歌い自動採点で90点以上3回とったという事である。
「えぇ〜。」
「じゃあ、今度はあれ歌えよ。ポップ○ター。」
「えぇ〜。やだぁ〜。」
深谷がごねる。
「国境にいるねぇ。ゲェ〜フ。」
「この馬鹿。」
「すまんすまん。でもさ、国境にぎょーさんおるよ。」
混神が言う国境とは、界間境界のことを指す。
「国境?どうして、わかるの?」
「いま、連絡がありました。界間直通線、並びに界間連絡線のLSN傘下交通企業の運行を中止、時空管制省が、各空港、駅、宇宙港、海洋港に海外渡航を禁止するよう通達を出したと。」
遥夢が、つぶやく。
「神政省も、大騒ぎだよ。」
「じんせいしょうか〜。そーなのか〜。」
「「そーなのかー」」
スパーン。スパーン。スッ。
「う。……うてない。」
混神と、辰也はどつかれていた。もちろん、混神はいつも通りの強さで、辰也は軽く。しかし、真朱彌をどつこうにもどつけないようだ。
「馬鹿なことはおいといて、、主師、起立。」
「なんでこいつが仕切ってるんだか。」
「…判定者ですから。この子に今は任せましょう。」
部屋を、カラオケ店を出て、最も長い、直線に向かういっこう。
「行ってしまったな。」
「判定者か。ミンゴスさんは何か知ってるんじゃないの?」
「…私は…。」
ゆっくりと、語り出す癒雨。
「…どこから聴きたい?」
「長いのか?」
こくりと頷く。
その間にも、歌は続き、
「わ〜。支払い忘れてた。…あれ?まだ四時間もあるの?」
遥夢たちが戻ってきた。
癒雨が語ろうとしていた事は、この世の始まりと6人の創造主の物語。そして、今の創造主とその子供たちに関する話だった。
だが、この章の、残りを考えると、書くのもちと面倒なので、またの機会に。
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