L.C-S 第45章 Seidaiou Fighting Judgment Champion Tournament Anniversary Festival
やっぱりこれがしっくり来る 第17話

私たちは遥夢さんたちの母校の高校に1年間の留学扱いで転入した。最初の頃は、みんなよ そよそしかったけど、前の担任が本当に家の都合で辞めてからは何故か凄い仲良くなった。まあ、元々、リートさんとリールさんは古巣というか私たちの世界に 来る前に居たクラスだからすぐ打ち解けていた。中には涙を流して再開を喜び合う友達もいたみたい。
それを言ったら何故か神子さん笑いながらどっかに電話してた。
さてここからは、留学先でのお話

「そういえば、図書館いろんな本が置いてあるんだな。」
「遥夢さん曰く隣の大学図書館に勝るとも劣らないほどの蔵書が一般書架には置いてあるんだって。で、一部の人しか入れない、特別書架って言うのがあるん だってさ。」
「案内しようか?」
いきなり現れた神子さん。
「システム更新しに来たの。じゃ、ついてきて。」
何故か特別書架行きが決定してるんだけど。
「特別書架は正式名称、王立藍蒼図書保管保存院特殊無限書庫藍蒼学院管理委託書架郡といって、本来は国立図書館の一部なんだけど、歴史的に見ても貴重か つ、学術的価値が非常に高い物ばかりだから勉強になると思うよ。」
そう言いながら私たちは図書館の5階に来た。5階?と思う人も居るだろうが、私がここまで図書「室」ではなく「館」という表現を使っていたのはこのため だ。
とある本棚の前で立ち止まった神子さんはそこにあった本をランダムに並べ替えて、一気押し込んだ。すると、本棚が下に下がり、現れたのは真っ赤な荘厳な装 飾が施された扉。私たちはその中に入った。
そこは、ソファーやテーブルティーセットが置かれたちょっとした応接室のような部屋だった。部屋の奥には緑色に塗られ、幾何学模様に彩られた扉があった。 赤は正義の色。緑は知恵と、裁きの色だと神子さんが言う。
その緑色のドアをくぐると、そこはもう、前後左右上下何処を見ても果ての見えない広大な本棚の群れが広がっていた。所所焦げ茶色のローブを着た人影がカー トを押しながら、ふわふわとまるで浮かんでいるかのように移動していた。
「ここは藍蒼学院管理委託書架郡高等学校部門担当書架。ここから1qほど前に進むと本棚の色が変わりすぐにインフォメーションがある。そこからが大学担当 書架。大学図書館内の無限書庫と直結してる。」
無限書庫は亜空間と呼ばれる何もない空間を利用した果ての無い書庫で、この王立藍蒼図書保管保存院には、一般無限書庫が20庫、特別無限書庫が60庫、最 低でも存在しているらしい。
「じゃーねー。」
そう言って行ってしまった神子さん。
「どうする?」
「どうするもこうするも、まだ学校の図書館の本全部読んでないもん。」
そう、馬魅は、鈴ヶ森の図書館の蔵書を僅か2ヶ月で制覇した速読術の持ち主だ。それも内容を全て正確に諳んじられるほどの記憶力も兼ね備えていた。
それはおいておいて、喜喜として本を選ぶ馬魅と別れ、私たちは、教室に戻った。
「そういえば、ここには、異種格闘技で、諍いを解決する伝統があるらしい。」
「SFJのことですか?」
いつの間にか遥夢さんが混じっていた。
「SFJ?何そのどっかのテーマパークの略称みたいなの。」
「Seidaiou Fighting Judgment systemの略称です。僕たちの年度の3学年前に創設され、当時、既に数多の生徒間または生徒対教師間、教師間の諍いや、些細な争いを解決していまし た。古くは涼子の故郷にある高校でテスト施工されていたものが大成功を収めたために、青大央で本格施行されたのですが、欠点が一つありまして、この学校、 偏差値90以上の超インテリなのは良いんですが、その分お祭りごとが大好きで、3学期は丸々SFJCTという一大異種格闘技大会に変えてしまうんです。 SFJは、SFJ実行委員会という施設局に属する特務委員会によって管理されており、特に昼休みは、至る所でSFJMと呼ばれる異種格闘技が頻発してい るんです。SFJ実行委員会が立ち会わないSFJマッチは無効とされるため、当事者でSFJを利用する場合は大声でその旨を宣言する必要があるんです。 まあ、SFJCTは8年ごとにSFJCTAFという藍蒼学院全体を巻き込んだ、大規模な1年つづくお祭りになるんですよ。たぶん、今年その年だったはずだ から気をつけて下さいね。授業有りませんから。勉強は自己責任です。」
遥夢さんは楽しげに語っている。
「遥夢さんも戦ったんですか?」
「初めて行われたSFJCTAFの優勝者は僕です。当時は無敗の女王なんて呼ばれていましたね。因縁つけられて挑まれてあっさりと足蹴にしたり、知恵の輪 解けるまで攻撃禁止なんて馬鹿な条件つけて挑んできて開始30秒程度で、僕のお尻の下でうめいていたりする輩も居ました。SFJCTAFの時は唖然としま したね。神子。まあ、当時は混神でしたがいざ試合となったら『相手が主上と涼子の場合は戦う気は無いから棄権して相手の勝ち。正規の場合は遠慮無しにかま して相手の勝ち。うちは主師の中では裏方に徹するつもりで居るからあまり勝ち進む気は無いさね。ここまで来たのはあんさんの踏み台のため。』とかいって、 審判連れてきて、僕の手をつかませて掲げさせたらすたこらどっか行っちゃったんですよ。後で訊いたらそこの生徒会本部棟の屋上で寝てたって言うんです。ま あ、涼子も僕と対峙して、にらみ合いして、負けを宣言してすたこら観客席に行っちゃったりしてましたね。じゃあ、対OB戦で待ってます。生徒会役員は強制 参加ですからね。」
そう言って遥夢さんは消えた。

翌朝登校すると、なにやら騒ぎが起きていた。騒ぎの中心に行くと、高めの木の上にあぐらをかいた状態の神子さんが下を見ながら笑っていた。
「やるかい。そうかい。実行委員さんさあ、準備してーな。」
相手は3人組のちゃらちゃらした私服の集団。端から見てもどう考えても素行は良くなさそうだ。
案の定ナイフや金属バットを持って、審判の開始に合わせて神子さんに襲いかかる。
「君たちは馬鹿なのか?脳みそがかんなくずで出来てるんじゃ無いのか?そうで無ければおがくずで出来てるとしか思えないほどの馬鹿さ加減だな。」
そう言いながら、襲いかかる3人の男を蹴っては投げ投げては踏みつけ、あっさりと白旗を手に入れていた。
「今度からはもっと頭よく攻撃しなね。」
そう神子さんが言った直後、あたりに嫌な感じのする何かが折れる音がして、男達の汚い悲鳴が響いた。
「君たちの考えは全てまるっと、何処までも、完全に狂い無くお見通しさ。うちがリングを降りる瞬間におそおうとして、うずくまってうなるふりをしたって無 駄さ。うちは伊達に長生きしてないよ。それなりに修羅場もくぐってるからね。本気と演技の違いはわかってしまうのさ。」
まー。ものの見事に腕も脚も全く力が入らないように骨が折られているようだった。
「全く。こう見えて卒業まで、校内5万人中第4位を維持し続けたんだから、馬鹿にしないで貰いたいね。」
神子さんはかねてから自分はどんなに優しい人でさえ怒らせてしまうと笑いながら言っていたから、きっと今回も何か3人組の気に触ることを言ったんだろうな あっと思っていた。
そしたら、3人組が、木の上で寝ていた神子さんに因縁をつけたらしいという事を教えられた。次いで、3人組は部外者で有り入校許可証を持っていなかったこ とから学院警察に引き立てられていった。
「藍蒼学院は藍蒼広域学園都市の3分の1を占めるからねえ。それだけ部外者の不法侵入には厳しいんだよ。まあ、その7割が大学だけどね。」
涼子さんだ。
「SFJは、勝負を受けた側に種目の選択権があるの。見ててね。」
そう言うと、涼子さんは神子さんと何か話した後、先ほどの審判を呼び寄せた。
「SFJ適用による異種格闘技の申し入れを受諾。被挑戦者競技選択の原則に則り、今回の競技を、弾幕決闘とする。」
そう涼子さんが言い、即席のだがしっかりしたリングに上がる。
「で、やって良いんだね?」
神子さんの問に涼子さんが頷く。
「スペルコール。スペルコード08-Ex-FV。」
「スペルコール。スペルコード07-05-TS。」
スペルコールって何なのかと思いながら試合を見ていると、巨大な炎の鳥と剣撃が、ぶつかり合った。
「スペルコールというのは、公平に戦うための手法です。スペルコードというコードにはそれぞれとある者達が使う技が関連づけられており、コードを指定する ことで、その技を使用することが出来るんです。」
遥夢さんが説明してくれる。
リング上があまりに光弾にあふれたため実況兼審判も慌ててリングアウトした。
「スペルコード11-06-HT。ついで、11-06-SrS。」
これでリングも涼子さんもダウン。
「なんで、コードOB-06−L1系使わない?」
「私は、07-05系統しか知らないの。」
涼子さんの言葉に納得した様子で、涼子さんを連れて去って行った神子さん。いつの間にか遥夢さんも居なくなり、私と馬魅は、教室に向かった。
教室に入ると、クラスメイトに取り囲まれ先ほどのファイトのことを尋ねられた。
私が、何気なくソラが撮影したものを見せると最高にエキサイトして大騒ぎになった。

「眠い。…つかさ。あのバカどものせいで一層眠気増したんだよな。ったくさあ。ただでさえここ1ヶ月の貫徹続きなのに。」
ここは、綾小路邸。藍蒼にある個人の邸宅としては最も広い。まあ、蒼天宮を個人宅とするなら、2番目だが、んなことはおいておいて、そこの客間に敷かれた 布団の上で弱々しく言葉を発する神子。
「はー。素体更新当日にそれも更新前にあれだけ無理すればそりゃこうなるよ。今綾女さんが、更新施設への転送準備を進めてくれてるから。」
「いやー。明日まで寝ればOK。素体更新周期にはなってないから。」
そう言ってすぐ、深い寝息を立てる神子であった。
『すいません。』
「あ、シャンリーじゃん。どったの?」
『オーラルマスターは…お休みですね。どうしよう。』
「急ぎ?明日の朝まで待ってくれたらOKだけど」
爆睡する神子を見下ろす位置に、トークングラスが開く。映っていたのは、神応鉄道のマスコットフレイターのシャンリーである。
『あ、そうですねー。明日でも可能ですが。…明日じゃ無いと無理そうですね。』
頷く涼子。
「神子ちゃん、転送準備…寝ちゃった。」
綾女が部屋に入ってきてつぶやく。涼子は苦笑いで返す。
「あのー、ここに案内されたのは良いんですが、ここは一体?」
「遥夢め、押しつけたな。ここは蒼藍王国…いや世界第2位の巨大財閥の当主の家。で、その当主がそれ。」
「それはひどいなあ。さて。綾小路邸にようこそ。個人の邸宅としては広すぎるんだよねえ。私は、綾小路綾女。綾小路財閥の当主です。」
毒づく涼子が五月蠅かったのかうずくまる神子。
「寝てるんですか?」
「眠気が限界だったみたい。」
「それはそうと、涼子ちゃん。門沢侑子って知ってる?」
強引に話の流れを変えたりと、いろいろな強引さに定評があるに違いないと思われる人ばかりだなあ。
「門沢財閥の令嬢ですよね。存じています。なかなかに変人とか。」
「そう言い切れると言うことは会ったことがあるな。」
ぐっと顔を涼子さんに近づける綾女さん。
「グーテーンモールゲーン。」
何故か最高にテンションが高い遥夢。その手にあるのはコーラのボトル。遥夢はコーラで酔う。ただテンションが上がるだけの酔い方なので害は無い。
「グーテンモルゲン。なんでドイツ語?」
「綾女さん、ハインゲルニッヒさんは?」
「聞けよ。」
ものの見事にスルーされた涼子であった。
翌日
「せっかく出来た友達と1年間は離ればなれか。」
「言われてみればそうだねえ。」
『マスターレイ。時空管制省という署名のされたメールが届いていますが開封してもよろしいでしょうか?』
リウロの声がする。
「お願い。」
『件名はありません。本文ですが、『崎原レイ以下7名の9月末日以降の時空越境渡航を許容する決定をお伝えする。』以上です。もう一件強制展開型のメール を受信しました。』
「強制展開?」
『差出人名はSUKPTOKです。本文ですが、『崎原レイ、網干敦雅を宙軍少佐に任命。先に任命済みのリトエルス、リールフェルト両少将の直属とし、それ ぞれ、リトエルス小隊リールフェルト小隊と分類。リトエルス小隊は、基軍総帥直下。リールフェルト小隊は基軍総括総督長直下に配属する。』以上です。』
リウロの言葉に驚くレイと敦雅。
『SUKPTOKよりメールを受信。件名は『追記』。本文ですが、『先記における任命を訂正する。崎原レイについては、瑞穂皇国軍における天皇陛下による 任命前の階級に基づき大佐として任命する。』以上です。』
今度はレイがずっこける。
なお現在のレイとリトエルス、リールフェルトの階級は元帥である。

同日15時FIBのとあるスタジオにて
「不知火・コイル&リグゥ Is Cyber Talk With リン酸パレット。」
「なあ、神子ちゃんいい加減このタイトル変更せえへん?リグゥさん降板宣言したやん。そもそも、なんで私がメインMC席に座らなあかんのよ。」
「タイトルの件はおいておいて、今回のこの番組はいろいろとした仕事の兼ね合いでうちと、姉御と涼子にリンしか居ません。で、内容ですが、春きまシリーズ 第4弾が今月。それもこの番組の後から放送になります。」
FIBの数少ないバラエティ番組の中でも非常に高い視聴率を誇る、この番組。いつもは主師勢がどうでも良いようなトークを繰り広げるのだが、今回は違うら しい。っと。忘れていた。北浜編はまたの機会に同窓会型学校調査という形で再開します。今章の時間軸は、第34章から70年後である。
「はい始まりました。不知火・コイル&リグゥ Is Cyber Talk With リン酸パレット。今回は春きまシリーズから素敵なゲストにお越しいただきました。その前に春きまシリーズってなんぞやという方のために解説。春きまシリー ズとは、『春の夢 気まぐれな王』というアニメシリーズです。現在3シリーズ計1560話が放送され、今回第4期1561話から2080話までが放送され ます。
そして、ファンの方に嬉しいお知らせ。視聴者の皆様のもっと長く見たいという声にお答えして、第4期から放送時間を倍に拡大。21時から21時54分まで の1時間番組になりました。
そしてそして、さらに嬉しいお知らせ。春の夢気まぐれな王の第1期から第3期までの合計1560話をまとめたブレードボックスが各国通貨で一律5万という 内容を聞いたらそんなに安くて良いのかと思ってしまう特価で発売。
気になる内容は、1つ、全1560話のスーパーウルトラスペシャルリミテッドリマスターバージョンでの収録…って中二くせえなあ。普通に、ディレクターリ マスターって言えさ。で2つ。1期から4期までの不知火が歌う主題歌と全挿入歌などを詰め込んだ、SOSTブレードとメイン声優陣によるコメンタリー。各 キャラのモデルとなった主師と、担当声優との対談ってこれ聞いてねえぞ。3が今回のこのボックスのために特別にチューニングされた、CoilOS。4は確 主題歌のスペシャルエディション。何が主題歌なのかは聞いてのお楽しみ。そして、最後の5つ目は、特別編で毎度放送する春きま特別回。ちなみに4つ目はシ リアルナンバーが、0番と3333以降の3,6,9のぞろ目。そして6963番にのみ収録。特に5つ目が唯一同封される6963番は永久保存版だよ。」
商品の宣伝は良いと思う一同。
「さて商品の宣伝が長くなりましたが、ここでゲストの紹介。今期のキー第3期までの御山神助と同一人物。戸籍と生物学上で性別が異なるやっかいな奴御山御 子役の高橋百合さんと、和泉正美役の石原謙さんのお二人です。」
青大央敷地内
「ふえー。40クールもつづくアニメかあ。私たちの世界に帰ってもみたいけど、対応しないんだよね。メディアが。」
「私たちのデバイスとレイさんたちがお持ちのプレーヤを変換ケーブルで繋げば再生は可能です。ただしUIは私たちのデバイスに依存してしまいますが。」
「それか、デバイス自体を購入しましょうか?そうしましょう。私たちも見たいですし。」
興奮気味のリールさん。
さて、私たちは今2手に別れて下宿している。私と姉とリートさんは神子さんのお宅に。馬魅と羽魅先生、リールさんは綾小路邸にそれぞれ下宿している。
「世界的な弊害も無くなりましたから、今日はレイさんのデバイスを作ろうと思います。」
何故か一般的な民家の地下にある洞窟の奥。テカる石壁と、敷かれた絨毯。快適な温度と湿度。ふしぎと心地よい。
「それからソラを声と思考パターンと記憶と外見以外を置き換えて、その後それらをなじませ一回再構築する。簡潔に言う。ソラをA.I化する。」
ミコサンハナニヲイッテイルンデスカ?
「てかね、もう後再構築段階だけなんよ。あははは。それとそれに合わせて、OSとのなじませを行う。だから、レイ君のデバイスはNASベースじゃ無くて、 A.Iベースになるよ。敦雅君は今はNASベースで我慢してくれ。」
「では、レイさん、以前お渡ししたPITを渡して下さいますか?」
もうなすがまま。
「不知火、内包データのうちA.Iのみを抽出。それ以外をLSNデータで保存。抽出データを最適化を各所に行いながら、再構築を開始。」
『畏まりました。OSは、CoilOSとLiguOSを選択可能ですが、カーネルコードよりCoilOSを選択させていただきます。』
数十分の待ち時間の後、私が渡されたのは、私が使っている携帯と同じ形をした深紅の端末だった。
「V.C.P-VT-M。レイさん専用の端末ですよ。ベースとなったのは一昨日リトエルス中将とリールフェルト少将に渡した、第35世代V.C.P-VT -BM。」
「ちゅうじょう?」
「リトエルスは強引に引き上げなくても論文少将だったんだよ。で、君たちの世界に行く前に藍蒼大と軍の上層部に提出していた論文の評価の結果、昇進が決 まったわけだ。」
笑う正規。
「それから、そこで眠りこけてる尻尾好きが言ってたんだけど、指揮系統の関係で、リールフェルトは少将のままという事だ。」
『指定の再構築処理が完了しました。NASベースからA.IベースにUS-UIを変更するに当たり対象に対し一般呼称と正式名称を設定させていただきまし た。一般呼称ソラ 正式呼称、メイドニアリス・ソラ・ニルヴァイオ・ミルドガリオス・エル・サイルカリニアです。』
「了解。そういえばさ、遥夢は一回おばさまに回し蹴り掛けたことあったよね。」
唐突に全く関係無い話題を持ってくるのが十八番の混神。
だが、レイたちから見れば実の親に回し蹴りというのもという思いが強かった。
「いやこの人、平気で友達の親でもおかしなこと言ってたら顔面に回し蹴り叩き込むから。」
よくもまあスカートが破けないものである。まあ遥夢にとって回し蹴りは最もよく使う近接打撃技であるため、そこは宮内省も心得たものである。回し蹴りをし たときに一番負荷がかかる部分にとても強靱で柔軟性のある布を使用しているのだ。創造界世界最高の繊維額の技術の粋を集めて作られた遥夢のアウターとイン ナーの両スカートそう簡単に破れられては困るというものである。
「あ、これ仕込むの忘れてた。」
「本?」
御子が取り出したのは分厚い本だった。
「それ、アーカイブプロセッサか?」
「そう。明日からレイ君戦いやすくなるよ。」

翌日
「図書館は絶対に要るもん。」
馬魅が数人の男子生徒相手に吠えている。
話を聞けば、図書館内で非常にマナーの悪い行いをした上に、何と蔵書を手当たり次第に破き始めたらしい。今のこの学校の校則の99%が遥夢さんたちの代の 生徒会によって作成されたそうで、その中の一つに「たとえページの一部であろうと、図書館の蔵書を故意に損傷した場合は、理由の如何を問わず、退学処分の 上で損傷蔵書の購入価格の5倍以上の罰金を徴収する。」という物があると神子さんが言っていた。
「良いじゃねーか!また買えば良いんだしよ。」
どこからかクラクションの音がする。
「やーいほー。……なんねこの学校にも薄毛の猿が居ったとね。それにしてもこの考え方はいただけんねえ。よし、レイ君。君の新しい端末を試すときだ。」
何故か、大型バイクに乗って神子さんがやってきて、停まりざま男子生徒達を文字通り押し退けた。
「「SFJ試合を申し込む。」なお、本試合はトーナメント参加条件を満たすための試合とする。」
言い終わるか否かのタイミングで、神子さんが来たのと逆方向からSFJ実行委員会の面々が現れた。
たちどころにリングが設営され、実況席と解説席が設けられる。
ゴングが鳴る。
リングには男子生徒が数人と私と馬魅。
馬魅に向かった男子生徒が掌底突きで一発KOを食らったのを見た残りの有象無象が私に向かってきた。
『さあ、ただただ突っ立て居た転入生はどうするのでしょうか?」
私だって突っ立っていたわけじゃ無い。
「コード08-05-HMsより08-05-RMsを連続発動。対象の動きを封じた後コード06-05-IKDを発動。最後に06-06-GSGを発 動。」
私の左手にはあの本があった。神子さん曰くこの本は周囲の状況を瞬間的に判断し最良の攻撃防衛手段となる技を表示してくれるものらしい。
「レイ君、弾幕が消える前にP.G.Wを起動しなさい。」
神子さんに言われるがまま私はソラにコマンドを発動させた。
「あれ?何か違う。」
「MPDSを基本的なベースにしつつ機構の大部分をP.G.Wに置き替えたからね。それからP.G.W自体も現行の世代で大幅な構造変換が行われたから、 かなり変わったと思う。」
それからは私の独壇場だった。
「デバイススリープ。」
『お疲れ様でした。』
『マスター、この生徒達ですが、高利子奨学金を利用しての留学生のようですが…畏まりました。藍蒼学院図書館利用規約大綱に基づき対象生徒6名を懲戒退学 処分とし、その後、対象生徒が破壊した蔵書163冊につき購入価格の総額の32倍に相当する、7532万サフィルを対象生徒6名の奨学金と合わせ一人ずつ に一括納入での支払いを命じる。』
今日も私の周りは平和です。

つづく。