「さてと、真朱彌さん、レイさんの似顔絵描きながらで結構なので聞いていただきたいので
すが、真朱彌さんは創造主となることに異論はありますか?」
「異論以前にいきなり今日から創造主に内定しました。といわれて、まだ実感無いのが本音やね。」
蒼天宮の中腹にある、遥夢の執務室。遥夢は、机の横に積まれた書類を一度に50部宙に浮かせて読んでいる。
真朱彌は遥夢と会話しつつレイの似顔絵を描いており、当のレイは、緊張した面持ちで落ち着かないという感じで居た。
「遥夢ちゃんはどんな感じやったん?」
「そうですね。流石あの神子と同じ血筋なんだと実感しているのですが、僕も、リンも、起きたこと、言われたことはそう言うものとして受け入れてしまうので
神子に第3代の創造主だと言われたときはそうですかで終わりましたね。」
「それだけなんか?」
あっけにとられた様子で聞く真朱彌。
「はい。」
何かおかしな事でもあるのかとでも言いたげな表情で真朱彌を見つめる遥夢。
「そりゃ確かに神子ちゃんと同じ血筋やな。あの子は何でもはいそうですかで、疑問らしい疑問を私にぶつけてきたとしても答えを既に持っている質問やったし
な。」
頷く遥夢。
「それにしても、斉藤と田中は本当によくやってくれてますね。あなたが戻るまで瑞穂とドイツに現れる異形を2人で潰してますから。」
「斉藤さんと田中さんが何者なのかご存じなんですか?」
「この国の軍人です。ロムニスが瑞穂に不時着したときに技術流出を防ぐために2人一組で多数送り込まれた、王国軍の諜報局の大佐と中佐です。
現在彼ら以外の諜報局員は全員帰還していますが彼らは対象が残っているので残っているんです。」
「対象って、もしかしてリートさんとリールさんですか?」
頷く遥夢。そして後ろにあった本棚から一冊の本を取り出しレイに渡す。
「ラングロフォルト家は名前が軍人ですが、実態は、学者です。」
「遥夢さんって何でもご存じなんですね。あ、そうだ、陛下が瑞穂はどういう国を目指せば良いのだろうと嘆いてました。周りには対馬や竹島を狙う朝鮮や沖
縄、台湾を狙う中華民国、千島を狙うロシアなどが居ますから。」
「そうですね。僕の私見なのですが、あの星で軍事力国力共に最高なのが瑞穂とドイツ帝国なのです。その次がスイス連邦ですね。
で、瑞穂は現在ブリタニア王国とドイツ連邦、フランス共和国、イタリア連邦と同盟を結んでいますが、一言で言いますとこれは高速鉄道同盟とも言え無くない
のです。そうなるとさらにスイスを加えるべきだと。
で、ですね。瑞穂はアジアのスイスを目指すべきだと僕は思うんです。」
「それ前神子ちゃんがいっとったで。」
真朱彌の突っ込みに遥夢はばれたかというように舌を出し頭をかいて照れる。
「まあ、真朱彌さんが仰るようにこれは以前神子が言っていたことを丸々言っているに過ぎないのですが、理由はまあこれは推測なのですが、あの世界では最も
鉄道の定時運行性が高いのは瑞穂と、スイスです。
さらにスイスは、軍事の面で他より抜きん出た強さと、強固さ、そしてそれに裏打ちされた、永世中立という、瑞穂に似たものがあると思うので神子はスイスを
参考にしたらどうかというと思うんです。」
「あいつは右翼的な考えが強めだからなあ。」
いつの間に入ってきたのだろうか。正規さんが立っていた。
「そういえば、ふと気になったんですが、神子さんて普段どんな下着つけてるんでしょう?」
「そういえばいつも情報隔壁で見られませんから僕も知りたいですね…あ、確か神子、『うちの下着がどんなのか知りたいなら姉御の話に慣れろ。』って言った
ました。多分エロ話への耐性で情報隔壁のレベルを分けてるんでしょうね。」
「え?見たことないんか?」
真朱彌が驚いた表情で3人の顔を見つめる。
「真朱彌さん女性ながら卑猥な単語にも平然としていられますから、多分神子はそう言うものへの耐性で情報隔壁を真朱彌さんにだけ無効にしてあるんだと思い
ますよ。で、何色だったんですか?」
「あー何色やったっけ?私が見たときは、ワインレッドやったけどな。そこにガーターベルトつけて、所所に薔薇の装飾あったなあ。」
想像したのか、見事に鼻血を吹き出す。
「相変わらずのむっつりやな。私らやからええけど、神子ちゃんとか涼子ちゃんは確実に、それ見て変態ゆうで。」
あきれ顔の真朱彌。
「そういえば、『何処にでも売ってるようなものしかつけんうちの下着でようもまあそこまで盛り上がれるなあ。うちは
リンみたいに制約があるわけでも無し。
主上みたいに宮内省が用意したきわどい装飾をつけるわけでも無しだから、さして拘りとかはなかよ。それ以前にもう少し正規はこの系統の話に耐性つけ
ること。後うちは補整下着は絶対着けてへんかんな。』って、書いたメール送って来やがった。」
「「…何処にでも売ってるようなもの。」」
「あれが何処にでも売ってるような町なんて私は行きたくないなあ。」
真朱彌がつぶやく。
「そうですねえ。さてと俺は用済んだしこれで失礼します。主上、お体にお気をつけて。」
正規が退室した後もしばしドアを見て沈黙する真朱彌とレイ。遥夢はそれを見て苦笑していた。
「あれは日常茶飯事ですよ。神子です。神子が正規さんに『たとえ夫婦でも国家の最高元首とその臣下だから通常公務時の入退室ぐらい敬語使えよ。』といった
そうでして。説明しておくべきでしたね。
今日は入室時は何もせずに入れという勅命を与えておいたのですが退室時にもかけるのを忘れてました。」
これは天然なのだろうかと思いつつも流石にこれには転けるしか無い真朱彌とレイ。
「そういえば、神子ちゃんで思い出したんやけど、みんなが青大央は言ったときにはもう私は藍蒼大の1年やったやんか。
で、4年の時に当時は混神君やったけど神子ちゃんと初対面したんやけど、普段高校時代の神子ちゃんてどんな感じやったん?」
「どんな感じと言っても、僕は普段から校内をあっち行ったりこっち言ったりして教室には碌に居ませんでしたし、授業中も神子は爆睡して教師も呆れてました
からね。
授業態度以外は至って優等生でしたから。体育を除いて。」
「あいつは、夫婦漫才を休み時間ごとに繰り広げてたぞ。」
「夫婦漫才?」
レイが問う。
「ああ。あいつは昔っから呆けかましてたからなあ。授業中に爆睡こいて教師に当てられて寝言で答えたって事もあったぞ。それが当たってたもんだから教師は
悔しがって悔しがって。
休み時間になんで正解したかって訊いたら、居眠り宙に見た夢でも同じ内容の授業やってたんだと。それ聞いて俺ら大爆笑したなあ。
まあ、秋子も同じようなこと大学時代にやったけどあいつ以上に大呆けはかまさなかったなあ。
あいつ高校の社会見学の時の班行動で、大型タクシーに乗るときに素でドアのレールのところに頭ぶつけること数回、こいつはそれ以上。従兄弟同士だと実感し
たよ。
…で、懐かしい話で忘れるとこだったけど、あいつからとりあえず俺はこの部屋にいろと言われたんだ。」
「あの、どうして皆さん友達だったり従兄弟のことをそんなにぼろくそに言われて平気なんですか?」
「あいつだから。」「神子じゃ無きゃ平気なわけが無いでしょう。」「神子ちゃんは自分の悪口言われてもけろっと流してしまうからなあ。」
3人が笑う。
「まあ、神子は短気な呑気屋です。」
「どういう意味ですか?」
「神子は元々かなり短気なんだよ。
でもそれ以上に自分に対する悪口や誹謗中傷、どうでも良いような戯れ言と神子が判断したことは、聞いているようで右から左に流して、スルーするから、切れ
るレベルまでいらいらがたまらないことがほとんどなんだよなあ。
それから、あいつテンション高いとそう言う機能を一層強化するからチンピラやヤンキー崩れがいちゃもんつけようと寄ってきてもスルーして逆に相手を怒らせ
るんだよなあ。」
正規が苦笑し遥夢はコーヒーをすすっている。
「正規さん、コーヒー飲みますよね。真朱彌さんも、レイさんも。」
問では無く確認なのは彼女の十八番なのかも知れない。
「おい遥夢。アングルパウド入れるなよ。」
「わかってます正規さんのは正真正銘の無添加ブラックのキリマンジャロです。真朱彌さんはアルティア・ボルフラングで構いませんか?」
「ええけどアングルパウド入れんとアルティア・ボルフラングはどんな味何や?」
「とてもじゃありませんが、飲めたもんじゃありません。苦すぎて。口に入れた瞬間吹き出しますよ。」
そう言ってほんのちょっと申し訳程度にコーヒーが入ったカップを真朱彌の前に置く遥夢。
「お、おい遥夢。それってまさか。」
「アルティア・ボルフランク単体゙の抽出原液です。」
「そうか。」
口に含んだ瞬間、見事な霧吹きを披露した真朱彌。
「にっがー。なんなんや。この苦さ。想像以上に苦いなあ。」
「神子はこれ口に含んだ瞬間に麦茶3リットル飲み干しましたけど。」
「神子ちゃんふきださへんかったんか。」
「あの子はとりあえず口に入れたものは魚や肉についている骨やアルミホイルなどの梱包材以外は絶対に出そうとしないんです。
これを口に含んだときも一瞬吐こうとしてすぐに飲み込んでそれから、リンが慌てて麦茶持ってくるまでそこの床でうずくまってましたね。
あの子は滅多にコーヒーを飲みませんから。コーヒーよりも酒よりもまずお茶な子なんです。」
ものの見事な霧吹きは何故か笑いを誘う。
「ところで、遥夢ちゃん最近挙動がおかしい気がするんやけど。」
「ばれますか。こっちに戻ってきて軽く仕事してるときに左肩を傷つけてしまいまして。まあ、来週素体更新を依頼したので何とかなると思うんですが、…真朱
彌さん、診ていただいてもよろしいですか?」
「私で良ければ診るけど。遠慮するほどひどい怪我なんか?」
真朱彌が問う。ところでこの部屋にいる唯一の男性である正規はと言うとレイの隣でコーヒーを飲みながら、なにやら厚い本を読んでいた。それにしても何故だ
ろう蒼藍王族の男性陣は眼鏡が似合う。
「うわ。こりゃひどい怪我やなまだ傷口ふさがってへんやんか。私に出来ることはやるけど、これはほんとに部分更新どころじゃ無くて素体の全体更新が必要や
な。とりあえず、上着脱いでからやな。話は。」
遥夢の怪我は素人目に見てもひどい怪我だった左肩から左胸にかけてひどい損傷を起こしていた。
「…わかった。」
「何がわかったんだ?レイ君。」
大声をだし立ち上がるレイに対して3人を代表して質問する正規。
「さっきから感じていた違和感の原因です。遥夢さん怪我隠すために左袖つけていたんですね。」
「いやそうじゃなくて、単に左肩の怪我のせいで、左腕の感覚神経が冷覚しか機能しなくなっていたので袖を使って冷覚抑制をしていただけです。」
「こいつは怪我したからって見た目気にするような奴じゃ無いぞ。左腕なけりゃ右腕って奴で、この前なんかぼろぼろの左腕引きちぎって、投げ捨てたことも
あったな。」
人間からしたら凄い無理な話をしている正規。
「まあ、確かにこいつが左袖のある付く来てるのは珍しいが、外見から判断するにどうせ、衣装の全面更新期だから仕方なくそれ来て白衣着てたんだろ。」
正規の言葉に頷く遥夢。
「で、それはよしとしておまえいつまで俺のネクタイつけてる気だ?」
「これ神子に貰ったんですよ。」
「ウソつけ神子の奴…もしかして混神体の時の服だとサイズが合わなくなったからか。」
「胸がきついそうです。」
胸がきついからネクタイを従兄弟にあげるというのもいささかおかしい話だが、主師連中には常識が一部通用しない。
「そういやあいつ普段どんな服着てたっけ?」
「普段というのが、蒼天宮の中でと言う意味でしたら今の僕と同じ服装です。」
「あのー。」
レイが、3人に声をかける。
「ん?」
「神子さんにいただいたビデオを見てて思ったんですが、皆さんの戦闘スタイルは一体どういう方になるんですか?」
「そうですねえ。言葉にするのは難しいですし自分のことを把握している者はいないでしょうね。僕が把握してるのは正規さんと神子と涼子とリンですね。で、
正規さんが僕と真朱彌さんと彌蘭陀さん。
で、あえて、方に当てはめるなら、正規さんは物理系の強打撃一撃必中型。神子は、論理系の強打撃強斬撃併用式高速連撃型。単撃も重いです。ただこれは本気
を出した場合。通常は物理系の斬撃一系型です。
涼子は物理系と論理系の併用型の斬撃一系式高速連撃型です。リンは、論理系の高度圧縮気弾系の単撃連撃併用式の砲術型です。」
正規はパンチやキック、蹴りや掌底突きなどの武術技を駆使しまさに自分の体を武器として扱う。
神子は両足から繰り出される鋭い蹴りと、両手に持った2本の太刀の斬撃と太刀を使用した術式を可能な限り短い時間で何発も連続して打ち出す戦闘スタイルを
取っているが普通は太刀一本での戦闘を行う。
涼子は太刀で出来るわざと術式をこれまたごく短時間のうちに何発も繰り出す。
リンは言うまでも無く砲撃系メインの戦術スタイルである。
「遥夢はリンと涼子を足した様な戦闘スタイルだな。砲撃斬撃併用型とでも言うか。…俺真朱彌さんたちのしらねえぞ。」
「普段そんなに戦うこともあらへんからなあ。大体は薬と弓やな。」
「そういえば僕まだ本気で神子と戦ったこと無いんですよね。」
それは自分もだと思った真朱彌と正規。
「明日の宙軍星軍合同の観艦式はレイさんたちも参加して貰います。見なきゃ損ですからね。リンクリス級3号艦進宙記念ですから。多分青大央は臨時休校にな
りますよ。」
「正確には3号艦とリールシェル級の7号艦の進宙記念だ。カルティナ配備のリンクリス級3号艦ガルドとフローラ配備のリールシェル級7番艦マルジナのな。
二艦はミッドガルドから名前を取っているぞ。」
「私は、空軍の外部軍人ですから、空母が参加する観艦式しか参加しませんでした。だから新鮮です。あ、いただきます。」
ほどよく飲み頃になったコーヒーをすするレイ。
「甘ーい。なんでこんなに甘いんですか?」
「神子かリンに訊いて下さい。それよりも神子も母さんにやられたんでしょうか?」
見事にスルーされたレイであった。
「どうだろうなあ。まあ、全美のサイズから考えるに神子体の場合は元々胸が大きくなって当たり前だったんじゃ無いのか。ちょっと聞いてくる。」
疑問に感じたら即行動が彼のタイプらしい。ちなみに遥夢、神子、リンは前述の通り疑問を感じる以前に、物事をそのまま受け入れるため疑問を持つことが少な
い。
まあ、幼いことから、細かく疑問を感じることが無いぐらい物事をわかり易く説明されて育ったのだからしかたないと言えば仕方ないのだろう。
「遥夢ちゃんはどう思ってるんや?」
「うーん。難しいですね。神子の胸のサイズがわからないとどうにも判断基準が少なすぎますし。まあ、形とバランスは良いですよ。さてとお昼にしましょう
か。そろそろ鳴滝が来る頃です。」
はっきり言って遥夢さんに対する情報隔壁とやらを神子さんは取っ払っても良いと思う。ここまであっけらかんと軽い猥談できる女性を私は知らない。
「知らなくてもいるんだよ。特に遥夢とリンは羞恥心が無いからそう言う猥談を聞いてもけろっとしてるもんだ。神子の情報隔壁はこれくらいが最低ラインらし
い。」
正規さんに直接頭の中に流し込まれた情報は私の理解を超えるレベルだった。
「相変わらず真朱彌さんはけろっとしてますね。遥夢もけろっと…ははーん。そういうことか。遥夢、おまえの場合耐性がありすぎるから軽い情報隔壁がかかっ
てんだ。
真朱彌さんを100とすればおまえが150。リンが250ぐらいの耐性だ。レイ君は10ぐらいかもな。」
「それからきさんは80な。男の癖して耐性なさ過ぎじゃ呆け。忘れ物。ほじゃ。」
いきなり来て用件だけ告げて去って行く神子さんに遥夢さん以外は驚いた。
「流石リンちゃんのあ……あ…。遥夢ちゃん。」
「リンの姉で良いと思いますよ。生物学上は女性ですから。戸籍法上は男性ですが続柄は戸籍よりも生物学上の性別をこの国では優先しますから。
あの子は本当にいつの間にか立ってるんです。いつの間にか後ろにいて、いきなり飛び乗ってくるんですから。」
神子さんって意外に子供?
「神子は子供っぽいことが好きなんですよ。でも子供の相手は嫌いです。これは蒼藍王族に共通して言えることですが、自分と自分の血族の子供以外は嫌いなん
です。」
凄い話だ。コー被カップをもっとまま驚きで固まっていると、なにやら大きな寸胴が2つかかったカートを押しながら、鳴滝さんが入ってきた。
「お嬢様、昼餉の支度が調いましたのでお持ちしました。本日は軽めにうどんを用意してみました。太宰閣下方は釜玉うどんをご所望なさいましたがお嬢様はい
かがなさいますか。
「普通に神子と同じで良いです。あれ結構気に入ってるんです。」
遥夢の一言で言えば動物性タンパク質アレルギーもいつの間にか陸生動物なら大丈夫になっていた。なお節足動物は別。あれは流石に私も無理。
「畏まりました。それにしてもこの時期はにわかアルティニアーナ話者が増えますね。それがどれも非王国民。お嬢様はいかがお考えですか?」
「それに関しては如何ともし難いですが、にわか話者のせいでアルティニアーナの品位が貶められるのも嫌ですからねえ。今は、連合に対して、安易な片言での
アルティニアーナの使用を禁止する法律を各国で制定するための国際法の基となる条約の締結を強く働きかけると共に国内でのアルティニアーナの使用資格を設
けるべきかを主師で検討中でしたが、これは通過しました。閣議決定も済んでいますから後は明後日の朝議に通すだけです。各方面の長もにわか話者には苦慮し
ていると聞きますから、何の問題も無く通るかと思います。今回は、にわか話者を0にするために異常なほどの厳罰を盛り込んでいます。それから鳴滝もこれに
目を通しておいて下さい。明後日の朝議の議題です。今回は朝議のほとんどを瑞穂との国交樹立に関する条約の王国側の要望精査と、にわか話者に対する規制法
案の審議に割きますから、そこは理解しておいて下さい。」
「わかりました。さあ、出来ました。他の方はいかがなさいますか?」
「俺はカレーうどんを頼む。」
「私もカレーでお願い。レイちゃんは何にするん?」
「私は、ちょっと遥夢さんの奴が気になるのでそれを。」
一通りの注文を受けた後手早くそれらを作り各人の前に置く鳴滝。
「鳴滝いつも通りここで食べて行きなさい。それからレンコンの天ぷらと春菊のかき揚げあります?」
「はーい。レンコンの天ぷらと春菊のかき揚げだね。あるよ。神子ちゃんが欲しいって言ってたから、たっぷりとあげて貰ってあるよ。と言うよりもこの2つ
は、桁を2個間違えて注文しちゃったからたっぷり食べてねー。」
相変わらず公私の切り替えが早い。
「それと遥夢、明後日の朝議終わったら私1週間ほど休んでも良い?」
鳴滝が休みを直談判するのは珍しい。
「構いませんがどうしましたか?」
「うん。里帰りしたいんだ。」
笑いながら答える鳴滝。
「見合い写真大量に送られてきてて私はまだ結婚する気無いって言ってるのになあ。
「鳴滝のご両親は社会人になってうん京年という娘が未だに彼氏いない歴=年齢というのはどうかと言うことで送っているんだと思いますよ。それにしてもオタ
クにはモテる職業だと思うんですが。」
「やめて。神子や辰也みたいなタイプ以外のオタクとはつきあえない。」
鳴滝曰くまさに一般の人から見てのオタクのテンプレ3人組に絡まれていこうオタクにトラウマがあるらしい。とはいえ全てのオタクがダメというわけでは無
く、まさに一般の人から見てのオタクのテンプレとしか言いようのないタイプがダメだという。
「そもそも神子はオタクじゃないですよ。」
「そうなん?」「そうなの?」
「ええ。あの子は、自分でも言っていますが、中途半端なオタクです。オタクと言うには知識は中途半端ですし、マニアと言うには知識がありすぎる。非常に中
途半端なんです。まあ、それ自体趣味の範囲で良いんですけどね。あの子を無理矢理オタクとして分類するとしたら嫌無理矢理しなくても十中八九、全員が口を
そろえてあの子の分類を言えるでしょうね。」
笑う遥夢。
「…何だろう。」
「ポニーテールオタクやな。」「ポニーテールオタクだ。」
「あの子は異常なまでにポニーテールに愛着を示してますからね。ポニーテールフェチはもう失礼に値すると判断できます。ポニーテールオタクと言った方が良
いでしょう。」
まるで自分のことであるかのごとく自慢げに言う遥夢。
まあ、彼女も神子に及ばないまでも、オタクの域に達しているポニーテール愛好家である。
「ところで、神子さんが絶対にやらない髪型って何ですか?」
レイが問う。
「え、ショートカットでしょ。」
「あいつはゴムで結える長さまでなら許容するぞ。」
「三つ編みですね。」「三つ編みやな。」
同時に遥夢と真朱彌が答える。
「あの子は昔は萌えの鉄板と言われていたらしい三つ編みと眼鏡の組み合わせを異常に嫌います。と言うよりも眼鏡をかけた女性で、癒雨以外をあの子が許容し
たのを見たことがありません。」
「遥夢さんも眼鏡かけてるじゃないですか。」
「これですか?これ度無しのポーズですよ。こう書類読んだり学校でテストやっているときに上唇と鼻で鉛筆を挟みませんか。あれやると落ち着くんです。で、
これはその代わりです。」
言った当人も含め、その場の全員が苦笑する。
「鳴滝ーごちそうさまー。」
4人分のどんぶりを持って部屋に入ってきた神子。
「姉御ー、点鼻薬ありませんか?鼻詰まってしゃあないんです。」
これには神子以外の全員が呆れそして笑う。
のどかだー
To be continued