L.C-S 第47章 相変わらずの噛み合無さ
やっぱりこれがしっくり来る第19話
「行ってもうたなあ。」
姉の関西弁と、神子のごった混ぜ言葉とに影響されたのか、京都弁が薄れてきた彌蘭陀。
「ミラの姉御は私たちが高校に入ったとき、3年だったんですよね。」
「そうやけど、どうしたんや?いきなり。」
「何科だったんですか?」
涼子は少しふくれ気味である。
「高度研究新規開発学科や。お姉は高等士官学科と普通科の二重在籍やったって言うのは訊いてるやろ?」
「はー?」
少し怒気をはらんだ声で驚く涼子と、すぐ傍でライオン100頭が一気に気絶するレベルの大声を出され耳を押さえる彌蘭陀。まあ、サーヴァルインカムのお陰
で、音量を抑えられたから良いのだろう。それでも、鉄道のガード下ぐらいの音量だ。
「神子ちゃんかお姉に訊いてへんかったんか?」
「訊いてたら、あんな声出しませんって。後で神子とっちめてやる。」
「涼子、姉御は高校時代士官科と普通科の二重在籍らしいぞ。」
慌てて部屋に駆け込む神子。ここは長相執務室。先ほどの大声に対し部屋の主は気にしていないらしい。
「とっちめる以前に、神子ちゃんも今日まで知らなかったんやねえ。」
「「何がですか?」」
全く同じ表情、トーン、タイミングで聞き返されたら誰だって脱力するだろう。
「お姉の高校時代の科。」
「ああ。向こうでレイ君の中学時代の話になりましてね。そこから鳴滝が家政学科と普通科の二重在籍で、そしたら、姉御が、そういったもんだから驚いて、涼
子に教えたくなったから慌てて戻ってきたのよさ。」
「高校時代で思い出した。神子なら、王国史のこと詳しいよね。」
王国史は普段、自由学習指定がかかっている。と言うのも、始王朝から中王朝まで各王朝それぞれ、70極年ほど有る上に後王朝が10万年。終王朝が、現国王
即位までに既に2565万2000年。ここまでで相当な歴史が有り、平均わずか16年ほどの教育機関で教育しきれるレベルの歴史では無くなってしまってい
る。と言うのも各王朝があまりにも濃厚で有り、全ての歴史的出来事を詳細に原因から経過、結果までを書き記すとなると、おそらく、いや、確実に王国時管省
と宗国時空省が、管理する世界に存在する素粒子を全てA0サイズの紙と見なしフォントサイズ8で記そうとしても、小数点以下15桁未満のパーセントしか埋
められないと言われる。さらに終王朝の現国王即位から、現在に至るまでとなると始王朝の初代即位から終王朝の先国王退位までの期間を極度に超える期間を既
に経過しておりその濃厚度と言ったら始王朝初期の戦乱気を遥かに超える濃さである。
「アホか。あの濃さを全て記憶してるとなると、遥夢並の記憶能力と領域とARへのアクセス能力いるんだぞ。それにしても、定めの法典にうちのAPを合成す
るかなっと思ってる。それから、王国史が知りたいのなら、王国の科学技術発展史を学べよ。王国の科学技術発展史=魔法技術発展史だからな。」
「どうして科学技術発展史=魔法技術発展史なの?」
「科学と魔法を同等の存在として扱っていたからだよ。その関係か知らないが、王国は創造界世界の中で最も早く非質量兵器を実用化したんね。これは、半分以
上が、科学が魔法学を許容して発展してきた関係なんだよ。魔力を持たないものが魔法を扱えるように。強力な魔力を持っていながら体が弱いがために長い呪文
の詠唱が出来ない者がその魔力を十分に発揮できるように。呪文詠唱を科学と、情報学が代替し、物理と化学が魔力を内包するための基盤を作る。さらに科学技
術全体が、魔力を増幅して、別のエネルギーに置換して、安定化して、さらに増幅する。そう言う一連の技術を発展させて一つにまとめ利用することで発展して
きたのがアルリアーナ・ザナルカント。狸天湖の北底に沈む太古の遺跡さね。それにしてもあのロリコン極端なんだよなあ。」
軽いと神子が言う説明の後、軽く愚痴る神子。
「あのロリコン大学留年したと思ったら今度はデブになってた。」
「春生まれの冬人のこと?」
「まねー。」
翌日
蒼月洋海上。
「痛ってー。」
これはもうどうしようも無いのだろう。気持ちよく寝ていた正規の首筋に遥夢がかみついたのだ。この夫婦、半年に一回は必ずこれを繰り広げている。
「バカ遥夢。寝ぼけてないで。」
「バカなのは正規さんです。時間を見て下さい。観艦式に基軍がそろってないのはどうかと思うんです。」
時計は既に8時半。観艦式は9時からである。
「今回の観艦式は国内防衛の観点から各艦級のネームシップと攻撃艦、索敵艦、駆逐艦、参謀艦、潜宙艦がそれぞれ50隻ずつ大規模空母が2隻参加する。」
「え、ちょっと待って。王国軍の艦級って一体?」
「宙軍は旗艦が3。攻撃艦が5、索敵艦3、駆逐艦が15、参謀艦が5、医療艦10、護衛艦15、輸送艦3、潜宙艦が16っと忘れちゃいけんわな。空母が
16。星軍は旗艦1、攻撃艦2。索敵艦が20、駆逐艦10、参謀艦2。医療艦30、護衛艦30、輸送艦20、潜宙艦0、空母1だな。基軍は旗艦1と参謀艦
1。」
護衛艦と索敵艦、医療艦が星軍の場合やたら多いのは、惑星防衛のためだろう。星軍の輸送艦はほとんどが土木機械を満載している。
「多いの?」
「主上が即位してから登場した艦船はその全てが艦籍を受け継ぎつつ更新されながら現在も運用中だ。他にも始王朝から前王朝にかけての軍港の遺跡から発掘さ
れた戦艦を現在の科学魔法技術で修復して使用してるのもいる。」
観艦式は滞りなく済み、その日の夜。
「神子、どれくらいになったんですか?」
「まあ周りとのバランスとかも鑑みて素体依頼してたらいつの間にかGだった。」
呆れる遥夢だが、そもそも自分はと言えば、神子を超える大きさなのだから呆れる意味が無いと感じたのか苦笑に切り替えるが、理由を考え直し再び呆れる。
「神子にサイズを訊いた僕がアホでした。」
「あの揉み魔に訊かれるよりは良いかなあ。あの人に言ったら二ヶ月後にはIだもん。」
「そ、それは。否定できない僕は情けないです。」
いや誰もそれは否定できないよと思った王族一同。約一名、自分のことを言われているとは気付いていない者がいたがそこはいつものご愛敬。
「ちなみに一回揉まれたら耐性つくからその後何度揉まれてももう大きくならないよ。」
「いーなー。リンの下着凄いデザイン派手だけどそつなくまとまってて。」
「僕は今日見せて…神子、僕に対する情報隔壁解除したんですか?」
そう言われればそうである。
「うん。主上の場合は単に流れに乗って拒絶してただけみたいだしね。」
「そういえば、この中で一番一般的な女性思考に近いのってなんでか正壬だよね。」
「そうかな?」
神子の言葉に正壬以外は口には出さないものの同意を示す。
「でもさ、やっぱりこう、下着は可愛い者が欲しいじゃ無い。」
「そうでしょうか?」
「うちも主上もあんまりファッションに頓着しないからなあ。リンも黒ないし少し派手目が一番合うから昔からそう言うのばかり選んでるし。」
正壬の言葉も一理ある。
「でもねー。この大きさの胸だとさ、可愛いデザインの下着ってなかなか無いんだよねー。」
「つけてて、身体に異常が出なければ正直言ってデザインなんざどうでも良い。」
神子の言葉に頷く遥夢とリン。
「そういえば、姉御達は何処でお買い上げに?」
「私らはし○むらとか、パ○オスとかやな。高級ブランド選ぶがらじゃないし。そやけど少しはデザインこだわりたいからなあ。」
「し○○らは良いですよね。ア○イルなんかも良いの有りますよね。あそこはうにゅい服を売っているので好きです。」
宮内省から送られる下着で十分と考える遥夢とさらし好きの涼子はこの話題をスルーしていた。ところで、うにゅい服っていったいどんな服なのだろうか?
「遥夢ちゃんと涼子ちゃんは何処で買ってるん?」
「…下着って買うものだったんですね。いつも宮内省から貰っていたのでてっきり所属企業からの支給だと思ってました。あ。冗談です。」
真顔で言って置いて、冗談は無いと思った一同。
「私はワ○ールか、後はデパートの女性服売り場ですね。」
涼子はごく無難な回答か。
「み、皆さん、長風呂なんですね。」
「あ、僕たちに無理に突き合わなくても良いですよ。僕たちは強制的に各所で血液を冷却していますから。長風呂が好きなんです。レイさんも敦雅さんも…敦雅
さん?」
それまで普通だったのが顔を真っ赤にして沈む敦雅。
「あらら。」
「皆さん大きいですから。一番小さくても羽魅先生と同じって。」
「レイちゃんの下着って可愛いよねー。何処のデザイン?」
話の流れを無視する正壬。なるほど正壬は神子よりも話をぶった切る率が高いらしい。
「あ、噛んだ。神子の噛みつきって結構痛いんだよね。私が痛いって言うぐらいだから多分…やっぱり、絶叫するか。」
「バカですよねえ。読書に夢中の神子の邪魔してあまつさえ挑発するなんて。あの子ああなると完璧相手の肉噛みちぎるつもりでしょうねえ。」
二人の傍観姿勢をよそにはらはらした心地で観戦する正規とレイと敦雅。
「お、首に行った。これ、完璧旗取り行ったよね。」
涼子の言葉に頷く遥夢と真朱彌。
「神子の爪と歯は凶器だからなあ。」
「そんなにすごいんか?」
「平時は普通なんだけど、任意でいくらでも鋭さを変えられるんだよ。」
絶叫と首から走る激痛に意識を遮断したらしい戦闘相手。
「次。」
神子はかなり機嫌が悪いらしい。
「…若菜、この学校に対して認めた自治権を一時的に凍結して、コイルスと王国警察の介入を行うから。」
どうやらかなりどころでは無く完全に切れているらしい。口調が普通だ。
「神子はね、切れたとき以外は相手の苦しんでいる表情をいやがるの。これは王族の中でも特異なタイプでね、あの正規でさえ、相手が苦しんでいたり悲壮な表
情を浮かべても何も思わないけどね。一番殺し方が残酷に見える神子だけど、相手が絶望感あふれる表情や苦しんでる表情を浮かべる前に楽にしてやりたい。ひ
と思いに殺しておけば、相手にとっても絶望や苦しみを味合わずに済むという独自の理念があるんだよ。」
その理念を放り出してまで相手に噛みついたという事はそれだけ神子さんの逆鱗に触れることを言ったのだろう。
「来たか。こいつらに帰さんらが考えつく限りの拷問を加えろ。うちが良いと言うまでな。」
「これから解放された奴は居ないよ。大体は、永遠に拷問を受け続ける。それがたとえ神子がお気に入りのポニーテールをしていても。あの子ああいった1時間
後には言った事自体をけろっと忘れてるからね。」
「え。部屋もう空いてへんの?…ああ。じゃあ、直近半年以内に放り込んだ奴以外は部屋から出して傷が癒えるまで手厚くもてなしてやり。それにしても馬鹿な
格好してた輩もだいぶましになったろうなあ。」
「神子の言う馬鹿な格好って言うのはああいう格好。」
涼子さんの指した方に居たのは髪を染め整髪料でがちがちに髪を整えた若者の姿。
「一言で言えば王国内のDQNと言われるバカどもは大体が放り込まれる運命にある。コイルスに対して、太宰令として、国内のDQNの定義に当てはまる物ま
たはそれに準ずると判断できる物は仕置き屋敷に放り込めってね。面白いのが、DQNを人じゃ無くて物扱いしてること。あまりに教養が感じられない。格好が
前時代的だ。等々いろんな意見があるけどさ、とにかく社会に通用する物から人になるまで仕置き屋敷に放り込まれて出てこられない。拷問部屋を出して貰った
ら、今度は社会に通用する人材になるための勉強。この頃は監視は付くものの自由に出入りして好きな物を買える。でも、DQNに通じると政府が判断した物は
買えない。また実地研修的な物を行うことで給金が支給される。そうして仕置き部屋を出て傷が癒えるまで約半年。社会的教育が済むまで約10年、それだけあ
れば、超過密スケジュールのお陰でこの見る目が厳しい藍蒼企業でも十分に通用する人材になってる。挨拶はおろか、言動が軽く礼儀なんて有ってないようだっ
た下衆が、仕置き屋敷を出たときには何事にも率先して取り組んでいく立派な社会人になっている。だから履歴書の学歴職歴欄に仕置き屋敷にいたことを書けば
藍蒼企業に入社できる率は9割5分と言えるね。わざと入る奴は永遠に出られないけど。」
最後にしれっと嫌なことを言う涼子さん。そうこうしているうちに何人もの黒服スーツのサングラス姿の人が神子さんの逆鱗に触れた若者達を連れて行った。
「凍結解除。」
神子の言葉に固まっていたときが動き出すように実行委員がリング上に上る。かつて、ルール制定にも関わったという神子さん。てきぱきと指示を飛ばしていく。
この日は地方の中学校から入学を希望する生徒が来ていた。
「今日の神子切れやすいよね。」
「どうしてやろ。」
少し考え込んで立ち止まる神子さん。
「これのせいかな?」
神子が着ていたのはベルトを通すことが出来るが無くても全く問題ないタイプの膝丈スカート。これでやくざキックやら、回し蹴りを繰り出し先ほどのようにが
ぶがぶ噛みついていたのだから遥夢やリンのことを羞恥心が無いと言って呆れられる物では無いのだが。神子は羞恥心があるがスカートはどうしても見えてしま
う物として考えているので遥夢やリンとは考えが異なる。
そのベルトを通す部分についていたのはなにやら金色に光るお面のような物。
「統一ギルドに聴いたら、サーバ廃止に関連して記念に持っていって良いって言うから貰ってきたんだよ。まあ、本戦で使用しとこうと思ったんだけどさ。昨日
寝る前に読んだ書類の内容のせいでキャパのほとんど埋まってたんだねえ。」
「神子は呑気すぎる短気者って言われていてね、根は結構短気なんだよ。でも今までに形成された性格は、ねえ。」
まだ数日しか一緒に過ごしてないけど、神子さんは自他共に認める変神かつ漫才の呆けだった。
「じゃ、がんばってねえ。」
そう言うと涼子さんは神子さんと真朱彌さんたちを連れてどこかに行ってしまった。
『自習 個々のテーマに沿ったフィルタリング適用中』
これを蒼藍語、瑞穂語…あ、こっちじゃ日本語だった。それから英語で記しているのは地味にありがたい。
「藍蒼学院は創造界世界の最高学府だから、この世界の主要3言語が至る所に表示されてるよ。相変わらずそれで朝鮮族出身者は怒ってるけど偏差値がぎりぎり
だから、そのうち消えるよ。平均点が基準値よりも1点でも下回ったらその時点で除籍だもんきびしいよね。」
こっちで出来た新しい友達が教えてくれる。
「確かになあ。でも俺はそれでも正正士を目指す。」
「連邦の漫画みたいな台詞言ってる暇有ったらおまえに任せた分やれ。おまえだけだぞ残ってるの。」
私は苦笑する。そんなとき、なにやら大勢の足音が近づいてきた。教室にこのとき居たのは、私と敦雅、リートさん、リールさんと馬魅、そして、さっきの会話
の友達3人の計8人。他はフィルタリングが弱い図書館に居た。
そうこうしているうちに近づいてきた足音はこの教室の前で止まり戸が乱暴に開けられた。私と馬魅に決闘を申し込んできた2人組が居た。
「承諾するけど選ばせてもらえるんだよね。弾幕決闘でいかが?」
私は早く終わらせたかった。
『短期決戦を狙っていますが、そうなると、スペルコールを巧く使いこなせるかが勝負の鍵ですね。』
解説席に座っていたのは遥夢さん。
試合開始のゴングが鳴る。私はソラにP.G.Wだっけ?の展開を命じて、飛び上がる。馬魅は地上で私は上空から挟み撃ちを狙っていた。
相手が弾幕を打ち出す。でもスッカスカ。私はこれよりももっと濃いものを見たとがあった。
「スペルコール。AS-MC-01-IC-DC-R。」
私が星守の巫女ならこれくらいの技を使えなければ困ると言われたのがこのスペルコード。
「レイ、相手の動き止まったよ。」
「わかった。馬魅は動き続けて。」
教室の8割を使い作られたリング上を縦横無尽に動き回る馬魅と次に使うコードを考える私。そうしているうちに相手にかけた術式がドンドン弱まっていく。
「あ。」
そういえば、神子さんが、困ったら使えって言って渡してくれた物があった。
『あ。全員リングから離れなさい。』
遥夢さんが退避命令を出す。
APのページに詠唱用のコード名が出される。
「スペルコード、MS-11-06-EC-PF-TRSSC。」
私の腕を覆うように砲身が形作られる。そして、周囲が暗くなる。その中でただ一つだけ私の腕を被いながら作られた砲身の先が明るく輝き出す。
「てーっ!」
馬魅の言葉に驚いて、それを放つ。視界が白一色に染まる。
「な、何。」
「お疲れ様でした。それにしても神子も無茶をしますね。レイさんに整流砲を与えるなんて。」
遥夢さんが呆れる。
神子さんが、私に渡したもの。それは一定範囲内のありとあらゆるエネルギーを一転に収束させ、そのまま一線軸上の物質を全て容赦なく消滅させるほどの威力
を持つ収束砲撃砲だった
「Explosional Card (権利関係に抵触するので伏せます) Type RealShel
SpecialCanon…一言で言えば強化型整流砲です。あの子のことですから自分には使えなくなってしまったものをただ捨てるのはもったいないと言う
だけの理由でレイさんに合わせてリチューンしたのでしょう。」
教室は床の基材が見えるほどにぼろぼろだったが、私には一切おとがめ無しだった。後にバカが挑んだ完璧な、勝ち目が最初から存在しない負け戦として語り継
がれることになるけどそれは遥夢さんたちに任せようと思う。
「これくらいでどうかな?」
「良いんじゃ無い?私の方はこんな感じ。」
「後はシミュレーションして貰ってそれと結果を照らし合わせれば良いかな。」
そう言いながらデータを納めたカードをリトエルスに渡すレイ。
「今日何食べる?」
「日替わり定食。」
「すきだねー。」
「これ……おい馬鹿野郎。何万年前の書類持ってくるつもりだ。先周期の時の奴じゃねえか。」
周期とは無年時の表記における第何次という部分で有る。無年時になって以来9×10の64乗年を一区切りとして周期を一つ繰り上げる。CoilOSは
1000周期で1サイクル繰り上げ1京周期で1シーズン繰り上げる。そのためCoilOS Type Concorde Eternal
Edition Season23 Cycle46 Oral Creator
Versionと言う表記がされていた場合この表記方法になってから23京4万6千周期が経過して発売されたという事がわかる。発売は1000周期ごとに
のびたが、OS自体のバージョンアップはこれまで通り、1億期ごとにマイナーアップ。10億期毎のメジャーアップ体制が取られている。
おっと話を戻して、今章の時点での周期が始まったのが72万4500期ほど前。つまり、神子が吠える原因となっている書類は少なくとも72万と4500年
以上前のものとなる。ばからしい。
「はー?最新のデータで今周期初年てどういう事だキバヤシ。」
「神子バカ言ってる暇有るの?」
「有るから呆けを噛ましてる。第一。これ来周期用のデータ整理。それにしてもさ。学院には無いの?ある?取り寄せて。」
神子が、余裕綽々なのは見ただけで涼子にはわかっていた。しかし、神子に対する突っ込み役ならここで突っ込まなくて何処で突っ込むのかという自問の末の問
だった。
「おまえもさあ、さっきから斬艦刀分回してる暇有ったらさっさと、ルーラに飛べよ。今日明日じゃ無かったけか?各国の時空管制権を王国時管省に集約する条
約の調印式。あれたしか宗国の時空省と外務省の大臣も来るだろ。空官の長として出ておくべきだと思うんだけど。」
「あのさあ。」
「なにさ。」
このやりとりはもう鉄板であろう。
「か…あのさあ。なんで空官なの?」
「長の能力が空っぽだったから。」
「はあ?」
確かに説明能力に乏しい説明だ。
「時官は、設立当時の王族の能力系統が時空属性に傾いていたことから時を操るものを世話する官で時官。空官は設立時の長の能力が空っぽだったから。ってい
うふうに言われてるけん、実際には、設立時に管轄していたのが、臨時官庁の魔法省だったから。で、管轄する常設官庁が無いから空の官で空官。地官は言わず
もかな。管轄官庁は国交総省。地をまとめる官で地官。南官は、保安省が昔スオウに本庁舎を置いていたから南の武官をまとめる官で南官。西官は今も昔も司法
省はルーラにある。ルーラは王国の最北にして最西の州。つまり西の法官をまとめる官で西官。北官も一緒。時空管制省もルーラに有るからね。北の地に有る時
の法官をまとめる官で、北官。東官は外務省を管轄する官だけど、これは外務省がアルトマリアにあるから王宮から見て東に位置する外交官を統べる官で、東
官。」
全部正規の命名だ。
「朝議だぞー。」
命名した当の本人が来る。朝議の内容は非公開なので省くが結果的に挙げられたものは全て可決された。
「あーおわったおわった。そういえばようA.Iの商標って何処が持ってんだ?やっぱり3Cか?」
「うんにゃ。LLC。A.IはLWTCが基になるものをのんびり開発してたんだけど、あまりにのんびりすぎて、めどが立たないからって、投げたのを3Cが
キャッチして現在の形に持ってきてそこのLSNがインフラ系のいろいろと権利関係とかでめんどいのを突っ込んだ。」
LWTCの代表、閃河璃茶はイラストレーターで有り、漫画家で有り、歌手で有り、プログラマで有り、社長で有り、大使である。まあ、イラストレーションと
漫画家くのと歌うのが趣味なプログラマの技能を持った社長も務める大使と言えよう。何処の大使かというと駐日蒼藍王国大使である。彼女の使うA.Iは体ウ
イルス用にウイルスバスティングとハッカー&クラッカーバスティング能力が異常に高くなっている。とはいえ、LLCが定める規則により、前述の能力が高い
場合はオーラルキーパークラス以上のもの以外がマスターの場合A.IBTへの参加が禁止されている。
「あー。うん。えっとねえ、リーさんからで、しばらくLigxuOSの開発を停止するってさ。」
「どうして?」
「一言でいうとお役目のほうに専念するんだって。」
青大央普通科特別教室棟
「レイさん。明後日お暇?」
「え?あ。うん。暇というか予定はないよ。どうしたの?」
「学生中将は所属する部隊において、操艦訓練に参加しなきゃいけないんだって。それで、レイさんにもこちらの戦艦を体感してもらおうと思って。」
続く