L.C
-S 第五章 山間の田舎…都市
紅蒼に神応鉄道が生まれるより前に国によって、国土交通開発発展推進機構が設立され、山間部の交通の利便化が計られた。
そして、一行は、その山間部の一つ、奈廼地区に到着した。
「…あのなあ。何で、こんなに集まるかねえ。」
「すまん。俺が声かけた。」
「総始ですか。にしても、何人規模よこれ。」
「あ。お婆じゃなかった姐さん。」
「…彼の死に姫が?」
涼子が見つけたのは三十代半ばぐらいの風貌の女性である。
「おい、死に姫って何だ?」
夕が問う。
「死に姫って言うのは、の前に怨霊と呼ばれる物について、話そう。
怨霊は、強い怨念をもち近づく者すべてに霊障を及ぼす非常にやっかいな存在だぁな。
それと、この怨霊、まぁたやっかいなことにめっさでっかい霊力の塊があるとそれを食らおうとよって来ちゃうのよ。
で、死に姫は、ひょんな事から、DNAの一部に変異があって、生まれたときから、莫大な量の霊力を持って生まれて来ちまう者がいるんだけんさ、たいがい
は、怨霊に喰らい尽くされて生後三ヶ月もたたないうちに骨も残らずに死んじまう。
だけん、稀にその莫大な霊力の下にこれまた莫大な時繰力か神力でもって体をコーティングして、怨霊から自発的に見を守ってるのが生まれてくる。
でも、怨霊は寄ってくる。だけん、霊力は吸えてもその一番濃いところは霊力よりも強い神力などで、阻まれて喰らえない。だから、その存在の周りをうろつ
く。
そして、近づく者すべてに攻撃を行う。たいがいが、攻撃されてから一週間以内で死ぬ。
そいでもって、質が悪いことにその存在はたいがいが、美しい女性と決まってるんだと。男は守りが弱いから、すぐ死ぬ。で、そんなことから死に姫という言葉
が生まれたんよ。…わーったんかいな。」
「まあな。それにしてもかなり不釣り合いだな。」
山間部の交通の利便化をはかり敷設された新幹線。しかし、委託を打診された神応鉄道、LTRが拒否したため、今も赤字で推移している。
しかし、奈廼市と、琴平温泉村に神応鉄道が駅を作り、乗り入れを開始した。この路線が、神鉄の旗艦路線である大動脈神蒼麒線であったため、一日に何万人も
の観光客が訪れるようになりローカル化の進む奈廼地区の鉄道がにわかに活気づいた。そして、ちょうど、計画されていた、高速新線の一部に組み込まれること
が決まった新幹線は、路線能力の増強が行われた。そして、開通したのが、神富深新幹線である。
「まあ、ビルがあるのはここだけだから。さて、このホーム…。」
「なによ。」
「油断してると不意打ち喰らうから気をつけーよ。」
「は?」
混神の言葉に涼子がぎもんをなげかける。が。
「あれ。いない。」
そのうち列車がくる。が。
「そこかい。」
『だかぁ、言ったに。油断してると不意打ち喰らうって。ホームは9両分あるけん来る電車は特急以外3両なんよ。」
「だって、さっき。」
夕が何か言おうとしたが、
「まあ、しかたないよ。混神がここに来たのってさっき出てった特急の写真撮るためだと思うから。」
「…後、寄りかかるためかと。」
「リンそれ言ったらおしまいだよ。」
そう言いながら、混神のところにやってきた一行。だが。
「それはいいとして、乗れっかな?」
「十分。ただし、二つ次の駅で、2両増結するから、少しは余裕出てくるよ。」
涼子の言葉に混神とリンはさも当然というように列車に乗り込むが、それ以外の者は固まっていた。しかし、発車の合図であるベルが鳴ると慌てて3両に分乗し
た。
「特急に乗った方が良かったか?」
「ん~。次にどこに行くかに寄るよね。乗り換えて、舞野原温泉に行くなら、関係ないし、このまま奈廼本線を使って、志戸呂地域に行くなら、乗り換えた方が
いいかもしれないけど、こうは話せないよ。」
「あ、あのさぁ、姐さんてそんなにぺらぺらとその鉄道に関すること話せたっけ?」
夕の問いに対し混神は、
「うんにゃ。こいつには、情報が見えてるだけだ。どんな嘘で固められた真実であろうと、どんな情報もこいつの目には真実の情報しか写らない」
『この列車は、奈廼本線西信濃原行き各駅停車です。北奈廼、雛野杜温泉の順に終点信濃原まで、各駅に停車いたします。途中、東方木で神応鉄道への乗り入れ
準備のため5分少々停車いたします。また、雛野杜温泉で後部に2両を増結いたします。』
このアナウンスと、涼子の言葉に違和感を感じた夕が、涼子に話しかける。
「あれ?この列車は、信濃原までなのに、さっき、。姐さん。」
「特急は、出水支社の志戸呂駅まで乗り入れるよ。そうじゃないと、水信本線の速達列車がないから。あ、でも、どこに行くの?」
「東方。」
「牧丘?それなら、このままが一番いいよ。牧丘へは、信濃原から直通の長距離高速列車があるから。でも、新幹線じゃないな。…巡航180…あ、これ、蒼明
東方縦貫特急線の延伸区間だ。」
「5時間くらいか?」
「6時間32分だね。蒼明からなら10時間50分かかるから、15時以降に蒼明を発車する列車には、寝台編成が充当されてる。」
そのうち、列車は、山の中に入って、切り通しを抜けると、ホテルらしき建物が建ち並ぶ街に着いた。
「奈廼市雛野杜温泉だな。…どうするここで、乗り換えて舞野原温泉行く?」