L.C-T 第4章
やっぱりこれがしっくり来る第25話

「どうしたんだい?いきなり見合い相手をやってくれだなんて。ま、僕に落とせない子は居ないんだけどね。」
「二次元が抜けてるぞ二次元が。」
「いいじゃないか。それで、君の計画は斯斯云云でいいんだね。」
「ああ。適当に話し合わせて、そのまま自動的に破談の方向で持って行ってくれ。こらこら、リン。いくら生理的に無理と言っても何も彼は言ってないんだから。」
リンが使う火器の一つである、クロッサキカス・インフェリアは、着弾時に十文字の火影が出ることから当時の正規が命名したクロスインフェルノが元である。
「ああん。撃つならうって。僕をもっと熱くして。それとも何?それで、僕を貫いてくれるの?ああん。どちらもす・て・き。」
「な。やめとけ。」
「ああん。なんで、やめちゃうの?僕はもう貫かれて熱くしてもらう準備は整ってるのよ。止めちゃいやーん。」
周りが引く中神子が軽く手を上げ、リンが再度火器を構える。
「さあ、僕にあの快感を与えてよ。何をためらうって言うの。僕のスイッチを入れた責任はとってよ。」
これが、ムキムキマッチョなら多少絵になったのかもしれない。それにしても吐き気催すほどの気持ち悪さなのだが、たちの悪いことに高身長高体重という巨大たる体型の男がくねくねしながらこれをのたまっているのである。
「ああ。もう想像しただけで逝っちゃいそうよ。ねえ、それで撃ってもらうために僕にも何かできることはあるのかなぁ。」
神子が手を振り下ろす。それを受けリンが火器を放つ。そして着弾。
「ああーん。熱い。熱いよぉん。こんなに熱くなって僕はいったいどうしたらいいの。そうだ。」
「総員待避ー。」
神子の大声で蜘蛛の子を散らすようにその場から人が居なくなり、物陰からちらほらと顔がのぞく程度となった。
「―を見つけて―するか―に―してもらうかしちゃお。みんなー見てみて。僕って今とってもセクシーだと思わなーい?」
「誰が思うさね…やりゃあがった。」
神子がつぶやくその先には超人ハルクのように服を破りボクサーパンツ一丁で仁王立ちする、醜く樽体型となった20代前半ぐらいの男が居た。
「遥夢。レールガン撃ってくらい。」
「無理です。」
「あそ。リア。45m対艦3連装砲スタンバイ。」
廊下の一番奥の空間がゆがむ。
「…なあ神子ちゃん。あれがシュレック?」
「スィーァ。普段はまともなんですが銃火器とか刀剣とか見るとスイッチはいちゃって。」
「難儀なお人やなあ。」
「あ、下手に近づかないでください。あの状態の奴の近づいたら最後女はずたぼろに犯され男は再起不能になるまで絞られ掘られます。回避したのは不細工状態 の花子だけです。後は主師連中だけですね。どんなに撃たれても気持ちいいとのたまい。切ったらその分増える上にこれまた気持ちいいで、一回これは使えるか と思って、敵拠点惑星に部隊人数分に切り刻んで投下したんです。」
つばを飲み込む摂津一家。
「結果はひどいものでした。奴にとっての宴が終わった後は、積み上げられた全裸の男とずたずたの服をまとった逝かれた女が徘徊しているだけでした。そして奴は投下前よりもつるつるたぷたぷで満足げでした。」
これには皆げんなりする。
「あーあ。創造だけで漏らしやがった。…そか。リア45m砲は解除。モホモホマッチョメンをスタンバイ。」
「モホモホマッチョメン?」
「見ればわかります。相手が男なら誰でもいいですから。ゴー。」
廊下の奥からブーメランパンツ一丁のむっきむき筋肉男が短距離走の走り方で現れ…。
「ぉぉぉぉぉぉおおおおおおああああああああ!!!!」「oh///……yes!yes!yeeeeeeeaaaaaaaaaaaaaaaaas!!!!!!!!!
もう言わずともいいだろう。
「これなら、双方ノーダメージで。…あーあれ見たらそりゃダメージすごいか。」
「ああ。仕方ないわ。私は何度か見たから耐性有るけどミラは多分初やもん。」
「ですよね。おまえら、山奥でやれ。」
そういう神子にきらりとした目線を送るシュレック。
「ワッチを標的にすんじゃなかとね。」
そう言って彼を蹴り飛ばし、ついでに同じ方向角度でモホモホマッチョメンを打ち飛ばす。
「たく。好きなだけやりやがって。奴らはもうあれだからな。申し訳ありません。今回は。」
「そうだね。こうなってしまっては。」
「神子ちゃん、このホテル呑めるとこ有る?」
悔い気味で神子に尋ねる真朱彌。
「はい。15階に。」
「リンちゃん、神子ちゃん連れてきて。」
そう言って涼子と彌蘭陀を引っ張ってエレベータに向かう真朱彌。

「……流石にあれはやり過ぎてしまいました。申し訳ありません。それはそうと、普明さんの暴走に関してはもう少し聞いておきたかったです。」
「あ、あ〜あ。私知ーらない。」
そう言って涼子がグラスをあおる。
「確かに私らもおとんの暴走に関して説明不足やったわ。ところであの45m砲って何なん?」
「45m砲ですか?簡単に言えば、ただただどでかい三連装砲です。正式名称は3700口径4500cm三連装艦載用対艦弾弾道弾高度術式砲。私に神流砲な どを撃つことができるようにすることで主師全体の遠距離攻撃能力を底上げしようとしたのでしょう。この砲は元々、ルナハU級の主砲として開発されているも のの中で最も実用性が高いと判断され砲撃実務試験として私に与えられたものです。」
「45mって砲身長やのうて、砲身内径が45mって意味やったんか。」
真朱彌の驚きはもっともだとうなずく涼子。
「確かに45m砲と聞いたら何も知らなければ45mの長さの砲身を持つ方と判断するかもしれません。ですが、多少砲機についての知識があるのならば45m砲と聞いた場合は砲身内径45mと判断できるかと。」
これが自衛艦の主砲である127mm単装砲や、かの有名な大和の46cm3連装砲だったら誰も間違えはしないだろう。しかし、普段はどんなにでかい口径砲 でもcmで呼称している神子がこの砲に限ってm呼称しているので真朱彌も間違えたのだ。まあ、ただ単に4500cm砲より45m砲といった方が言いやすい し手っ取り早い。ただそれだけである。
「って、その45m砲の砲身長コーウェリアを軽く超えるやんか。」
「スィーア。故にルナハU級は複合艦となると予想されます。それ単体で極々小規模な機動艦隊を構成するそんな艦に。全長はおそらく500kmを超えることになるかと。」
コーウェリア5隻分の大きさの船となると流石に一つの船体で一つの船とは逝かない。そこで、主砲艦2隻副砲艦2隻艦橋艦1隻機関部艦2隻の計7隻からなる船団を組むとともに互いが結合した状態で常時運用される複合艦というスタイルを採用するようだ。
「重なる部分もあるけど160km超の巨砲を計3門の他に諸々だから。私は500〜600くらいにはなるんじゃない?」
「一般専宙大容量船でも最大で400とかが良いとこやのに。あ。でも複合船やったら1Mmとか普通にあるか。」
彌蘭陀が独りごちる。彼女は元々、こういった思案型の多方から得られる情報を蓄積し、自身の演算能力に頼り分析するタイプの学者なのだが、実験による実績 と経験の蓄積と他者への講義による自身の持つ情報の整理を主とする学者である姉の手伝いをしている内に、こういう深く独り言をぶつぶつ言いながら考え込む という時間がとれなくなっていた。というよりは、自分と同タイプで自分よりもレベルが上のものが身近に居たのであっけにとられてそういう時間をとることす ら頭から抜けていたという方が正しい。
そんな彌蘭陀とリンが、何か話しながら色々とグラスフレームを展開していく。そして時折笑いながらそれを肴に酒を飲んでいるようだ。
「は?10Mmも有る複合貨物船があるやと?」
「あー綾小路海運のレディバイオレット級のことか。」
レディバイオレット級貨物船は全長10km程度の貨物船が直接結合を行い1万km以上有る超大型異動貨物輸送プラットフォームとして機能している。定期航 路として、フローラル王国カルバス〜藍蒼〜コンラードブルヘイム連合王国ボルフラントを結び、1日6往復設定されておりSVL やLTRのボルフラント本線を除けば世界一の貨物輸送量である。
「えーっと、あーあったあった。これAOFが出してるLV級の時刻表。創造界北東宙域はSVLが最優先で、それと交差しない航路が強制的に設定されている ので、LV級もカルバスを出ると必ずこの星のすぐそばを通る。そのときに西北西宙域最大の国家である紅蒼国に集まった貨物を積むために、この惑星ブリアス スペルキアの静止軌道上に停泊するんだけど…。あれ、皆さんどうしました。」
「いや。その。この星の名前。」
「あ。ブリアススペルキアのことか。ただ単に昔、この星に降り立った日本人が見たこの星特有の気象である地上から天に向かって立ち上る青い閃光の螺旋にブ ルースパークとブルースパイラルのダブルミーニングで「ブルースパークラル」って名付けたのが星の名前になって、それがなまって今の名前に無ったってだけ だけど?」
彌蘭陀は違和感を覚えていた。そして気づく。
「神子ちゃんが普通のしゃべり方?」
「ん?ああ。この子はぷっつんしたら真面目ちゃんになるんです。」
「つまり今は怒ってる?」
「スィーァ。さっき、連合から連絡がありました、大中から大規模な艦隊が隠密状態で出航し、空間跳躍準備に入ったそうです。」
涼子が応える。
「大中の船は確か。」
「ええ。超長距離航行を空間跳躍に頼る第二世代航宙理論です。進路はこのブリアススペルキア。船の偽装駆逐艦による伊勢ノ原陸港砲撃はその警告か。しかし奴らは馬鹿か。」
かもしれないというジェスチャーを示す涼子。
「え?」
「第二世代航宙理論の肝となるのが空間跳躍です。が、この空間跳躍には跳躍時の亜空間進入反動空間伝導と亜空間脱出時反動空間伝導が存在します。また王国 艦は無空間伝導で、亜空間に潜行できるんですが、かつて大中の元となった国家が連邦首都地上にあった当時戦略兵器が、原子力潜水艦という時代がありまし た。そのとき先進国で会ったアメリカの軍人は「中華原潜は海のちんどん屋だ。」といったそうです。で、隠れる気も無いぐらいの爆音で亜空間を航行していく 大中艦を王国艦は哀れみと呆れの入り交じった思いで眺めているらしいです。そして、通信暗号技術が、全く進歩していないので、通信内容がバレバレ で。…。」
呆れて声も出ない様子の神子。
「高祖級戦艦の太宗を旗艦とした侵略艦隊だけど…これ。浪速級軽巡の一撃で落ちるぞ。それも全部。」
「「はい?」」
「現行の王国軍の装甲の基準砲はこの45m砲です。上部装甲も含めてです。」
呆れる真朱彌。というか、全員が呆れている。
「対する大中の装甲はかつての航海型艦を引きずっていて、自艦の主砲と同程度という感じなので王国軍から見ればすっけすけの紙も同然です。そして、浪速級 軽巡はかつてアメノテルカミ級が積んでいたものを改装した350口径280cm連装砲を主砲として積んでいます。さらにそこに使用される通常砲弾は電磁力 粒散電導阻害弾です。」
「これって、確か、爆散した対象の破片がさらに周辺艦に爆発を引き起こすって言う連鎖反応を生む作用がある弾丸やったな。」
「スィーァ。ゆえに英語ではECSCって呼ばれています。」
「…あ、もしもし。シュレックか。くねくねすな。良いか。今すぐ、さっき吹っ飛ばしたホテルの最上階のバーに来い。伝えることが有る。幼女がなんだ。これをやらなかったら多くの幼女が死ぬが良いんだな?…来るとさ。」

「なあ、神子ちゃん。」
「はい。」
「あの、シュレック君を切り刻んだあの技はなんなん?それに、粉々に切り刻まれて何で彼は平気なん?というか、切り刻まれた後の方がテッカテカなのは何でなんよ。」
信じられないものを見て、パニクっている彌蘭陀と、それを懐かしげに眺める真朱彌。
「まず、大前提であれは、バイであり、変態であり、ロリコンであり、ショタコンであり、下手物であり、そしてオークですので、それを踏まえた上で、お聞き 頂きたいのですが、たちの悪いことに、奴は分かてば分かった分だけ無限に増えます。なので、先の惨劇を引き起こします。奴には生物非生物一切関係ありませ ん。見た目が人間なら老若男女一切問わず奴の獲物です。それからあの技はあれです。えらい、昔に姉御の研究室から貰ってった要らないメスを用いた技です。 あれです。メイド長のナイフ投げと言えば姉御ならおわかりになるかと。」
納得顔の姉と、いまいち得心のいかない妹。
そんな2人をよそに、切り刻んで無数の小人となったシュレックを集め、なにやら異空間に放り込む神子。
「何してんの?」
涼子が問う
「シーカムに積んであるMPM535の弾頭に入れてる。」
「あ、MPMで思い出した。これMPM3350で良いんだよね。」
そう言って写真を出し神子に見せる
「うん?いやMPMW350で、その隣がMPME5350だね。で、その奥が12-39式徹甲弾。」
「奥に有るの砲弾?!何の。」
「45砲。」
もうmすら省きだした。
「あ、居た。大変です。神子さん。ハルさんから伝言で、全師団艦隊の出航、出撃を命令してほしいそうです。ところで、師団艦隊っていくつあるんですか?」
あまり、こういう場所に若干16歳の少女が入るというのは感心できないのだが、それを言うと、真っ昼間から酒を呑んでいる不良王族5人はどうなのかというと、一応、仕事というか、酒を飲んでいるのはリンと彌蘭陀だけで真朱彌と夫婦漫才は、ただの炭酸飲料である。
「まあ、各鎮守府に100と、近衛軍に7だね。レイ君が聞きたかったのは、近衛軍隷下の師団艦隊だから正規艦隊6の練習艦隊1で計7だよ。」
[遅いですよ。まあ、良いですが。神子、リン、第2第3艦隊の出撃を願います。第4から第6艦隊も戦闘準備態勢で第1から第3艦隊近傍宙域にて次元潜行待機を開始してください。]
『蒼藍王国基軍隷下近衛軍所属宙軍特務将長ウェリアスコーネリアスです。関係各国に通達します。まもなく始まる戦闘に関するすべての責任は大中華帝国にの み存在するものであることと、大中による紅蒼国への侵略戦争であると先ほど、間連合総会にて満場一致で、採択が行われました。これに伴い我が蒼藍王国軍総旗艦コーウェリ ア率いる近衛師団艦隊6隊は、藍蒼条約付帯安保条約に基づき、紅蒼国の防衛を行います。またそれに伴いLSN、綾小路系各交通企業は、紅蒼国と紅蒼国を中 心とした周辺宙域7.35MPcにおいてすべての路線の運行を戦闘終了まで停止します。これにより、星間連合加盟各国全域に影響が出ることになるかと思わ れますが、すべての責任は大中に存在しますので、賠償請求などは大中にお願いいたします。』
ウェリアスが開いたグラスフレームにはなにやらカウントダウンする時間と、様々な数値が記された表が映っていた。
『主艦橋上部スタッフに通知します。ただいまより転送門を開きます。展開後、1.5分以内に通過をお願いします。』
「のうウェリアスよ。儂らも参戦してはいかんかの。」
『……第1総主艦隊の参戦に関しては私の判断範囲を大幅に超える案件であり、艦長に一任します。』
ウェリアスの答えを受けてトゥーラルの視線は遥夢に向かう。
[構いませんよ。第7艦隊は端から当てにしてませんでしたが、師団艦隊級の艦隊が増援というのはうれしいです。とりあえず行きましょう。]
この一言で、主師とトゥーラル。そして何故かレイまでもが当然のようにコーウェリアの艦橋に乗り込んだ。
「あれ神子は?」
[あの子は、非常に有効な武装を持ってますから艦最上部に行って貰いました。あの子が持つ45砲は元々神流砲用の砲塔です。あの子がその気になれば三連装砲65536基一斉射なんて朝飯前ですしね。]
「考えたくもないなあ。だって。166kmもの砲身長があるのがこの間の周りに65536基もあるんやろ。それも3連装で。」
ブリアススペルキアの属するバルダスバーダ星系の第一惑星軌道上で主星を挟み、ブリアススペルキアと相対する位置に停泊している大規模艦リージアムからもたらされた通常空間現出予想座標まで、神子を乗せた状態で、コーウェリアは5分ほどで到着した。
『将陽忠康中将は今日も朝から元気よく。』
「何の歌だ?」
[昔、といっても5年くらい前に僕と、リンが歌った曲ですね。王国宙軍体操奨励唱歌集に載ったんです。]
中帝とも大中とも呼ばれる大中華帝国と呼ばれる国とその属国である朝鮮連合の二国からなる艦隊が到着するまでの間だべっている一行。
「一通り歌ってくれよ。」
[良いですよ。じゃあ。…今日も海から日が昇る。みんなで朝の体操だ。それ1,2。1,2元気よく。1,2。1,2元気よく将陽忠康中将は今日も朝から元 気よく。広場に一番飛び出して、大きく体操元気よく。1,2。1,2元気よく。1,2。1,2元気よく。それを見ていた将兵は慌てて全員飛び起きて、大将 に続いて整列だ。今日も一日始めるぞ。1,2。1,2元気よく。1,2。1,2元気よく。みんなで元気におはようございます。…こんな感じですね。]
「ぬぅぅうぉぉぉぉぉおおおおぁぁぁぁぁああああ!!!!」
「やかましゃあ。ファンレター読むなら部屋で読め。」
何故ファンレターだと分かるのだろうか。そもそも。
「流れでリン君に連れてこられたんだよ、ここは戦艦だろ?僕の部屋なんてあるわけ無いだろう。」
「…まあ良いか。リン。」
「スィーァ。随伴艦は所定相対座標に展開。全砲門並びに、魚雷管、ミサイル発射機を展開。大中艦隊の通常空間具現と同時に戦線開始してください。予定時間蒼明標準時1816に終了で開始します。」
このときの現在時刻は蒼明標準時で17時50分。つまり相手の殲滅に30分もあれば、余裕だと判断されたのだろう。
「具現想定座標付近に対象艦隊全艦具現。潜行艦艇は存在しません。全艦作戦開始してください。」
「あ。」
神子が声を上げる。
何かに怯えた様子の駆逐艦が体勢を崩し、周辺艦艇に突っ込みそれが連鎖し団子になっていた。まあ、自艦よりも巨大な砲が自分の方を向いていたらそりゃ怯えても仕方が無い。
「撃っちゃえ。」
神子が一発実体弾を発射し団子を一つ消したのを機に全艦が適当に狙いを定め団子を消した。
「対象大中艦隊全艦撃沈消滅を確認。現時1802を持って作戦終了。第4艦隊隷下の第7収集艦隊は哨戒艦隊を編成し、最終作戦終了状態を確認してください。哨戒艦隊の報告を持って星間連合軍懲罰艦隊が、大中の外洋星間航行能力を剥奪します。以上。」

「あ〜。やっぱり温水プールも良いけど、こういうホテルの大浴場って言うのも良いもんだねえ。正規君。君はどう思う?」
ヴェーリアの問いに、首を傾げながら考えている正規。
「そうですね。やっぱり温泉はこうゆったりと浸かりたいというのが本音ですが、気兼ねなく、遥夢達としゃべりながら温泉を楽しむという意味ではあの温泉プールも捨てがたいですね。」
ほうと息をつきながらしゃべる正規を見てなにやらほっこりするヴェーリア
「そうだねえ。そういえば、尾束さんは瑞穂空軍の総司令官を務めておられるのでしたよね。」
「そうです。ただ空軍兵学校は無いので私は海軍士官学校を出ましてその後空軍に配属となりました。今は、市ヶ谷にある国防省に居ます。」
「市ヶ谷か。…正規君、王国と連邦の防衛省はどこにあったかな?」
これを問われて固まる正規。
「どうしたんだい?」
「どこだ?…遥夢。」
『入浴中に呼ばないでください。で、どうしたんです?』
流石にグラストークにはしなかった正規だが、遥夢のほうがグラストークに切り替えてきた。画面に映る遥夢はフィルタリングにより、お湯の反射が強めになっ ており、見えてはならない部分が上手く隠されている。が、その奥ではしゃぐ涼子へのフィルタリングは追いついていなかった。
「連邦と王国の防衛省はどこにあるんだ?」
『…はい?まさきさん、いまさらなにとぼけたことぬかしてるんですか?まあ良いです。王国防衛省はスオウ州レイブンディラハム班スオウ項アリディアハム県スオウ市中央本町35番2692-36号。連邦防衛省は中都長京第2都心松本高宮1-1ですね。』
呆れつつもしっかりと応えてくれる遥夢。
『ハルさーん。誰と話して…あれ?おじさん?じゃあ、お父さんも居るの?』
「いるぞ。いやー。なかなかいいさけですなー。」
「なあ遥夢、さっきから爆撃機みたいなのが編隊飛行してるのを何回も見かけるんだけど。あれなんだ?」
確かに大型のステルス爆撃機のような戦闘機が編隊飛行をしている。
『連合が派遣したこの国を警備し、被害を受けた街や土地を確認し、後の復興部隊の資料とするべく情報を収集している部隊です。あれは南南東方面管区筆頭国家である、バドルナーゼの複座爆撃機ですね。サナルカード級空母の常載機ですね。』
「違うタイプというか見たことがあるようなのが飛んできたけど?」
『B62-37爆撃機とSA62哨戒戦闘機の複合編隊ですね。あの機首刻印はそうですね。LKK-6244KSですかね。神子、これなんですか?LKC635292SD?どうもありがとう。だそうです。』
遥夢が満足げに言う。
「なんなんだよそのLKC635292SDって。」
『空母の艦名です。アマツミカボシ級6万7000番艦ですね。』
アマツミカボシ級十番艦以降の艦名は天文学の彗星監視確認記号が採用されている。
『母さん!何やってるんですか!』
女湯で何が起きているのかというと。
「まーたばかしでかしてら。おばさま。それ以上やって蹴られた上にシュレックの餌食になるのと今すぐやめて水風呂に一分間潜ってくるのとどちらが良いですか?」
神子が問う。
「誰が蹴るのかしら?」
[主師女性陣六人です。]
「水風呂に行ってきます。」
そそくさと内風呂に向かう覇月であった。
『何があったんだ?』
[母さんが、羽魅さんの胸を揉んでいたんです。羽魅さんは結構揉まれ慣れているらしくて、目を向けなければ気づきませんでした。]
ズゴ!
「何の音や〜?」
「はるながはるなさんどついた〜。」
[馬鹿が。]
そういって、カップラーメンをすする遥夢。
[なまじ中途半端に大きいが故の馬鹿ですからねえ。]
「そういえば、…何だっけ?」
「人間も何もかも、若いの馬鹿だねえ。最低でも京は過ぎないと何も分かれないねえ。知識はつけられても、それ以外は時間が無いと無理だから。ね。」
いきなり何を言い出すのかと思った女性陣だったが、神子が、その流れで何も言わず石けんをつかんで男湯に投げつけた。
「躾もできないのに犬猫飼うな。こん馬鹿が。」
投げつけられたのは、覗きと間違えられるような位置にいた、
「統間兄。その人達に講義しても意味ないよ。釈迦に説法だから。神子さんはむかついてたんだね。あの講義に。」
「スァン。ちったー黙れないのか。それとも何か?低所恐怖症か?」
「逆です。多分、怖さを紛らわすための講義をしていたのかと。」
統間兄は。極度の高所恐怖症なのだけど、高い所が好きという、救いようがない。
『おい。もっとあっちに行け。』
『いいじゃないか。ああ。ここにかわいい幼女達が居ないのがざんね…あふん。」
なんか気持ち悪い言葉が聞こえたような。
「おい。正規。」
「何だよ。」
あれ?さっきまで男湯と女湯のあいだって壁があったよね。
「丹那さん連れてこい。」
「なんで俺なんだよ。」
「良いから連れてきなさい。」
正規さん不憫だ。
「呼んだかね?」
「「ひ。」」
面識がないものには、薄い色つきめがねをかけたスキンヘッドの強面男が、薄い笑顔を浮かべて声をかけてきたようにしか見えない。彼が、神子が言っていた、丹那氏である。
「丹那さん。あれ。」
「あー。任せておきなさい。」
「神子、あなた。」
あきれ顔のハルさんが神子さんに声をかける。
「ん?」
「ああん。乱暴はよして。丹那君の拳も蹴りも踵もただ気持ちいいだけなんだもん。あ、でも分裂できないからいやかなあ。ああ。もう。体が熱くなってき ちゃった。どうしよう。ねえ、みんな責任とってね。こんなに僕の体を熱くしちゃった責任よ。もう熱さで胸がびんびんしちゃう。ほら見て―が―た。もうこう なったら鎮めるために。ん〜そうねえ。辰也君手伝ってくれない。あれ?ちょっと、リンちゃんどいて。え?あれどうしたのみこちゃん、こわい顔して。」
なんなのあの男。すごい気持ち悪いことを平然と抜かしてる。
「あれでやることはすごいイケメンなんだよ。涼子。」
声をかけられただけで大きな太刀を神子さんに渡すという、以心伝心ができている。
「なあ、シュレック。今、まだ、うちと君の契約が継続しているというのは分かってるよね。契約書の強制事項を思い出してみな。『甲は、乙に対し公共性の高 い場所、並びに契約履行場所たる宿泊施設内における甲が指定する別記変態言動を禁止する。これは契約履行よりも優先される上に契約終了後も契約履行場所た る宿泊施設が在する国家を出国するまでの間効力を有する。』っていうね。」
「いや。ちょっと。」
「ねえ。みこ、それ以上それぶっさいくにしてどうするの。」
確かに元々ぶっさいくだった。
「黙れ。」
声が、すごい冷たい。
「あ、いや。ね。待って。神子ちゃんの攻撃は。僕の能力無視してダメージ通すからきついの。」
「黙れと言っているだろう。」
もうぼっこぼこになっているのにそれでもやめない神子さん。
「姉御。」
「なんや?」
「第3種癒術符式付加術式弾装填で銃を貸してください。」
なんかお湯まで冷たく感じる。
「あ、いや。そこを撃っちゃ。ら、ら…。」
「黙れと言った。黙らないなら45砲をお見舞いする。」
確かにあれは私でも黙らせたくなる。
「動くな。」
神子さんがあの女医さんから受け取った銃を撃つ。
「おとなしく入ってろ。姉御、縛術符式付加術式弾を3発。」
「はいはい。」
神子さんが、撃った弾があの太った人に当たった瞬間気をつけの状態で
「誰だ亀甲縛りになるよう術式組んだの。」
「え?ああ。縛師っていうのやってる生徒にただでもらったんやけど。」
「あのー。姉御、それ縄縛師って奴ですか?」
涼子の問いに真朱彌がうなずく。
「そうやけど?」
「和式SMやる人の一種ですよそれ。」
落ち込む真朱彌であった。

以下次回へ続く