L.C-T第5章 雑談

「早くね?」
早いというか、消化しないと整理つかないぐらいネタがごっちゃになっちゃいまして。あ、忘れてた。

やっぱりこれがしっくり来る第26話

「わざとやろ。」
さーどうでしょう。
「まあ、消化と言っても、おおかた消化という名の紹介でしょうけど。」
「なあ。」
はい?
「なんでデブキャラは一種類何や。」
ん?一種類ちゃうんよ。出そうと思うんだよね。あの骸骨紳士もね。
「骸骨紳士って、斉藤か?」
あー。もとはそのつもりだったんですけどねえ。今は別キャラにしてっていう感じですかねえ。
「斉藤さんがどうしたんですか?」
[斉藤って確か骸骨素体を誰かに返したって言ってましたね。]
ああ。国崎さんですね。蒼藍王国統合参謀本部諜報局長国崎紀夫さん。神子さんはあの素体見るたびにダンディ骸骨国崎さんって言ってましたねえ。
[ネタ整理はまた今度ですね。話を戻します。]

「な、なあ神子ちゃん。あのびくびく脈打ってる肉の塊どうにかならんか?」
「あー。多分姉御の術式に反応してますね。」
そう言いつつも、目を背ける神子。
「そういえば、あれが一応ミラの姉御のお見合い相手になる予定だったんだよね。」
「あーうん。破談前提のね。」
「ところでだ。」
これで話に加わろうとするのもすごいが、加える方もすごい。
「ヴァレンタインって、何だ?」
「「……は?」」
何をわかりきったことをこのイケメンは言うのだろうか?
「何言ってんの?」
「いや、ちょっと疑問に思ってな。何であんなにチョコに一喜一憂というかドラマしてんのかなあって。」
「おまえはもらい放題だからなあ。」
「遥夢以外から貰った物はこれっぽっちも嬉しくない!!」
よくもまあ恥ずかしげも無く言い切れる物だ。
「そういえば、私、毎年神子に何もあげてない。代わりに神子から毎度貰ってるかも。」
「私らは三月やねえ。二月には何も挙げてないのに毎年毎年、お菓子やらお酒やらきっかり2人分贈ってくれるんよ。」
「あーあのさあ、何でみんなそういうイベント無いと好きな人に贈り物しないのかな。贈り物に理由なんて要らないだろ。予算が伴えば。」
地味に納得する御山家と、苦笑する年寄りども。
「片思いの相手に贈るのならともかく。俺が遥夢に何か贈るのに3月14日とか2月14日じゃ無きゃいけないなんて理由は無いわけで、いつ何を贈ろうが構わ ねえわけだろう。そこの銀色はこういうイベントは思いっきり楽しんで贈り物しまくってるが、そういうのは極々一部な訳でさ。まあ、好きにも色々あるしな。 そこの銀色が良い例だよな。夫婦愛。兄弟愛。敬愛。友情。師弟愛。Likeもあれば、Loveもある。こういう話で一番良い例だ。だけどよ、チェックアウ トする時にビルの詰め合わせ渡そうとするのはやめろよな。地元警察が食中毒を疑ったら原因はビルを間違った順序で食べただけっていう報告何回受けたこと か。」
ビルというのは王国藍蒼地域に古くから伝わる郷土菓子で、単色のカップケーキが4色一組になった形で箱に入れられている。どれもこれも味が極端に単純化さ れており、万が一にも説明文を無視して間違った順番で食べると、大惨事になる。基本的にどの色から食べなければならないというのは無いが、緑(甘)→赤 (辛)→黄(酸)→青(塩)→緑…という感じで最低5個食べないと最後に食べた味が強調され、ひどいことになる
「さーせん。でも言われてみれば、確かにそうかもしれないね。うちはただ単にこういう季節ごとは思い切り楽しみたい人だけど、いつも世話になってる相手と か、配偶者とかに贈り物をするのに理由付けなんて一切必要ないんだもんね。だからって、さりげなくそれをこっちに流すな。ぶよいんじゃ。穢れる。」
神子が言ったそれとは、ボンレスハム状態のシュレックであった。
「もう。そんなに邪険にしないでよ。ああ温泉の熱が、僕を熱くするのね。いいわ。この熱さ嫌いじゃ無い。嫌いじゃ無いわ。さあ、誰でも良い。僕のこの火照 りを鎮めて。ああ、リンちゃん。その大きな胸で受け止めて。僕のこの熱くたぎった肉体を。ああ。もうさらに熱くして。そんなに僕と結ばれたいのね。ああ、 良い気遣いねえ。嫌いじゃ無いわ。好きよー。」
縛られたまま、起用にくねりながら湯船の中に立ち上がったシュレック。それを見かねた丹那が殴ってでも止めようとしたがその目の前で、銀色が翻る。
「あ、鼻血。」
露天風呂ではタオル着用のこのホテル。その露天風呂で、御山姉妹がタオルがはだけてその裸体があらわになるのもお構いなしにシュレックに回し蹴りをかましたのだ。
「おまえのエロへの感受性は中学生レベルか?」
「え、あ。いやー。とりあえずだしとく場面かなって。」
「それで簡単に出せるんだから器用なやっちゃな。まあ、うちゃもチョコ食いすぎて鼻血出したことあるけどさ。買い込んで賞味期限近づいた奴をね。」
それでもすぐに止まったと行って風呂に入り湯船が真っ赤に染まったという事件も巻き起こしている神子の足下で、
「ああん。きっくーん。この蹴りは実に良かったわあ。みぞおちと腰椎のダブルパンチで、見事に前立腺も刺激されたわーん。」
大声で立ち上がったシュレックに対し、再び翻る銀色の中に漆黒に紛れそうなほど美しく濃い青色の髪が混じり。
「カッ…。」
倒れるビア樽男。
「よくもまあ、気持ち悪くねえなあ。」
「正規さんの方が大きいですよ。」
「そういう話じゃねえよ。」
遥夢はこういうことに対して忌避反応が無い。先ほども、蹴ったり殴ったりの御山姉妹に混じって、シュレックの股間を、堂の行った正拳突きで打ち抜いたのだ。
「…とりあえず聞いとくけど正規のってどれくらい?」
「訊くんか。」
「だって、神子は見たことあるかもしんないし見慣れてるかも知らないけど。私は神子のしか知らないんだよ。」
「親のは。」
横に首を振る涼子。
「…あれのは?」
そう言って自分の父親を指さす神子。
「いやーんとか言ってしな作ってたからぶちのめしてやったことならある。」
某元国鉄社員の俳優に似ている神子の父親が、しなを作っていたならそれは確かにぶちのめしたくなる。
「でも物の見事に受け止められた。だから帰ってくるたびに筋トレにつきあわせてやってる。」
「ハ、ハルさん。これ、どうするんですか?」
「うーむ。ほっといたら、穢れますし。川に投げ込むってのもだめですよね。」
ちなみにこのホテルは駅から真南に延びる大通りにある。対して、遥夢の言う川であるが、雛乃杜温泉駅こそすぐ裏手を流れるが、そこからかなりのカーブを描 いており、遥夢達の居るホテルからは5km東を流れている。そしてこの雛乃杜川は、那廼市を東西に分断する那廼側に注ぎ、そのまま龍臥川に注ぐ。
「ああん。放置するなんて良い度胸じゃ無いの。嫌いじゃ無い嫌いじゃ無いわ。でももうこれ以上の放置はらめなのー。」
[どうしましょうか。]
「私に振らないでください。」
いきなり話を振られてびっくりしたよ。
「なあ、これにぶっ込んどきゃ良いんじゃ無い?それで、中帝の宮殿の祭壇だかに飾っとくんよ。多分3日もあればテッカテカのカッピカピで帰ってくるって。あちゃらの運を吸い尽くして。」
[さて、いつまでもあれ談義をしていてもきりが無いのでレイさん。言ったとおりの荷物は持ってきましたか?]
「はい。」
私たち4人は何故か大量の荷物を持ってこの旅行に参加していた。まあ大半はハルさん提供の亜空間倉庫とやらに放り込んでいるので問題は無い。

神応鉄道牧丘駅
[では、レイさん達は2番線に来る列車の5号車に乗ってください。]
十字に路線が交わる位置にある牧丘駅は東西に走る路線、南北に走る路線。この駅を終点とする路線。西から北へ向かう路線などが乗り入れる。これらはまとめ て東行幹線と呼ばれる。首都である蒼明へ向かう列車が来るのは1〜3番線。そしてその列車にレイ達は乗ることになっていた。
[僕らは東へ向かいますから個々でお別れですね。富士吉で乗ってくる方の指示に従ってください。]
そういうわけで私たちはホームに入ってきた特急で一路蒼明を目指すことになった。
途中高層ビルが建ち並ぶ湖岸の都市にある大きな駅に止まった時に、
「すいません。ア原レイさんですか?」
「はい。」
「神応鉄道双画方面統括本部本部長高松宗介と申します。今回は皆さんの案内のために青葉より参りました。彼女は私の秘書で赤城諒子と言います。」
高松さん曰く最初は神子さんが私たちを目的地まで案内する予定だったのだけど、神子さんは別件ができてしまい、急遽目的地までの路線、時刻などを記憶してる人物として、高松さんに白羽の矢が立ったらしい。
「……赤崎ヘクサシティ。……赤城さん。」
「はい?」
「赤崎は確か、結構な地方都市でしたよね。」
「そうでもありませんよ。SDFOの基地もある都市なので、幹線…といえるか微妙ですがでも基盤は幹線級の物が通っています。蒼明の近郊なので、買い物などの利便性も高く、学生の街と名高い嬉原ヶ丘も近いので、なかなかに言い立地のマンションだと思います。」
赤崎ヘクサシティって言うのは、ハルさんや、神子さんが用意してくれた私たちのこちらでの住まい。留学先の立て替えに関わる再留学のためにここに住むことになった。
「どこに通われるんですか?」
「確か、神子さんは国大高とか言ってました。」
「国大高…国立神応大学付属麻世陽賀高校か、南蒼高校ですね。」
「蘆乃台高校も神応大付属ですよ。赤崎ヘクサシティなら、南蒼高校か蘆乃台高校かもしれないですね。」
赤城さんの方が、色々情報を持っているらしい。
「それらの高校はどこにあるんですか?」
「麻世陽賀高校は、麻世陽賀駅の南100mの辺りにあります。良くも悪くも平凡な学校です。次に南蒼高校は山の中にある非常にのどかな高校ですが、すぐそばに当社の蒼明管区総合車両センターが在るため、日がな一日めまぐるしく行き交う列車が見られます。」
これには姉が目を輝かす。
「蘆乃台高校は高層ビル6棟からなる学校です。これは、ビジネス街たる蘆乃台地域の景観を統一するという目的もあるそうです。高層ビルなので眼下を行き交う列車を見ることができます。」
「そういえば、定期券を貰ったんです。学生証と一緒になっているそうです。」
「じゃあ蘆乃台高校ですね。あそこは、蘆乃台駅直結なので改札口を出たらすぐに高校には入れる様になっているのです。なので国から、学生証一体型の定期券の発行を依頼されて作成されました。定期券の費用は学費に含まれていますから安心してください。」
高校がある蘆乃台とは私たちが乗る特急が貫く三神台地の中央部にある一大ビジネス街で、この特急を運行する鉄道会社の黎明期は中央駅との間の短い区間が、鉄道収益の九割を占めていたと言うほど発展した場所でもある。
『長らくのご乗車お疲れ様でしたまもなく蒼明に到着いたします。南蒼・璃深本線、大学線、双神線、蒼春線、信蒼麒線、同高速線と、蒼明地下鉄大南線、臨空 麻世陽賀線、蒼璃線、璃紅環湾観光鉄道線、蒼明高高度大規模運輸公団線、LTR-SVLおよびLTRボルフラント本線はお乗り換えです。蒼明の次は終点蒼 明大社です。』
「次で降りますよ。」
「え。でも神子さんは終点までって。」
「確かに乗り換えの回数を考えるとそうですが、歩く距離を考えると乗り換え回数は多くなりますが、ここで乗り換えた方が楽なんです。」
『リクヌア様よりデータを頂きました。これより、12番線に移動。-時-分発の南蒼本線南行佐伯行きに乗り換えの上で南蒼駅で降りる。そのまま同1番線-時-分発神温線北行春日台行きに乗り換えて赤崎で降りるという手順で行動すべきだそうです。』
「…結構旧式のシステムなんですね。」
私の使ってる端末は、瑞穂にいた時購入した物を自分でプログラムを弄って作り上げた物。それをベースとしてあの儀式の後私が寝てる間に神子さんが、こちら仕様に組み直 してくれた物。ただ、こちらの技術水準からして、瑞穂の技術水準は非常に低い物だった様で、リウロの性能に影響がで無いよう、安全マージンを広めに取って くれた改造をして、今のPITに入れて貰ったんだがかなり旧式の端末にしか入れられなかったらしい。でも、神子さんはそれが不満だった様で、会うたびに端 末や、リウロのブレインカーネルを弄り、OSのバージョンアップを試すって言うことをしてくれている。それでも、やっと千年前の水準まで持ってこれたらし い。
「あ、追いついた。」
水色の髪をポニーテールにして、腰には、2本の太刀。
「涼子さん?」
「ごめんね。私の責任で、南蒼まで転送門を開くから10分だけ時間をちょうだい。」
私がうなずくと、涼子さんは左手を出した。首を傾げていると涼子さんの手の上で何かが渦巻き始めた。
「神子が、ここに来る前に並びに並んで、手に入れてきた最新のPIT。もうリウロちゃん用の設定も終わっていて後は、リウロちゃんにお引っ越しして貰うだけだから。」
「あの。巫剣さん。」
「ん?高松君どうしたの?」
「政務顧問から電話が来ているんですが。何でも、巫剣さんの端末にも接続できなくて、A.Iも想定通り一切応答しない。だから、僕経由で涼子さんに連絡すると。」
そういえばさっきから涼子さんの端末の本来なら白いはずの部分が、黒ずんで見える。
「なんでだろ。リンバス。リンバス?…あれ?イーグルが発動しない。インターフェースも開かない。…神子、神子。電話もつながらない…あ。そういえば普通 に携帯持ってた。ん?に「も」?想定通り?どういうことだろ。もしもし、神子。あ。え?V.C.Pの一斉ダウン?!じゃあ、リアも、不知火もプルも?なんで。というかどうやって電話かけてたの?… はー!なんで神子の携帯とV.C.PのコールID一緒なの?判夢さんにつけられた条件?!何でそんなに律儀に守って…あ、そっか。神子は子供の頃の親から の条件は守るって言う自己誓約出してたんだっけ?!あ、でも便利かも。なに?あれ。そういえば、あ〜。インターフェース開くー。何で。何で?は?再起動? 何で?神子?」
『V.C.P専用のネットワークと、ストレージネットワークを管理する管制人格が落ちたんよ。それが原因で、V.C.PにインストールされてるA.Iが、 全部不調でね。端末が全部再起動を要することになっちゃって。そのままインターフェースを操作し続けたら、リンバス死ぬよ。はい。さっさと再起動。あ、音 声入力でね。イーグルは専用インターフェースを使っちゃうから。』
神子さんが、グラストークという方法で通信をしてきた。
「よし。音声入力。インターフェース非展開。端末冷却再起動。」
『A.Iの応答がありません。OSの再起動を持って返答要求を試みます。OSをシャットダウンします。………ベースウェア起動。ハードウェアチェックを 行っています。エラーは確認されませんでした。OS、A.Iを含むインストールソフトウェアのエラーチェックを行います。4632万9534個のエラーが確認さ れました。インストールソフトウェアのエラー修復を行います。…………………修復が完了しました。OSを起動します。…LSNDBS起動します。 LSNDBS起動。CoilOSカーネル、LiguOSカーネル起動。CLLOSを起動します。……CLLOSの大規模アップデートを受領しました。適用 を行います。適用を行う間、一切の操作を受け付けません。………適用完了しました。OSを起動。A.Iブレインカーネル起動します。A.Iリンバス起動し ます。……おはようございます―期5月18日15時40分A.Iリンバス起動しました。ベースカーネルのアップデート。現実空間独立行 動システム群の更新を受信しました。更新に5分ほどかかります。』
『涼子、再起動が終わったら、今送ったものを具現してくれ。』
何故管制人格が落ちてしまったのか。管制人格を作り管理している神子さんにも、制御しているリンさんにも分からないらしい。
「……あれ?え?あ。V.C.P?新型?!」
全体的に今涼子さんがつけている物よりも遥かに白く、なめらかなフォルムの端末が現れた。
「あれ。あ。神子ー。」
付け替えて速攻で神子さんに電話をかける。
『なんね。やっかあしい。」
「リンバスのフレームファイルとかベースカーネルとか弄った?」
『あー。ベースカーネルは弄ったなあ、CLLOSのアップデートに対応させてそれから、リージアムの管制を兼ねられるだけの演算性能を付加したから。でも、フレームファイルは知らん。』
『何や〜。あ〜適用されたんか。最近5年間で一番のできや。どや。かっこかわいいやろ。というか遅れてもうてすまんかったなあ。個別にはこれからやけどOSとハードと、それとフレームデータの更新を会わせて、4人からの誕生日プレゼントや。』
確か今日は5月の半ば。
「姉御。私の誕生日明後日。」
『明後日は明後日でべつの催しがあるんや。』

「「おまちしておりました!」」
誰。この人達。黒服サングラスの人がたくさん居た。その後ろには私たちの荷物の残り。
「コイルズより参りました。引っ越しを手伝えということで。」
「それと、こちらは蒼藍王国宙軍の者達です。繊細な仕事はコイルズの方達にお願いいたしますが、エレベーターに入らない大きな家具などを運ぶといった高高度の力仕事はお任せください。」
一人だけ白い格好で瑞穂人形の様にきれいな黒髪の女性が言う。
「…あ。申し遅れました。私、蒼藍星間連邦王国宙軍国家元帥参謀局付上将。将陽香奈惠忠康と申します。」
「将陽……あー。将陽忠康中将の歌。」
「ご存じでしたか…。起きた後すぐに着替える前に体操するのが入軍前からの習慣でして。それで部下にはずいぶん迷惑かけました。まさか陛下御自らそれを歌にしてくださりさらにお歌いくださるなんて嬉しいやら恥ずかしいやら。」
まさか実在の人物でさらに女性とは。
「あ、ちなみに歌ができたのは5年前ですけど。中将拝命は今から1億年ほど前ですね。私は小学校では無く初等士官学校に入りました。中学校に相当する中等 士官学校に入った時少尉を拝命しその後学年が上がるごとに階級が上がっていったんです。高位士官学校を出た後、一旦一般の大学に入りました。士官学校では 大学相当の機関が無いからなんです。大学を出た後何でか中将を拝命しまして。今は、スサノオ級三番艦タケミカヅチを旗艦とした第3艦隊隷下第1特攻支援機 動艦隊の艦隊司令をしています。ただ。第三艦隊は攻撃に特化しているが故に防衛を主眼とする我が軍においては暇な方が良い艦隊でして。現に暇なのでこうした活動をしているんです。」
何でこの世界のえらい人って自己紹介をこうも中途半端なタイミングで始めて中途半端に長いんだろう。
『りょーこー、いい加減に戻ってこんかー』
そういえばまだ涼子さん居たんだった。
「今行く。じゃ、また今度ね」
というわけで、話は主師連中のところに飛ぶ。
「なんか肌寒いなここ。」
正規がぼやくここは、伊勢駅の蒼伊本線ホーム。牧浪地区には2つの拠点駅がある。一つは地区の名前にもなっている牧浪駅である。この駅は陸海空の交通の結 節点として計画され建設された駅である。対して、鉄道の結節点として文字通りの拠点駅となっているのが、今主師連中がいる、この伊勢駅である。元々は隣の 府内駅から伸びる3複線区間の終端として、当時の終点であった井塚駅の容量の関係での時間調整のために、既に多数の建物が建ち並び地上に用地をえることが 難しかったが故に地下駅にしては無駄にホーム数が多い駅として建設された。
現在は書類上が牧浪駅5路線、伊勢駅6路線の乗り入れと大して差が無いが、運行上は牧浪駅が9系統なのに対し、伊勢駅は12系統と3つも多い。また牧浪駅 は一時間以上列車の来ないホームがあるのに対し、伊勢駅で、列車が止まっていないホームを探す方が難しいとまで言われる過密駅とかしている。
そんな中でもこの蒼伊本線ホームは。基本2分に1本というダイヤ編成の蒼明方と1分20秒に1本というダイヤ編成の相馬方と、列車本数が当駅を境に異なる ため時間調整を行う列車がある。その原因となっているのが当駅を始発とし、丸長線という路線に直通する列車の存在である。ただでさえ過密なこの幹線をさら に過密にしている。
それだけ大量の列車が行き交う地下ホーム。当然常時風が吹いている。涼しいを通り越して、寒い。さっきヘソ出しルックのけばけばしい姉ちゃんが主師連中の 前を腰振りながら歩いて行ったが、少し行ったところで、腹を押さえてうずくまっていた。あきれ顔の半目で見つつ誰も助けようとしない主師6名であった。
「そりゃあんな格好で歩いてたら腹冷えるっちゅうの。しかもここ優等ホームだから進入速度馬鹿みたいに高いんだよなあ。音もすごいし。」.
「そーいえばさー。少女漫画というかラノベというか、べったべたにいちゃこらしてた奴ら高校ん時にいなかったっけ?」
[「…あー。居た!」名前は忘れましたけど。]
「「あー。狭山〜?うん。うちゃよ。あんねー。高校ん時にさー少女漫画的というかラノベ的というか、馬鹿にべったべたないちゃこらバカップル居たやんかあ。名前分かる?」
行唐突に話が切り替わってもある程度対応できる同い年の主師4人+19歳年下。
「調べるってさ。」
流石に風が強いのでホームにある喫茶店に入った一行。
『やあ諸君。久しぶりだね。』
「るせー。きさんの顔の弩アップはいちいちむかつくんじゃ。してどうだった?」
『あー。うん調べたのは良いんだが、思い出したら流石の私でもいらっときて、せっかく調べた結果が書いてある紙を燃やしてしまったんだ。申し訳ない。」
何故かこれで納得顔になる5人。まあ、約一名は無表情だが。
「…あーアインとカナだ。ところ構わずイチャコラして、行き遅れのお局教師から理不尽なしかられかたしてたけど…。」
そう言って、涼子の視線はなにやら変なことを思い出した様子のおしどり夫婦に。
「あんたらどうだった?」
「俺たちか?あー。こいつに下手に絡んだら人生終わるから、それがらみで俺もスルーされてたなあ。そういうおまえ達は?」
「絡んできたけど神子が、辱めてた。私たちが歩いてるところに絡んでしかろうと歩いてきたら、いきなり真っ裸になったりとか。とにかく、裸ネタ多かったなあ。」
「青大央はそういうの厳しい学校やけえ、何回かやってやったらお祖母様に呼び出し喰らって、結局、懲罰教育行きだってさー。」
同級生ネタで笑う4人。
「それってハニエと違う?」
そこに反応する彌蘭陀。
「「…何でミラの姉御が知ってるの?!」」
「いややわあ。神子ちゃん達が入学した年は私3年やったもん。あの年の二学期の始めにいきなり居なくなって、包み隠さず生徒相手に理不尽な嫉妬して、それ で別の生徒に絡もうとして何度も廊下で真っ裸にされてたから懲罰教育行きになったって、担任からHRの時に聞かされた後のクラス全員の大爆笑ったら無かっ たわ。」
「ミラの姉御は何組だったんですか?」
「わたし?私は3年L組やったなあ。普通科の。おねえは、確かH組やったっけ。」
リンを除く6人の母校である青大央は、普通化、実業化など5つの科からなりそれぞれが一学年14クラスないし28クラスある。一クラス45人なので生徒だ けで1万5千人も居る。さらに教師も千名近くいるため。休み時間ともなれば、廊下にはどこぞのコミケかと言わんばかりの密度である。この学校、緩いのか厳 しいのかよく分からない。ただでさえ偏差値85を下回ると強制転校という超エリート校なのに3学期は一切授業をしない。なので、入学時の45人がそろって 卒業できたのは御山家長男の宗介の年度が最後らしい。
「あん時は面白かったわ。私が2年の時の輩神子ちゃん達が中1の頃のSFJCTの決勝戦。片っぽが、バズーカ持ってリングに立ってたら、どっから持ってき たのかET675型戦車乗って相手が来てね。。でもバズーカ持った奴が、戦車のハッチ開けてバズーカ打ち込んで試合開始30秒で決着。あっけ無かったった らありゃしない。」
真朱彌がかつてのことを少し話して思い出し笑い。
「うちゃあれやわ。3年の時遥夢にナンパかけた1年ボーズの態度が気に入らんかった遥夢が、公式戦でぼっこぼこにしたあげく、自主退学にまで追い込んだって言う奴。あのときの流れは未だに語られてるってさ。そういえばさあ、正規は男一人で寂しくないの?」
何をいきなり言い出すのだこの銀色は。
「あ。あーまそうだなあ、大体いつも親しい奴が誰かしらそばに居るから、ふつうだな。」
「そかそか。能力安定の関係で神子体に移行したからね。気にはしてたんだ。」
そんな事気にせんでもいいのにという顔の正規。
「ところでなあ。これからどこ行って何するん?」
「あー。あ?あー。えー。んー。」
「もしかしてここが目的地?」
「うんにゃ乗り換えなんやけど何線やったかな?」
しーんとする一同。その外を特急列車が走っていった。
「あ、思い出した。江井だ。」
「「エネイ?」」
「えーっと。次の特急は…あれ?リアー、このアプリ逝かれてない?」
『正常です。次の特急列車が5分ほど前に西海駅を発車したそうです。』
ちなみに特急で、西海駅からこの伊勢駅まで大体15分ほどである。牧浪駅からなら12分ほど。
「どこのJRQですか。」
「なんで?」
「あの特急至上主義と同じやんか。」
「神子、それは当該企業に失礼だと思うが。」
JRQとあだ名される鉄道会社が、特急に重きを置いたダイヤ変性をしているという意味の神子の言葉。まあ、大体特急は一時間に2本来れば良いところなのだ が、この路線何をとち狂ったか一時間当たり12本特急が設定されている。直通元の蒼牧本線でさえ一時間当たり最大6本平均4本というレベルなのに、通勤電 車並みの頻度でこの駅には特急がやってくる。というのも、何故か神鉄は、この駅を牧浪地区の最重要拠点駅として扱っており、一時間当たり120本以上の列 車が行き交う蒼牧本線の全列車のうち、約半数が乗り入れてくる。また牧丘発着の列車も多数設定されている上、牧浪地区完結の地区内特急も数多く走っている ため5分に1本という半端ない数の列車が行き交う羽目になっている。
「ほんとにもうきた。」
呆れる神子と何故呆れているのか分からない正規。
「えっと。こっからどう行動するの?
「糸満から、船で、金原へ渡って、そっから何回か乗り換えかなあ。」
「もしかして、大陸渡る?」
蒼明はとある大陸の東西の中間点に位置している。そして主師勢の居るこの牧浪地区はその大陸の東端にあるのだ。
「大陸なあ。結構な広さの海渡るなあ。」

続く
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