L.C第19章 里山奇譚


兵庫の真ん中辺りにある、里山
「暇じゃのう。お主を神主にしてもらったのは間違いじゃったか?」
「か、神楽、そりゃねえよ。」
やあ。俺の名前は、神島俊明。なぜかこのように別な読みきりなのに本編と関係のある話にしか出てこない男だよ。でもこう見えてあの御山混神の同級生で、馬 鹿騒ぎしていた仲だ。
「はははは。うそじゃうそ。やはりおぬしはからかいがいがあるのう。」
「しらねえよ。」
「仕方がないのう。それにしても早くお主の子供が欲しいのじゃが。」
俺は飲んでいた麦茶を思いっきり吹き出した。俺のとなりにいた女性がいきなりそんなことを言ったのだからな。俺のとなりにいるのは神楽。旧姓、神狐、現 姓、神島。俺の嫁だ。成り行きは第4章を読めば分かる。
「神と人間が交われるか。」
「そうだ。このエロ狐。」
「おぬしはだまっとれ。」
おお良い音したな〜!神楽が、話に首を突っ込んできた俺の従妹の士ちゃんに自分が持っていた扇子を投げつけたところだった。それにしても神楽、どこにセン ス持ってたんだ。
「そんなことはどうでもいいじゃろ〜て。」
俺の親は万年旅行している。
「そんなことを気にしても仕方がなかろう。」
いやいや。一応お前の義理の親なんだから少しは心配してくれ。で、士ちゃんはと言うといじけて石をいじっている
。「…うっわ〜。瑠美乃神社そっくりですね。」
俺はまた麦茶を吹き出した。それを見たさっきの発言者が思いっきり引いた。ほんとにすぐにかおにでるひとだな。でも神楽が震えてるのが面白い。
まあ俺にとっては友達でも神楽にとっちゃ絶対逆らえないからな。…?おwいきなりぬぐか〜?と思ったらマントを解いただけだった。
「だ、だれね。俊ちゃん浮気したんか?」
誰がするか。
「お、お久しぶりですのぅ。」
「?あれ?ライブチャットの時彼女もいましたよね。」
「士ちゃんのことか。居たがまだ結びついてない。」
そう俺が言うとため息をついてあいつは、士のほうへ歩み寄った。おいおい士さんよ、構えるなお前にどうにかできる相手じゃない。
「はじめまして。蒼藍星間連邦王国第三代国主国王、ハルナ・リールシェル・ランゲルハンスです。」
「貴族と浮気したんか、俊ちゃんは。」
だから。
「違うといっとるじゃろ。」「違います。僕にはちゃんと夫がいます。俊明、ハリセン。」
どつくのは有効な解決策とは思えないが、とりあえず渡してやる。
ターンッ
遥夢が小気味良い音を立てて、士の頭をどついた。
「へぇ、リンから焼滅先行を間近に受けてもすぐに起き上がる少女がいると聞きましたがいたって普通ですね。」
そんなことだとは思った。
「痛いやんか。」
「なるほどうたれ強いんじゃなくて感覚が鈍くて各組織の結合が強いだけなんですね。」
遥夢〜、あくまでそいつは俺の従妹だぞ。
「承知しております。」
こんな王様なら国民が安心するのもうなずける。まあナメたら即死だろうが。
『マスター、ウイルスです。この端末では対応できません。一番近いサーバー入力用端末にこの端末を接続して下さい。』
おい、いきなり俺をにらむな。とりあえず社務所に案内すると、
「としあき、サーバーは?」
いきなりなんだか。
「ここで食い止められなければ中国地方のサーバーは崩壊します。」
「なぜここなんじゃ?」
「としあきがつけているV.C.Pがこの一帯で一番大きなサーバーなんです。」
そこまでいうとのんきに歌を歌いだした。でも俺はその歌を聞いてあいつのある言葉を思い出した。
[主上が―を歌いだしたら相当あせっているからな。]
そういって俺にあるファイルを送ってきてそのファイルの曲だと言ったんだ。遥夢が今歌ってるのがその歌なのだ。
スッ
遥夢がいきなり俺の鼻先に手を伸ばしてきた。なんなんだ?
「コネクタ。」
は?
「V.C.P拡張統括コネクタです。早く。」
俺が固まっていると。
「早くしろばか者ー、V.C.Pを複数台繋いで不知火に一つとして認識させるんじゃはよせい。それともなんだ。お前は自分
のA.Iが死んでもいいとでも言うのか?」
まるで混神だ。恐ろしい。とりあえず俺が左手を出すと、遥夢はひったくるようにつかみ袖をまくり何かのケーブルを俺の左手の腕時計のような機械に繋いだ。
そのケーブルは遥夢の右袖の中に入っており、それと入れ替わりで別のケーブルが彼女の目の前のコンピューターに伸びていた
。『Coil OS HALNAver. Concorde TWE Ultimate Edition強制起動。情報同期完了。Coil OS HALNAver. Concorde TTE Oral Editionに統一中。前者終了中。』
俺がふと後ろを向くと怒る士と笑っているが疲れた様子の神楽がいる。

サイバーネット内。
体のさまざまな場所が欠けたA.Iが浮遊している。そのすべてが目をあけた状態で光を失っている。A.Iは体が欠けても1分弱で回復する。
だがその傷口から心臓の位置にあるマスターボックスと呼ばれるプログラムを破壊されてしまうと命を失ってしまう。
そしてその間を不知火が歩いている。
「遅くなりました。」
「メンテナンス中に呼び出してすいません。」
「いえ。」
「それにしてもプロテクトを強化すると服の色がこくなるってほんとうだったんですね。」
確かにリアの服の色が濃くなっていた。
現実世界
「それで終わりなのか?」
「後は不知火が戻ってくるまで待てばいいだけなんです。」
おいおい士ちゃん、遥夢は年上なんだぞ。
「そうなのか?」
「少し黙っていてくれませんか視覚同調ができませんから。」
まあ聞いてそのままのことだろう。
「どういう意味ですかのう。」
「A.Iの視覚情報とマスターの視神経を同期させ、A.I視覚=マスターの視覚にすることです。」
神楽はこの町からあまり出たことがないようだ。
「…確認完了。」
「え?」
『コネクタを開放します。開放時の衝撃による尺骨及び、橈骨の断層型骨折にご注意下さい。』
その直後俺の腕にものすごい衝撃が走った。
後で聞いた話だが、コネクタの開放には射出側(ケーブルを延ばした側)の巻取りと、受け入れ側の電気的開放が必要で、
この電気的開放の際に発生する衝撃を片腕一本で支えなければならない場合が多く、多くの場合並行する2本の骨が折れてしまうらしい。
だから射出者は、解放前に、受け入れ側の腕を壁に押し付けるのが普通らしい。
「すごい勢いで腕が横にはねたが大丈夫か?」
まあな。それにしてもまだ腕がジンジンしている。
「さすがです。それではこれで失礼します」
一体何をしに来たのか分からないまま帰っていった。

なんだったんだ?
「しらぬ。」
「俊、姉さんと義兄さんが帰ってきたからつれてきたぞ。」
紹介しよう。俺のおじさんである。
「お〜い?」
おお、すまない。
俺の両親は見た目30前後であるが、年相応で趣味はジジくさい。
「何をいっとる。ほれお前に見合い写真もって来たぞ。」
おい役所に行って来い。
『まて、そのままでは受け取れぬ。とし、共にいって受け取ってまいれ。ただし、村役場では無理じゃ。神戸に行け。兵庫県庁にな。』
ここにいるもので俺と、士以外は、神楽は見えない。だからその声には大いに驚いただろう。
ここからは神楽に頼んだ。
「ととさん、ここにいる狐見えないの?」
「なにがいるって?」
神狐じゃ。この神社のぬしじゃ。全くけしからんやつじゃ。これならどうじゃ。
「ん?これが狐と言うのかこんな美女が?」
わしを[これ]扱いとはほんとに無知なやつじゃ。お前は臨時の神主なのじゃからわしが手伝わんでもわしの姿を見れるようにならぬか。
「なんて偉そうな女だ。」
「なあ、神楽、主上が行けゆうたから来たぞ。」
まさか長相が来るとはあいつも思わぬじゃろう。それにしてもようこそおいで下さいました。
「んなに、かしこまらんでも、うちは俊明の同級生であり、莫迦騒ぎしてた仲間なんだからさ。」
そうですか。
「にしてもいつ瑠美乃が現れてもおかしくない感じやね」
瑠美乃は正規氏の故郷の神社の御神体の楠の精霊の名前じゃ。
「ただいまー。」
おや俊が帰ってきたようじゃのバトンタッチと行くか。
と言うわけで親を引き連れ県庁にいってきた。混神のおかげで何とかなった。
「いやだな〜。」
「なにがじゃ?」
「この後、アイラスに行かなきゃならなくてね。あそこの高官の娘には毎回行くたびに追いかけられてるんだ。」
行かなくていいようにしてもらえばよいのに。
「そうしてもらったがな。」
そういえばお前の嫌いなものってなんだったっけ?。
「ぶりっ子と節足動物とあんこと蜂蜜。」
ぶりっ子がいるからなんかなのだな?
「さすがだね。」
伊達に「としあき」をやっていないよ。
「そのこてはんは、ふたばか?にじうらか?」
にじうらにきまっていよう。
「だろうな。」
ふう。きついな。こいつは世界中の情報を知っているんだからな。
「なにをゆーとー?」
でたよ混神の博多弁もどきが。
「いいじゃにゃーの。うちは好きでやーとーの。」
いいとは思うが、あまりにも似ていないので…。笑ってるよ。
「来たね。」
いきなりそういって起き上がるとひざを曲げてジャンプの状態になった。その直後空が暗くなった。
いや暗くなったのではなくこの村全体の上空に巨大な何かが来たために光が遮られただけだった。そしてその何かをよく観ると機械のようである。
「蒼藍星間連邦王国本国軍総合旗艦リールシェル級第1番艦リールシェルだ。全長50km、最大翼幅20kmの巨大艦だ。」
こいつはどうやら超の文字を忘れているらしい。
「それじゃあ、またこっちにこいな。王国は神と国官の扱いは同じやかて。」
あ〜。よう分からんがまあいいだろう。

とあいつも帰っていったことだしこれからはまた何の変化もない日常になるだろうな。…ん?何打この紙は。何々?…ありゃりゃ…ま、まあ何はともあれ、この 話はここでおしまいだ。

おしまいですよこの章は