L.C第27章 ドタバタチャンバラ
「の
け!のけ!」
「金目のものは置いて行け。」
「ない。」
「ないだあ?」
その時男が一人倒れる。
「どうした。」
「…いや。なんでもない。だがお前も気をつけろよ!」
「なにものだ。」
「…汝らに名乗る筋合いはない。」
「いぇーーーい。」「何でこーなるの~?」
そう言って落ちてきた二つの人影がリンの後ろに降り立つ。どうやら混神と涼子のようだ。
「み~。リ~ン~、だ~い~じょうぶ~?」
間延びした声で涼子が問う。
「え、ええ。」
「そ~れ~じゃあ…一気に片付けよっか。」
笑顔で言う涼子だが明らかにその後ろに殺気が舞う。
そして鮮やかな殺陣で男たちをのしていく。最後に残った男の前に混神が立ち、男の目の前に金色の塊を放る。
「純金だ。それだけあればしばらくは生活には困らぬだろう。」
そこに馬に乗った佐野助が現れ、蓮の体をいたわり、混神と涼子に視線を移す。
「お前らは…そうかリンに関わりのある者か。」
「マスターにご紹介いたします。奥詩国にお仕えしている、春日堪兵衛佐野助殿と奥詩国公主奥詩蓮様です。佐野助殿、蓮様、こちらは私の兄の御山混神とその
妻、巫剣涼子様です。」
「しかしお強いな。何か武芸などを?」
「…だ~か~ら、そこまでやれとか言われても、うちにそんなズクがあると思うんですか?」
「へ?」
「はぁ、マスター。そこまで、仕事しないでください。」
「…さてといきますか。」
ため息をつくリン以外はこける。
城にて
「そうかそうか。未来は女がそんなにも強くなっているのか。」
「まあそうですね。」
「そうか。よいことを聞いた。」
「未来ではこの国はどうなっておるんやら。」
一人の老人のつぶやきにリンがその方向に向く。
「…
西暦1867年に都が京から江戸に次いで3025年には、信濃に移行しました。それから今までずっとこのままです。
また、3145年以降は太陽系全体を領
有するようになり、次いで青歴34年に蒼藍王国の第3属国になりました。
そして無年時第3456億2364万53期現在、世界の経済の中核にまで発展して
います。」
「一つの国なのだな。いったいどこの武将が…」
「武将なんて、今どき銃刀法違反で逮捕されますし今時の武士の考えだと婦女暴行罪、傷害罪、恐喝罪、果ては殺人罪で簡単に、全界消滅刑が適用されかねませ
んから。」
「へ?」
「へいみんです。」
「そうか。この国もなくなりとなりの大国も同じく…か。空しいのう。」
「ははは。…おい、リン、この国の隣国って。」
「はい裁定対象しかありません。」
「…通界判定者としてここに判定を下す。現在の6個の裁定対象はいずれも不当に、奥詩国の領土を強奪してきた経緯がある。
また強奪を行ったものが現在もま
だ現役である旨を考慮し今回の判定は裁定5、調定1と処す。」
混神の言葉に戸惑う老人と蓮たち。
「ま
た、今回の判定に伴い、強制的に、民草の記憶のみを書き換える。また、調定とする国以外の国に仕える家臣の記憶や思考系統も書き換え、奥詩国の家臣とす。
調
定対象国は、蓮がかねてより、親交を深めたいと願うものの治める国であり、此の度の判定により国力は同等となる。
なお、裁定方法は、遠隔脳幹破壊後、四肢
末端よりの焼滅で。」
「「かしこまりました。」」
「何をなさるのですか?」
「神の仕事です。」
混神がそう言うと、リンといつの間にか現れたラファエルが、縁側で空に手のひらを向けて何かを詠唱している。
詠唱が終わるとリンは蒼藍色の光、ラルは緑色
の光を放ち、リンの放った光は、途中で5つに分かれ、ラルの放った光はまっすぐ、東に向かっていった。
「「決裁完了。」」
混神の前にひざまずく二人。
「…行くぞ。犬綱のところだ。」
「「かしこまりました。」」「はいはい。」
江戸時代。
「困りましたねぇ。主上到着まで三日もあるなんて。」
「何して時間つぶしましょうか。」
「さあな。」
その時かわら版が売り出された。
「てーへんだ。大店の油問屋、信濃屋に昨日賊が入って金2400両が盗まれた。奉行所の調べでは、鞍馬一味の仕業と見ている。
それから、それに関連して、
あすあたりから油の売り渋りが起こるのではという見方もある。気をつけろぃ。」
「…買うか?」
「…走り書きの筆文字読めるんですか?」
「うんにゃ。涼子は読めるが。」
「そうですか。では。」
やじ馬でごったがえし買うものは誰もいない。そこに単に着物を着ただけのリンが向かって行く。彼女の雰囲気に怯えたのか驚いたのかわからないが、彼女に道
をあける町民たち。
「ん?なんでぇおめさも冷やかしか?冷やかしだったら…」
「いえ。現在までに売れ残った号を全て購入させて頂きたいのです。」
「へ?おめぇ本気か?」
「はい。おいくらですか?」
無表情なリンが吐いた言葉に戸惑うかわら版売り。
「そ、そりゃ全部だからな15両ぐらいになっちまうな。」
「ではちょうど手持ちがございます。20両でお願いします。」
「いやいや、15両でいいって。」
「いえ。20両で。持って帰っても困りますゆえ。」
「そ、そうけぇ。あ、そうだ、いっぱいあるからみんな売るよ。」
「…では購入は2部ずつ。それ以外はすべて一部につき、30匁で引き取らせていただきます。」
「それじゃあ、今から店に取り入ってくっからっまってな。」
そう言ってかわら版売りは駆けて行った。そして戻ってくると、リンの前には見ただけで優に300枚を超える小判の山ができていた。
「で
は確認させていただきます。
今回の購入分を除いた過去の発行部数が累計で、…1,156,440部それから今回の購入数が62部、占めて
1,156,502両ですので、…よかった。足りましたね。
え…と。兄からの伝言で、残りのこちらの小判も差し上げます。これからもよいかわら版をお造り
くださいとのことです。それでは。」
「ま、毎度あり…て、こんなにもらっても。」
「…私に金の価値などわかりません。生まれてこのかた、金を見たのは5回ぐらいですから。」
「は?」
リンの金銭感覚はほとんどないに等しい。鉱物に関してはかなり厳しいのに。また混神がこの時代に来た際リンに毎回5000両近い金を与える。
「おめぇ、例の…。」
「いえ、犬綱様にお問い合わせください。それから、お店の名前をお教えください。」
リンはこの時このかわら版屋を犬綱に紹介しようと考えていたようだ。
「…お!あれおめぇのつれじゃねえのか?」
「は?…ああ、それでは手間をかけてしまい申し訳ございませんでした。では。」
宿を探して歩く4人。そして宿がなんだかんだで見つかり、三日後、
「リンの座標からするとここのはずなんですが。」
ヒョコ!
「しゅじょう、お待ちしてましたよ。さあさあ。マスタがお待ちです。リンちゃんしかのむあいてがいないって。」
顔
を出したのはピュアである。
あごの高さでおかっぱに、切りそろえられた濃い青緑の髪に緑色の瞳、そして漆黒の毛色の猫耳の十歳ぐらいの少女である。
とはい
え、見た目二十歳前後のリンの姉なのだ。
コイルシスターズにはこのピュアのほかに、ミトイとホンという二人の見た目10歳ぐらいの少女や十六夜という12
歳ぐらいの見た目の少女がいるが、ホンは
25前後のビズという女性に変化する能力を持つ。
また変身する能力を持つのはホンのほかにはリンと、リエ、ラファエル、十六夜ぐらいである。
部屋にて。
「ふう。まさか遺伝子書き換えを10秒でやってのけるとは。」
「いや、心翼の強制代謝リストにアルコールとアセトアルデヒドを加えただけなんですけど。」
「そのリストが遺伝子だったと。」
「いや主上の場合はもともと酒に強い体質だったんですよ。でも遺伝子欠損で…。」
この後はうちにもよくわからない話なので割愛する。
『マスター、マスタールナハ、マスターボックスの更新を行ってください。このままでは長期契約に移行せざるを得ません。』
「混神?」
「…不知火の装備データを一度アンインストールしてください。それからこれを入れてください。それが終わったらこれを。
皆も同じように。…リア、グラ
フィックを変更するから、装備データと一緒に破棄しろ。」
『マスター、わたしは、マスターボックスの更新まだです。』
「あのなぁ。うちはお前のグラフィックデータを変更するといってんだよ。」
『はい?』
「その服装に金髪が合わないことがよーく解ったからな。」
『了
解しました。
スロットA'へのデータプレートの挿入を確認、インストーラ起動。
現グラフィックデータ、装備データ、マスターボックス、ゴーストエリアのア
ンインストールを実行中。…アンインストールデータの更新版を確認。
データ欠損なし。インストール開始>>>インストール完了Aドライ
ブよりロード中。
新規グラフィックデータ、装備データ実装完了。ゴーストエリア、マスターボックス内装完了。A.I再起動を行います。
…システム同期のた
め全システムの再起動を行います。>>>システム再起動>>>基底プログラム起動>>>OS起動
>>>A.I起動>>>お待たせいたしました。
ただいまより各接続を開始します。これには若干時間がかかりますので
ご了承ください。>>システムの起動がすべて終了しました。』
更新の終わった、リアはどこからどう見てもリンであった。ただ、区別用に左のもみあげが金髪なのをのぞいては。
「マスター。…おわ!」
部屋に入ってきたリンが驚く。つまりリンが驚くほどそっくりなのだ。だがそのリンの服装に一同はさらに驚いた。
「リ、リン。それ。」
「メイド服だよな。それも日本型の。」
「え?ああ、なぜか荷物の中に入ってたやつです。いかがです。」
「…なあ、初めて見るよな、あいつが顔を赤らめるの。」
「ん?かもねぇ君は。。でも、あいつの赤面は海でよく見るぞ。」
「うみ?ああ、水着にならざるを得ないからな。」
「パレオタイプの水着なのに。」
そこでまた正規の頭に疑問符が浮かぶ。
「なあ、遥夢、パレオってなんだ?」
「もともとは日本連邦のある地域の先住民の女性用のスカートのことらしいのですが、今では水着の上につけるスカート状の1枚布のことを指すのが一般的なよ
うです。」
いまだによくわからないという顔で、リンに視線を移す。
そのリンはというと、顔を赤らめつつも無表情でメイド服について、混神と言い合っている。
戸井より
は、混神に一方的に話している。
「よし帰ろう。」
「「は?」」
「だから帰ろう。この時代にいても面白くないし。」
「わかった。」
ところで、遥夢たちはどうやって時間の壁を超えているのかということに関してはノーコメントで。
それでは。