L.C第七章学校大騒ぎ

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校内に賑やかさが戻り始める。4時限目の終わりである。
「混神〜寝てるだけじゃもたないよ?」
「もつもたないじゃなくて、弁当忘れちまったんだからそれ以前の問題だな。」
「そんな問題?混神のならリンが届けに来たよ」
「あっそ。」
涼子の言葉にあっけなく答える混神。

「転校生?」
もともとのんきな混神なのだがこのときは十分寝たのでそれにも増してのんきだった。
「そうそう。でもどっかであった事が在りそうなんだよね。」
「ま、みりゃわかるっしょ。」
「マスター、話題の方のデータです。」
リンが混神に書類を渡す。
「…ああ、サリアニアの皇女だ。このまえ本社に来て、リアでさえも修復に一週間かかるほど徹底的にデータベースを破壊していきやがった。」
「リアの力をもってして一週間かかるって破壊指数は?」
「625,679,854,329の34乗のさらに45乗。」
「今一分からない。」
「きり〜つ。」
担任が入ってくる。朝のホームルームだ。
「転校生を紹介する。入って来い。」
「ところでさ。リアも手惑うほどに破壊するなんて、蔵人、素人?」
「超が付くほどのど素人。触れたら破壊と考えて良い。…つーか、おい、なんで、本社にきやがった?いくら王女様だゆうたかてそれは通用せんかんな。
あんさんのせいで一体どれだけの人間に影響が出たおもっとんの?」
「え?ん〜〜。10人ぐらいじゃないの?」
周りを無視して大声を張り上げる混神。遥夢たちは笑っている。そして例の転校生はボケをかましている。
「計測不能じゃ。け・い・そ・く・ふ・の・う。登録者全体の99.99%がサーバーが復旧するまでの5日間、サイバーネットに閉じ込められたんだかんな。 それ
に関して責任持てんのか、あんさんは?」
「…もてないかも。」
「混神、ここは彼女の父親に言うしかないかもしれませんね。」
「お父様に〜?無理だと思うよ〜貴方のような一般市民人は。」
「さあどうでしょうね〜。混神一度王宮に行くので、正規さんも。」

そして、学校の校庭。
「手続き完了です。青大央の特別クラスへの強制編入です。サイバーネットへの接続を停止するといったら、大慌てで受諾しましたよ。」
「すごいね。」
「冗談です。」
「へ?」
「転校手続きがめんどいので転校はなし。」
リンによってぐるぐる巻きに縛られた転校生(詩織)はほうけていた。
「…………マスター一発殴ってもよろしいですか?」
「やれば?」
そっけない。
「貴女に私を同行できるのかしら。」
「蒼藍王国長相直属特務機関・コイルシスターズリーダー、リン・コンコルド参ります。」
スパーンと小気味良い音を立てリンの平手打ちがヒットする。
「痛いです。お父様に電話して貴女のこと罰していただきます。…」
『こちらはF.C.Nコールセンターです。ただいまお客様がおかけになられました、IDコードはサーバー内に登録が確認ができないため、御繋ぎすることが できません。
申し訳ありませんが、もう一度IDをご確認のうえ、再度おかけ直し頂きますよう、御願い申し上げます。』
「……なんで繋がらないの?」
「…リア?」
『かしこまりました。登録IDの検索及び接続を開始します。』
「かけなおしてみな。」
かけなおした。
『本日は御利用有難う御座います。こちらはF.C.Nコールサーバーです。ただいまよりお客様がおかけになられた回線を、3Cサイバーコールセンターに転 送します。電話を切らずにお待ち下さい。』
「なぜ一度回線転送をするんです?」
詩織が質問する。
「F.C.Nがカバーできる電信区域は、蒼藍王国の本国と属国と、特別特急線の沿線諸国だけだ。だけんあんさんの国は王国の南西の国。生憎F.C.Nのカ バー区域じゃない。
でも3Cは、世界全体にサイバーネットの網を広げている関係上、ほぼ宇宙全体をカバーする電信区域を持つ。だからいちど3Cに回線を繋ぎなおして、あんさ んの国の電話会社への橋渡しをしてもらおうと言う訳さね。」
『お待たせして申し訳御座いません。こちらは、3C・Coil Cyber Company、サイバーコールセンターです。
お客様から照合申請の御座いましたIDですが、1675億2000件の重複が御座います。申し訳ありませんが国名をお教え下さい。』
「?…レンビアント。」
『レスビア王国で照合中です。…お待たせいたしました。ただいまよりレスビア王宮秘匿回線に接続します。2分少々お待ち下さい。』
秘匿回線の言葉に詩織はひどく驚いた。
「なぜ民間企業がわが国の秘匿回線に?」
「3CとLSNグループの二社はトップが王族だからな。」
「なるほど。」

「こんなに大騒ぎする羽目になったの高三の時以来ですよ。」
遥夢がぼやく。
それではそのときの事を見てみよう。
ここではあまり詳細な背景描写はいたしません。HSM三年目二学期の時に詳細な背景描写をしますのでお楽しみに。
―青暦3年10月17日
「…………………………。」
「は〜。珍しいこともあるもんだな。あの混神が落ち込んでるよ。」
「嫌われたそうですよ。涼子に。」
「なんで?」
「さあ。リンに訊いても分からない。伯母様に聞いても分からない。一方的に嫌われたと。」
「でとうの涼子は?」
「ご実家です。」
「……………………!よっしゃ。ここにこれを組んで。」
「………落ち込んでるわけじゃなさそうですね。」
「そうそう。主上、お手伝い頂たいことが。」
いきなり話しかけられた遥夢は驚いて髪を揺らし飛び上がる。
「これから涼子を呼んで斬って下さい。いや涼子を斬ったら剣道部の人間、全員斬って下さい。」
いきなりの仰天発言に沈黙する一同だがふと遥夢が
「涼子の信号が、違うところから来ているかも知れない為、召喚して確認したいというわけですね?」
「はい。ちがかったら今言った者は斬って下さい。」
「分かりました。」
そして涼子が召喚され混神が壁に付けられた50インチの大型投影式モニタで何かを確認し遥夢に合図を出す。遥夢が涼子を正中線で、一刀両断の元に斬捨て る。
そしてそのまま下段に刀を構え廊下を駆け部活中の剣道部に切り込み、稽古中の剣道部員を顧問もろとも切り捨て、壁を地面から2mの高さで斬ると眠らされた 涼子と剣道部員と顧問が出てきた。

「こんにちは〜」
「こんにゃにゃちわ。」
「何が言いたい。」
「璃茶久しぶりじゃないですか。」
コイルハウスに璃茶が訪ねてきた
「今までフローラ以西の地域に居たからさ。」
「そうだったんですか。」
「遥夢たちこそいいの?調査は?」
「昨日で終わりです。」
ところでなんとなく混神がブスーッとしている。どうしたのかと涼子が問うと璃茶がらみだという。浮気かと正規が訊くと、違うと言う。璃茶と混神が声を合わ せて言う。
「どこかの財閥の跡取り息子が、璃茶に結婚申し込んだらしいんだが。そいつとんでもないこと条件に付けやがった。」
「条件?何でそれがお前の不機嫌に関係あるんだ?」
正規の問いにリンがこう答える。
「もともと本社を経由して送られるマスター宛のメールは一度私が目を通すことになっております。
…まあそれはおいときまして、璃茶様からの到着メールはマスターに対する相談で、結婚を申し込み承諾しようとした所、
3C提供のサイバーネットにおけるグラフィックサーバーの運用を終了することを条件としたというものなんです。」
現在サイバーネットはLSNと3C、そしてLWTC(Ligu WonderTainment Corporationの略)の3社が宇宙全体のサイバーネットを運営している。
だが実質的には3Cが運営しているといっても過言ではないとよく言われる。その理由は、グラフィックサーバー以外のすべてのサーバーを統括していることか らである。
ではグラフィックサーバーはどこか?LWTCである。LWTCが誇れるものは滑らかなグラフィックである。だがそれ以外の機能となると心もとない。
そのため3C発の共同OS、COS(Concorde OS)計画に真っ先に飛びつき、Concorde LiguOS(リグゥス)と3C側が計画していたものを、勝手にCoil OS-HALUNA ver. Concordeとしてしまったのはあまりにも有名な話である。
そしてこの両者にLSNが協力しているため宇宙全体にサイバーネットが展開しているのだ。つまり3社のうちどれか(実質3C)が欠けても維持はできないの だ。
「決めた。けりますこの話。」
「いいのですか?」
「はい。この仕事を解そうとしない人間なんて理想じゃ在りません。」
「…………璃茶の理想って一体。」

次回はこの話の続き