やっぱりこれがしっくり来る

第五話


注意
この話は特別編をお読みいただいたことを前提にして話を進めて参ります。
まだお読みでない方、直接、URL打ち込みでいらした方はこちらか らどうぞ。

また、この話に出てくる外国語はすべて、web翻訳を用いています。文法に誤りがあるかもしれませんが、作者には修正のしようがありません。
そこのところをご了承下さい。

「すごかったなぁ。」
「ああ。あんなにすごいパーティは初めてだ。」
何か知らないけど突然舞い込んだ、異世界からのパーティの招待状。そのパーティから2日経ち、ここは、私たちの教室じゃなくて、生徒会室。
「レイ、食べる?」
リートさんは少し男勝りな女子真っ盛りをエンジョイしているし、リールさんも前より話すようになってきた。あのパーティで、2人がお仕えしているという王 様にあって、そのときに何か言われたみたい。
リートさんが、かなりきわどい色のカップケーキを差し出してきた。
「レイ、おまえドイツ語できるか?」
「いえ。ベルギー語は片言ですが。」
羽魅先生が駆け込んできた。ドイツ語なんて、とてもじゃないけどできる人は居ないだろう。
「何があったんですか?」
「ああ。ドイツ帝国皇帝陛下がなこの学校を視察に来られたのだが、随伴の通訳が、倒れてしまって、急遽代わりを探しただが見つからなくて、もしかしたらと 思ってな。」
「ドイツ語はできますが?」
リールさん以外の視線がリートさんに集中する。
「たいていの言語は可能です。蒼藍語、ライターナ語、キグリス語、日本語、中国語、ドイツ語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、ポルトガル語、イ タリア語、ラルト語、ヒン ドゥー語、スワヒリ語、ユダヤ語、ラテン語と、主要言語はすべて習得しています。」
「よし。いこう。」

「Dieses Kind ist, oder der Interpret. Bist du in Ordnung?(この子が、通訳ですか。大丈夫なのですか?)」
「問題有りません。彼女は瑞穂語のほかに英語、フランス語、ロシア語など15カ国語を操ることができます。」
「Ich habe auch Sorge fest Nasaranaku Worte Seiner Majestät, den Menschen als
anderes Wort für Wort, das hier zu vermitteln, eine Firma, die zu sagen die Leute hier
die Worte Seiner Majestät als auch verspricht.
(ご心配なさらなくとも私は陛下のお言葉をしっかりと、一言一句違わずにこちらの方々に伝え、同じように陛下にもこちらの方々の言葉をお伝えすることを堅 くお約束いたします。)」
すごい。リートさんは、まるで生まれながらの生粋のドイツっ子の様に流暢にドイツ語を操っていた。
「In einem der Anforderungen sofort. Nobuhito ist, würde ich lassen das Team mit den Mädchen super kaiserlichen Maschine erfüllt.
(では、早速用件を一つ。信仁さん、皇国機激隊の少女たちに会わせていただきたいのですが。)」
「Ich anmaßend im Namen Seiner Majestät, würde Ich mag mehr Erklärung.(僭越ながら、陛下の代わりに、私よりご説明申し上げます。)
Fierce Empire Corps Flugzeuge sind hier als Lehrer Führer Haufen Schwanz ist eine
Organisation, direkt unter dem Kaiser und organisiert rund um die drei Frauen hier in
diesem Suzugamori Academy High School.
(皇国機激隊は、こちらの、尾束先生を隊長として、この鈴ヶ森学園高校のここにいる3人の女生徒を中心に組織された天皇陛下直属の組織です。)
Corps Flugzeugproduktion super Team, das heißt, war der Tisch in der eingerückten Rei,Leteuris,Learfurt Die drei Personen
(機激隊の実動班、つまり、表だった活動に従事するのは、レイ、リトエルス、リールフェルトの3人です)」

アメリカ自治州連邦が力を失い、それを支える形でどんなことに対してもへこたれない瑞穂がこの世界の盟主となった。
今でこそ、世界を率いる瑞穂だけど、ほんの300年前までは、世界の中でもそこそこの地位にしかいなかった。
皇紀2600年代後期になって立て続けに起きた大災害は瑞穂魂に火をつけ100年後には、中華民国から世界第二位のGDP保有国の座を奪い返した。
さらにアメリカを自治州として、瑞穂の領土として組み込んだ後さらに力を増し、大東亜大戦終戦後、御馬鹿2カ国が勝手に実効支配していた,竹島、千島諸島 を奪回。
アジアのトップとしてすり寄ってきた御馬鹿を蹴散らして、非常に民主的な政治を行っている。
ドイツ帝国は、かつての神聖ローマ帝国とほぼ同じ領土を持つ欧州の雄だ。
鉄道と車と精密機械は瑞穂、でかい機械や建築物はドイツに任せてしまえば安心と言われるほど高い工業力を有し、瑞穂に並ぶ高密度運転の鉄道も有名だ。
姉は一度で良いから欧州旅行がしたいと言っている。現在英仏独同盟と瑞穂民国連盟の間には、回教国や旧ソビエト陣営が立ちふさがっている。
だが、瑞穂は、釧路から、アンカレジを経由しニューヨーク、レイキャビク、エディンバラを結びロンドンへ向かう国際高速列車を走らせている。
今回はこの路線でのお話。
回りくどくてごめんなさい。

東京駅
瑞穂の鉄道のすべての起点。関東大手私鉄のターミナルを集約し、さらにMRに10年間の臨時ダイヤを押しつけ行われた整理改修工事により、
地上12面22線二階5面10線地下が1階から4階までそれぞれ4面8線有る上に、新幹線だけで南北直通6面10線を擁する名実ともに瑞穂の象徴である。
45番線東海道から東北新幹線へ乗り入れる列車が停車するこのホームに湘南ラインの編成が止まっていた。
古来より、湘南色は瑞穂の鉄道において、重要な路線に投入されることが多かった。
『高雄発博多、飯田、当駅、仙台、札幌、釧路、アンカレジ、シカゴ、ニューヨーク、オタワ、レイキャビク、エディンバラ、ロンドン、パリ経由ベルリン行き 国際新幹線きずな5号まもなく発車します。おいそぎくださーい。』
駅員がアナウンスする。
何故私たちがこのきずな号に乗るのかというと、ドイツ帝国皇帝ハインゲルニッヒ3世陛下の要望によって、皇国機激隊に緊急の出動命令が下ったためだった。
「お姉ちゃん私たちが乗るのってどこ?」
「14号車。グリーン車だ。え?グリーン車?」
自分で言って驚いてるよ。
私たちが席に着くと列車は滑る様に動き出した。
未だに世界ではこの25両編成の鉄の蛇が600km/h(パーティで200km/h以上が新幹線では?と書いたのはそれが瑞穂皇国の法律上の定義だからで す。) を超える速度で、走ることが信じられないらしい。
『本日もMR瑞穂旅客鉄道をご利用頂きまして誠にありがとうございます。この列車は高雄発ベルリン中央行き国際新幹線きずな五号です。
途中停車駅は、大宮、仙台、新青森、函館、札幌、旭川、釧路、択捉、セベロクリリスク、アダック、アンカレジ、バンクーバー、シカゴ、ニューヨーク、オタ ワ、レイキャビク、エディンバラ、リヴァプール、ロンドン、パリ、ストラスブール、フランクフルト、ベルリンの各中央駅もしくは最大駅です。…。』
このあと、たらたらと長たらしい説明だから省略。
とにかく25両編成で25メートルだから626m(幌とか含んで)以上の長大編成の高速列車はベルリンを目指す。
釧路から先は千島諸島、アリューシャン列島を通ってアラスカへ。そこから今度はロッキー山脈の麓を走りカナダを下り、五大湖西岸の大都市を抜け、北米随一 の大都会を経由してまたカナダに入る。
そこから、グリーンランド、アイスランドを経由したら、いよいよ鉄道発祥の土地イギリス。イギリスの誇りフライングスコッツマン号を追い抜かないようにし かし、おいて行かれない絶妙な速度を保って走り続ける。
ロンドンを出たら、今度はTGVの路線。カレーを華麗にスルーして…突っ込んでよ。とにかく花の都パリに着く。そしていよいよ同盟国ドイツ。
ICEの白地に赤いラインの車両の間を縫って走る銀地に緑と橙色のラインの列車。ドイツの人にはいったいどう映っているのだろうか?」
とにかく全塗装のICEから見たらこのM500系は手抜き塗装にしか見えないだろう。

ベルリン中央駅
列車を降りると皇帝陛下がいた。
「War warten.(お待ちしておりました。)」
そう仰って、左胸に手を当ててひざまずく。
ホームにいた人が何かの撮影かと集まってくる。
「Was ist los? Oh, werden Sie lange Reise erschöpft sein, bitte.(どうなさいましたか?ああ。長旅でお疲れでしょう。どうぞこちらへ。)」
陛下の後に付いていく私たち。
駅を出ると所々破壊されたベルリンの街があった。
ベルリン中央駅を出てメインストリートを歩く私たち。10分ほど歩き皇帝宮殿に到着した。宮殿の中に皇帝陛下は入っていく。
そして、町中のスピーカーから陛下のお声が流れだした。
『Jeder meiner lieben Berliner.
Fellow Themen unserer glorreichen Empire und diese Sendung anzuhören.(親愛なる我がベルリン市民の皆様。そしてこの放送をお聞きの我が栄えある帝国臣民の諸君。)
Meine Gedanken sind immer bei den Herren.
 Sank auf Kummer, der die Brust angezogen kaltes Feuer glühend heiß Hass.(私の思いは常に諸君とともにある。
悲しみに沈み、憎しみに燃える熱く冷たい炎に胸を締め付けられている。)
Plötzlich hatte ohne Gnade von denen meiner Berliner Variante zerstört worden.(突然現れた、異形のものにより無残にも我がベルリンは破壊されてしまった。)
Wir haben, verlor ich meine Hand wie ein Baby Twist, obwohl die kaiserlichen Truppen. In dieser Schlacht
kämpfte tapfer und vermitteln tiefe Mitgefühl mit den Angehörigen und Ehre dem tapferen Krieger,
die ihr Leben nach, beten für die Seelen der Tapferen verloren.(我らが、帝国軍の精鋭部隊でさえもまるで赤子の手をひねる様にやられてしまった。
この戦いで、勇敢に戦い、命を落とした勇気ある戦士をたたえるとともに深い哀悼の意を遺族にお伝えし、勇者の冥福を祈る。)
Und ehemaligen Herren Soldaten lebendig die Hoffnung, dass Gottes Segen, dass Gott weiter zu segnen.(そして、神の加護の元生きている兵士諸君には、
さらなる神のご加護があることを切に願う)
Um diese Situation zu überwinden, ging ich auf der ganzen Welt die Verbündeten besucht, und im Osten Phoenix endlich Hoffnung.(この状況を打開すべく私は世界中の同盟国を訪ね歩き、そして、ついに東の不死鳥で、希望を見つけた。)
Die Mädchen in diesem Spiel, treffend benannt das Mädchen genau das,
was unter dem Kaiser des Ostens gebaut, und fragte Experten, um mit dieser Variante befassen.(まさに戦乙女と呼ぶにふさわしいこの少女達は、東の皇帝の下に造られた、この異形に対処するためのエキスパートと聞く。)
Ich war sicher ein Mädchen von Gott gebraucht diese Strategie sind wir wirklich ein Mädchen der Rasse, der Zerstörung der kläglich Stadt Berlin,
 haben das Leben der zukünftigen Krieger behauptete, und hassten uns, die Variante zu unterwerfen und Vertrauen und Schmerz, wie mein Kind, wie diese Situation,
und der Kaiser von den Mädchen genutzt, um mich Mizuho, Nobuhito tiefe Dankbarkeit auszudrücken.(私は、必ずや、この戦乙女が神が使わした、真の戦乙女として我らが、ベルリンの街を無残にも破壊し、未来有る戦士の命を奪っ た、
憎き異形を討伐してくれるものと信じるとともに、この事態をまるで我が子との様に悲しみ、そして、彼女たちを使わしてくれた瑞穂の皇帝、信仁に深い感謝の 意を表する。)
Und schwören hier. Aber wir ihr Leben riskiert, um diese Schlacht zu gewinnen. Im Namen dieses ehrwürdigen deutschen Kaisers. Und glauben Sie mir, dass meine Erwartungen an das Thema im Reich.
Solange das Leben hier und versuchen, mehr als genug zu erklären, die Aktivitäten von Mädchen Schlacht Mädchen unterstützen(そして、ここに誓おう。我はこの戦いに この命をかけてでも勝利すると。この由緒正しきドイツ帝国皇帝の名にかけて。そして、私を信じてくれている、帝国臣民の期待にかけて。
命ある限り、彼女たち戦乙女の活躍を十二分にサポートするとここに宣言しよう)』
逐一リートさんが同時訳してくれるから困る。
何が困るって、かなり期待掛けられているということが困る。

「リウロ、ポート450に接続。P.G.W-MPDS起動用意。」
リートさんが、NASに命令する。そして現れたのは、リートさんと一体化した1機の人型のロボットだった。
「リートさん、これは?」
「P.G.W-MPDS。使用者の持つ能力、霊力を極限にまで高め、そして、身体能力と精神力を限界まで引き上げ、
崩壊しないぎりぎりのラインで維持しつつも使用者への負担を極限まで減らす。
そんな人型万能汎用戦闘兵器P.G.Wの特徴と、
使用者を機体の限界まで保護し、使用者の手足であるかのようなレスポンス。
極限まで削減された、材料と、それを補いあまりある強度を実現しながらも作りだされる柳眉なる造形を持つMPDSの長所だけを組み合わせ、
そこに、専用化された、さまざまな装備を盛り込んだ、瑞穂皇国軍兵器工廠開発班渾身の作と聞いています。」
私もMPDSを起動しようとPDAを取り出して、コマンドを入力する。
しかし反応しない。
「あれ?」
「もらったPITは?」
PITというのはポータブルインフォメーションターミナルの略称らしい。
ちなみにリートさんとリールさんが持っているのはV.C.P-VTという名前で、正式名称はヴァーチャルサイバープロジェクタ ヴァルキュリータイプとい うらしい。
「じゃあ改めて。MPDSドライブ。」
2人に比べて、機械部分が多い私のロボット。
「はっきり言って気乗りしないな。でも例の異形のものとやらは波動的にかなり悪質だからな。」
「…さてと。いくか。」
リールさんが飛び上がる。
陽炎も、スラスタージェットも見えない。
どうやって飛んでいるのだろう。あとで訊いてみよう。
「早く来い、レイ.。」
「飛ぶって言うの?どうやって飛ぶの?」
私の問いに答えられるのは2人しかいないはずなのにその2人が、困った顔をしている。
「飛べないのならボキが教えてあげようじゃないか。」
どこかで訊いたことある声と言い回し。
「やあ。瑞穂の戦乙女の諸君。笑いによる混沌の貴公子…。」
「斉藤さん!」
あ。こけた。そもそも斉藤さん、何で屋台?
「あはははは。そうさ。ジョナサン斉藤さ。屋台はボキの絶好の隠れ蓑さ。ボキは、君たちがいるところならどこへだっていけるのさ。」
「斉藤の旦那ごちそうさま。」
「あら〜。田中さん。またうちの最難関メニュー完食しちゃったのか。」
斉藤さんとそんな会話をして、のれんをくぐって出てきたのは私の知り合いの田中さんだった。
田中さんはいつも「田中」と書かれた紙袋か段ボールをかぶっている。素顔を知っているのは、誰もいない。
でも、とても優しいい人で、子供が田中さんにいたずらをしても笑ってポケットからお菓子を出して、許してしまうほどだ。私はそれを見て、何故怒らないのか と毎回訪ねてしまう。
とってもぱりっとしたスーツをいつも着ていてかっこいい人だ。
突然斉藤さんの屋台のそばの地面が盛り上がる。そして、真っ黒な異形の者が出てきた。
私もリートさんも。リールさんもとっさのことに反応ができない。
「旦那、割り箸一本貰うよ。」
「いいよ〜。田中さんの大立ち回りだねぇ」
「冗談はよしてくれ。私はそこの戦乙女さんに日頃のお礼がしたいだけさ。」
そういうとまるで大太刀を持っているかのように割り箸で、異形に斬りかかる田中さん。
そのあと何がどうなったのかあまりに速すぎて解らないけど、田中さんの活躍でいったい異形が消えた。
そして、私は田中さんに飛び方を教えて貰い、2人から新型装備を貰って、いよいよ街中に現れた異形退治に向かった。
とにかく、異形は黒い以外は何も共通点がなかった。私たちは太刀や、銃を手に、立ち向かった。

「どうだ?良治。」
「今主上に報告書を送ったところだ。最初にあったときは、まだあどけなさが残っていたというのに。それより丈治、正体はまだ悟られては居ないんだな?」
「ああ。俺たちの正体は主上とおそばの方々以外はご存じないよ。俺たちは半ば勅命で動いてるからな。」
やあ。今は戦乙女こと崎原くん達が戦っているからね。それにここは崎原くんが説明するには荷が重いと思う。
私の名前はジョナサン斉藤。もちろん本名ではない。田中とは同僚であり、気心の知れた親友同士の深い仲だ。
「…彼女たちの前では斉藤と田中そして変なしゃべり方の男と紙袋をかぶった男ということにしておこう。」
「わかった。」
「それから良治。おまえはここに残って、彼女のサポートを頼む。俺は一回瑞穂に戻って、異形の情報を集められるだけ集める。」
良治はうなずいた後こう私に言ってきた。
「ああ。それと主上に直接報告したほうがいい。主上はこの異形に対する対処法をきっとお教えくださるはずだ。」
そう言って異形と戦う崎原君たちを見上げる良治。
はっきり言って、崎原君たちは少しおされぎみだった。
「レイ!何やってんだ。昨日私と作った武器はどうした。」
そんな声が聞こえたから声のほうを向けばそこには崎原君のお姉さんがいた。
どうやら、秘密兵器があるようだ。
しかし崎原君にはそれが届かなかったらしい。
私が、戻ったのは戦いが始まってから2時間がたった時だった。
「レイ君!そのでか物を成層圏まで引っ張り上げてそのまま電離層まで打ち上げるんだ。そうすれば何もしなくても後は勝手に死ぬ!」
何度攻撃してもすぐに元に戻る異形に苦戦していた私たちに田中さんが大きな声で策を教えてくれる。
さっきのお姉ちゃんの声も聞こえていたが、あの武器は、展開するためには一度止まらなければならず、その時に死角ができてしまうので、
展開できなかった。
わたしと、リートさん、リールさんの3人は、ワイヤーを取り出し異形を捕縛。
そのまま音速を超える速度で、成層圏まで上昇した。
成層圏と中間圏の境目で急停止した私はそのままロープを持つ手を緩めた。
リートさんとリールさんはさらに加速し、電離層に到達できるように慣性をかけた。私と二人の高度差は1km。
打ち上げた後、真っ黒な異形の体が電離層でぼろぼろと崩れ、終いにはきらきらと光の粒になっていくのを見届けた後、同じようにほかの異形も片付けた。
「俺はふと思ったよ。なんで直接あの子達に教えなかったんだろうってな。」
「それはそうさ。この前のパーティではあの子は主上の前では足ががたがたになるほど緊張してたらしいから。」
私たちが降りてきたとき斉藤さんと田中さんが手を振って迎えてくれた。
「よくやったねぇ。」
そう言って斉藤さんがその大きく温かな手で私たちの頭をなでてくれる。
斉藤さんが離れると、ベルリン市民が私たちの周りに集まってきた。
「よくやってくれましたね。」
「…え?」
「ははは。実は私も日本語が話せるのです。」
私たちは驚きの叫びを上げた。
「何でもいって下さい。私たちにできることなら何でもお礼をしましょう。」
「じゃあ、まずお姉ちゃんのお願いから聞いて下さい。」
陛下は頷くと、姉の望みを訊きに姉のところに向かった。
数分後大急ぎで陛下が戻ってきた。
「君のお姉さんは無欲なのですか?」
「へ?」
「ICEに乗れればそれで良いと言っているんですが。」
「ああ。姉は、生粋の鉄道ファンですから。」
その後おのおのの希望を言った後、斉藤さんたちの希望も聞いて貰おうと思ったらいつの間にか居なくなってしまっていた。
数日後、私たちは瑞穂に帰国した。

つづく